はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 385 [花嫁の秘密]

「やっぱり、やり方を間違えたんじゃないかな。普通に考えて、ここを乗っ取りたいって話を遊びに来たついでの男に聞かされるなんて、僕だったらステッキに仕込んだ剣でひと突きにしてやるけど」冗談とも言い切れない口調で、サミーが言った。

サミーの言うとおりだ。もしも自分がここのオーナーだったとして、そんな上得意でもない一会員がある日突然ここを譲れと言ってきたら、銃でも突き付けて追い出していただろう。

クィンがそうしなかったのは、ランフォード公爵の顔を立てたのと、ただ単に好奇心が疼いたからに他ならない。

クィンは面白い男だ。警戒はしていたが、俺がどんな人間か知っていて話し合いに応じたのだから。俺がこのことを記事にしたらどうするつもりなのか、試してみたい気もする。

ステフを同席させたことで、胡散臭さが増したが、それが俺の売りだから仕方ない。もう少ししたら地下に潜るし、それまでにはある程度話を進めておきたい。

「改めて代理人を立てることにする」エリックは二杯目を飲み干し、深い溜息を吐いた。代理人を誰にするかは頭の痛い話だが、早いところ決めないと他のやつに搔っ攫われてしまう。

「最初からそうすべきだったね。クィンと親しいわけでもないのに、いきなり乗り込んでまともに話を聞いてくれただけでも、今夜は収穫があったと言ってもいいんじゃない」

サミーの正論は耳に痛いが、そもそもここを買い取ったらどうだと言い出したのは自分だってこと忘れていないか?でもまあ機嫌も直ったことだし、反論するのはやめておこう。

給仕にワインをボトルごとを持ってくるように言って、サミーのリクエストでチョコレートも注文した。

「そういえば、ホワイトが来ていた。次はいったい何に賭けたのやら」カードルームの常連が二階のフロアにいるのは珍しいが、いつもつるんでいる遊び相手がいないとなれば、一人で遊べる場所にいてもおかしくはない。

「珍しいな」サミーも同じように思ったらしい。「いつもならここを舞台か何かのよう練り歩くのに、見なかったってことは僕たちより前に来ていたのかな」たいして興味もなさそうに言って、チョコレートをひとつつまんだ。

「そうだろうな。まあ、今夜は見せびらかしたいメンツでもないから仕方がない」ラウンジをさっと見回しても、目に入るのは年寄りばかりだ。若者はよその集まりに出かけているのだろう。

「でも年寄りたちのくだらない賭けはプルートスには欠かせない。悪意もないし、勝っても負けても楽しめる。競走馬を所有している者も多いから馬に関することが多いけど、朝食のメニューはなんだとか、生まれてくる仔犬がオスかメスか、公演中の舞台でキャスト変更があるかとか、本当にくだらない」あまりのくだらなさにサミーは失笑を漏らした。軽快で耳に心地よい笑い声だ。

「それを悪意のあるものに変えているのがデレクだ。ホワイトもシリルもそれに乗っているだけだ、と言いたいがターゲットにされたやつらの事を考えるとそういうわけにもいかない」

単純ないたずら程度ならまだしも、死者も出ている。このままにしてはおけない。だが、これといって証拠がないのが現状だ。

「大元はいまだ姿を現さない四人目の男、だろう?例の彼は関係していると思うか?」サミーはそれとなく周囲に目をやった。

「たぶんね。ブラッドリーの秘書をしているが、関係は複雑だ」もう少し調べが進めば、どん詰まりの状況も打開できそうだが、そろそろ表でこの話をするのはやめた方がよさそうだ。いつどこで誰が聞いているかわかったもんじゃない。

それに早いところ帰らないと、サミーが酔っぱらってひと暴れしそうだ。今夜相手になるやつはいないだろうが。

つづく


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