はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 371 [花嫁の秘密]

夢を見ることもなくぐっすりと眠っていたサミーは、空腹で目を覚ました。目を閉じた時、確かにソファにいた。あのあと、エリックは部屋にやって来たのだろうか。

手を伸ばしてベッドを探ったが、寝ていた気配はない。結局ここへは来なかったようだ。

サミーは起き上がって、皺くちゃのシャツを脱ぎ捨てた。暖炉に火が入っているから、誰か部屋に入ったのだろう。カフスボタンは昨夜置いた場所にそのままある。

今日はどうしようか。調べ物をしたいけど、その前にエリックと話し合う必要がある。ブライアークリフ卿のパーティーで見かけたあの男の正体もわかったことだし、一緒に調べを進めた方が無駄がない。

サミーは身支度をするため、ベルを鳴らした。呼びつけることはめったにないから、プラットが驚いていないといいけど。

ジュリエットの事は、最初考えていた通りに進めることにしよう。金を渡したゴシップ紙には、約束通り僕とジュリエットに関する一切を紙面に載せないでもらう。もう一緒に出掛けることはないだろうけど、くだらない噂はどこからでも沸いてくるものだ。エリックに協力してもらえれば、他の紙面も抑えることができるはず。

サミーは上半身裸のまま窓際へ向かった。カーテンを開ける前に何か羽織ろうと思い立ち、ベッドの足元でくしゃくしゃになっていたガウンを引っ掴んだ。いつここにガウンを脱ぎ捨てただろうと束の間考えたものの、面倒になってやめた。肩に掛けるだけにして、カーテンを半分ほど開けた。日差しに思わず目がくらむ。

さすがに寝過ぎたようだ。

けど、おかげで頭がかなりクリアになった。昨日までの出来事が遠い昔の事のように、整然と頭に記録され、誰がどこでどんなふうに繋がっているのか明確になった。

もしかしてエリックがそばにいない方が、冷静に物事を考えることができるのではないだろうか。そう思っても、情報を共有しなければいけないことには変わりないが。

サミーは複雑な溜息を洩らした。エリックにそばにいて欲しいのか、否か。まだわからない、というより、あまり考えたくない。

答えを出さなくても、エリックはしばらくは何も言ってこない。何よりアンジェラを守ることが優先されるからだ。

解決するまでは、お互いが宙ぶらりんの状態が続く。僕はいいけど、エリックはどうだろう。そのうち離れて行ってしまうだろうか。

ほどなくしてプラットが部屋に入って来た。まずは目覚めの紅茶、それから熱い湯を運び入れる。紅茶を飲みたい気分でもなかったので、歯磨きをしながらプラットが今日着る服を準備する様子を眺めていた。きちんとした格好をさせいようだけど、これから数日は外に出るつもりもないので、全部却下だ。

どうせ誰も訪ねてこないし、ゆったりと楽な格好でいたい。

「あとは自分でやるよ」いまはまだ、エリック以外に背中の傷を見せる気にはならない。そのうちブラックには知られる時が来るのかもしれないが、果たしてそこまで信頼できる男なのかはいまのところ不明だ。

できれば、命を預けられるほどの人物であって欲しいが、さすがにそれは期待しすぎだろうか。

つづく


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