はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 375 [花嫁の秘密]

わざわざ変装したものの、クリスの言うようにあまり意味がないように思えた。意固地になっていたことは否めないけど、この格好にまずは慣れることが必要で、その考え自体理解されないのかもしれない。

アンジェラはクリスに寄りかかって目を閉じた。一頭立ての小ぶりな馬車は夜道を順調に進んでいるが、けっして快適な旅とは言えない。でも、クリスがそばにいれば安心できるし、この非日常な状況も案外楽しい。

「ねえ、クリス」アンジェラはそっと話しかけた。もし眠っていたら、話すのは起きてからでも構わない。

「どうした?寝てていいんだよ」クリスはアンジェラの肩を抱き寄せ、膝に掛けていた毛布で二人を包んだ。

アンジェラはクリスの胸に頬をすり寄せた。「ロジャー兄様と出発前に何を話したの?」

「調査を進めておいてくれと話したんだ」クリスは簡潔に答えた。

「調査はリックとサミーがしているんでしょう?贈り主は見つかるかしら」これからセシルも調査に加わるし、見つからないはずない。

クリスは考え込み、しばらくしてぽつりと言った。「無理だろうな」

アンジェラはクリスの言葉の意味を考えた。それは仮に犯人が見つかっても、兄たちが話してくれるとは限らない、そう言いたいのでは?その考えはアンジェラも同じで、それならもう夫婦で協力するしか道はない。

「わたし、ロイに会いに行こうとしていたの」アンジェラはメグと内密に立てた計画を打ち明けた。どちらにせよ、いまは会いに行けないし、きっと今後もそんな機会は巡ってこない。けれども、クリスの協力があれば別だ。

「いつ?だからそんな恰好を?」訊き返すクリスの声は穏やかだった。

てっきりクリスは怒るだろうと思っていたアンジェラは、少し拍子抜けすると同時にホッとした。きっと勝手に行動していたら想像できないほど腹を立てただろう。アンジェラはこの際だから、思い切って自分の考えをすべて吐き出した。

知っていること知らないこと、これから自分がどうすべきか、すべて。

最後まで黙って聞いていたクリスは、アンジェラの顎を指先でそっと持ち上げ唇を重ねた。いつものように優しくてとろけてしまうようなキス。目を閉じていても、クリスがわたしのためにすべきことをしようと決意してくれているのが伝わってきた。

「ハニー、二人でロイに会いに行こう。このまま行き先を変更することもできるが、どうする?」

アンジェラはキスの余韻に浸りながらも、首を横に小さく振った。いますべきは、ラムズデンの問題を一刻も早く片付けること。例の箱や黒幕の事は兄たちに任せておけばいい。落ち着いたら真相を知るためにクリスと二人で調査を進めよう。

それに目的の駅では、先に出発したダグラスとメグが主人の到着を待っている。わたしたちはわたしたちのすべきことをしよう。

つづく


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