はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 384 [花嫁の秘密]

フェルリッジにリード家専用の駅ね……なぜ、エリックはそんなことを?

考えるまでもない、アンジェラのために決まっている。

今年だけでなく、おそらくこれからも向こうとこちらを行き来する生活になるだろう。クリスがどうこうという問題ではなく、アンジェラの立場上仕方がない。けど、ソフィアがそれを許すだろうか。いまどういう話になっているのか、セシルが戻ってきたら聞いてみよう。

今夜この場にいれば、もっと楽しめたのに。

「ジョン、帰るぞ」

ふいに頭上から声が降って来た。視線だけ向けると、機嫌の悪そうなステフの後ろに消化不良を起こしたような顔のエリックが立っていた。

予想よりも早く戻って来たということは、クィンとの話し合いは円滑には進まなかったということか。

サミーは椅子にもたれエリックが口を開くのを待った。ステフが帰ると言えばジョンは従うしかないし、となると今夜のこの奇妙な集いはこれで仕舞いだ。上で話した内容は話す場所を選ぶ質のものだろうから、僕たちもこのまま帰ることになりそうだ。

つまらないな。外に出たくもなかったのに、わざわざ支度をしてここまで来て、ゲームもせずに帰るなんて。

「今夜はもう終わり?」ジョンが気の抜けた様子で尋ねる。二人が戻って来てからが本番だと思っていたから、その反応も当然だ。

「充分飲み食いしただろう?」ステフは、ほら行くぞと、椅子の背を叩く。

「え、でもステフは?」ジョンは座ったままぐずぐずと言った。まだ帰りたくないらしい。

ステフはジョンが座っている椅子のひじ掛けに腰を引っかけ、ジョンの肩を抱いた。「帰りにスコッツのところに寄る。まさか付き合わないとか言わないよな」

あまりの大胆さにサミーは面食らった。もちろん二人の関係は知っている。けど、ここはそういうことに適した場所ではない。今夜は年寄り連中も多いし、やはり場所を移した方が良さそうだ。

「僕たちもそのスコッツの店に移動するかい?」サミーは見上げ、エリックに訊いた。スコッツが何の店かは知らないけど、ここでの用はもうないはずだ。

「いや、俺たちはここに残る」エリックはそう言って、空いている椅子に座った。軽く手を上げて給仕にシャンパンを注文した。「喉が渇いているんだ」

じっと見ていたからか、エリックが言い訳がましく言う。その間にジョンはステフに引っ張られるようにして次の目的地スコッツへと行ってしまった。

ジョンの話も途中になってしまったけど、続きはエリックに聞けばいいか。

グラスはふたつ運ばれてきて、サミーは当然ひとつ手に取った。エリックがうるさいから飲まずにいたが、一緒なら文句も言わないだろう。

「スコッツって何の店?」ひと口飲んで、ほっと息を吐く。エリックを見ると、グラスを一気に空けて次を持って来いと給仕に合図していた。

「あいつらの家の近くにある、ただの食堂だ。チップスが美味い」

「ふうん。ステフのあの様子からすると、ここはあまりお気に召さなかったようだね」ジョンも落ち着かない様子だったけど、少なくとも食事の時は楽しそうにしていた。お酒もほどほど飲んでいたし、キャビアを食べてにこにこしていた。

「行ってみたいなら、今度連れて行ってやるぞ」エリックはナッツを奥歯で噛み砕きながら言った。

「ただの食堂なら一人でも行ける」いったい僕をいくつだと思っている?君よりも年上だってこと、忘れないでもらいたいね。「でも、君が僕と一緒に行きたいと言うなら、付き合ってあげてもいいけど」サミーはにっこりと笑った。

つづく


前へ<< >>次へ


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


web拍手 by FC2

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。