はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 426 [花嫁の秘密]

サミーは身体が痛いと言ってソファに横になった。膝を貸してやろうとしたが、花柄のクッションを枕にして人の膝は足置きにするあたり、さほど心配はいらないようだ。しかも室内履きを脱いだ足はなぜか靴下をはいていない。真冬になにをしているんだか。

エリックは仕方なしにウールケットを引っ張り上げて、サミーの足を覆った。膝の上で指先がきゅっと丸まったのがわかった。

今朝報告を受けて顔を見るまでは、嫌な考えばかりが頭に浮かび、こうして触れることさえできないかもしれないと危惧していた。サミーは俺には理解できないようなこだわりを持っているし、妙に潔癖なところがある。俺が気にしないことも気にするのがサミーだ。

サミーはゆっくり途切れ途切れに昨夜の出来事を語った。記憶が曖昧だと言っていたが、マーカス・ウェストがなにをしたのかははっきりと理解できた。侵入経路はグラントが言っていた通りだろう。田舎の屋敷の戸締りを完璧にしろと言ったところで、この手の屋敷に侵入する方法はいくらでもある。しかも主人が不在とあれば、見回りもおろそかになる。

「君は平気なのか?」サミーの足先がぴくりと動く。

ほらきた。絶対こういうことを聞くと思っていた。実にサミーらしい。愚問過ぎて答える気にもならない。逃げ出さないように捕まえておくだけでも大変なのに、たかが昔の男とやっただけで手放すと思うか?しかもサミーにはまったくその気がなかった。

「なんの話だ?」これ以上このことに関して突っ込んだ話はしたくない。サミーもそれに気づいてくれればいいが。

「別に……それで、君が勝手にブラックを行かせたことについて、僕に言うことはあるのか?」サミーはエリックの期待通り、それ以上追及はしなかった。

「言っただろう?あいつを追わせたと」

「それは聞いた。グラントを使えともね。うちの副執事をどう使うかなんて、君が口出しすることではないだろうに。ついでに聞くけど、どうして君はマーカスの行き先を知っているんだ?」

「事務所に人をやって行き先を聞き出した。まあ、大体の見当はついていたが、ほかにも知りたいことがあったしちょうどよかった」

ウィックファーム駅に到着するまでに、クレインがマーカス・ウェストの事務所に乗り込んで色々情報を仕入れてくれたおかげで、こっちでの仕事がスムーズに運んだ。ひとつはユースタスが予想以上に早くブラックと合流できたこともある。

「なんだか胡散臭い話だな。君が絡むと途端にそうなるのはどうしてなんだろう」サミーは怪訝そうに眉を寄せた。

まあ、もっともな話だが、ちゃんと手順は踏んでいる。「俺は胡散臭い奴を調べているだけだ。それより、お前はこれからどうする?向こうへ戻るなら手配する」

サミーは天井を見つめ、軽く首を振った。「いや、しばらくここにいる。いまは馬車の揺れを想像しただけで吐き気がする。部屋は移ろうと思うけど、君は?僕の無事を確かめたことだし、戻るんだろう?」まるでさっさと帰れと言わんばかりの言い草だ。

「無事なのは最初からわかってる。俺もしばらくはここにいる。おそらくは、セシルもここにいると言うだろうな」エリックは憮然と言い返した。

そう簡単に一人にしてたまるか。俺はいつまでいられるかわからないが、見張り役にセシルを張り付かせておく必要がありそうだ。結果としてセシルを連れてきて――勝手についてきたのだが――正解だったというわけだ。

つづく


前へ<< >>次へ


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


web拍手 by FC2

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。