はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 418 [花嫁の秘密]

ブラックはキャノンに主人を託し、グラントに屋敷の内外をもう一度詳しく調べるように言って屋敷を出た。グラントは言われるまでもなくそうするつもりだったようで、庭を管理しているモリスに馬車が待機していた場所を調べさせていると言っていた。調べたところで行き先がわかるわけでもないが、いつからそこにいたのか、いつ去ったのかくらいはわかるだろう。

事を荒立てず、いま出来得る限りのことをする。お互い名誉挽回のために必死だ。

まずひとつ、到着が遅れたことは言い訳にならない。そばにいれば守るのは簡単なことだった。そして屋敷を任されているグラントが戸締りを確認しておけば、見回りをしておけば、侵入者などやすやすと追い払えた。

ブラックの最大の失態は、新しい主人を信じていなかったこと。部屋に足を踏み入れた瞬間、主人の無事を確認するどころか前の主人に対して不義理を働いたと決めつけ腹を立てた。

こんなことでは従者など務まらない。

外はまだ暗いが、雨が止んだだけましだ。おかげで村の郵便局までほんの一〇分ほど馬を走らせるだけですんだ。グラントが一番いい馬を用意してくれたようだが、留守の侯爵が後で何も言わなきゃいいが。

ひとつ目の難関、電話を怖がるタナーが素直に出てくれて助かった。エリック様に知らせて折り返してくるまでそう時間はかからないだろう。

ブラックは古びたスツールの腰かけ、電話が鳴るのを待った。郵便局とその隣の雑貨屋を営むジョージ・オペルがマグにたっぷりの紅茶を持ってきてくれた。そこでようやく手はかじかみ、身体は芯まで冷えていることに気づいた。

砂糖をどのくらい入れたのか、やけに甘い紅茶を啜りながらどう説明すればいいのか考える。襲ったのはマーカス・ウェストだと決めつけていたが、サミュエル様が明確にそう口にしたわけではない。俺に向かって、マーカスと呼びかけただけで。

グラントの話から推測するに、侵入者は屋敷の中をよく知っている者で間違いない。主寝室に酒瓶とグラスが放置してあったことから、狙われたのは侯爵夫人だったとグラントは思っているようだが、侵入しようとする者なら不在だと知らないはずない。

となるとやはり侵入者はマーカス・ウェストで間違いないと確信しつつも、このことを伝えた後のエリック様の事を思うと落ち着かない。もしかして、伝えるべきではないのか?

だがもう遅い。タナーに電話した時点で、事は想像以上に大きくなっているに違いない。これほど緊急を要した連絡の取り方をしたことがないのだから、せめてこちらがまともに話し終えるまで冷静でいてくれたらいいが、おそらくそれはあまりに現実的ではないだろう。

情けないことだが、とにかく指示が欲しい。

つづく


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