はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 365 [花嫁の秘密]

大通りに出ると案の定馬車が大渋滞を起こしていた。個人所有の馬車は歩道に寄せるようにして列を成していて、主人が戻ってくるのを待っている。

「これから場所を移して朝まで騒ぐのかしらね」騒ぐ一団の脇をすり抜けながら、メリッサはぼやくように言った。

「だろうな。俺たちみたいにさっさと帰る方が珍しい」そもそもサミーが余計なことをしてジュリエットをカウントダウンイベントに誘わなければ、今頃はいつもの場所で寝顔でも眺めていただろう。

そういえば、カウントダウンはどこでやっていたのだろうか。気づいたら花火が打ちあがっていて、サミーに気を取られている間に終わっていた。

「騒ぎたいなら付き合うわよ。ジュリエットは帰りたくないんじゃないかしら?」メリッサは不敵に微笑んだ。

「どうかな。ホテルの部屋にサミーを連れ込みたくてうずうずしているさ」ジュリエットはこの数ヶ月関係が進まないことにかなり焦れているだろう。次の段階へ進むために何か手を打ってくるはずだ。

「ラウールではなくて?」メリッサが訊いた。

「それはもう少し時間がいるな。ジュリエットは警戒心が強いし、まずは金を引き出せる相手か見極めるだろう」ラウールの報告もすべて真に受けるわけにはいかない。嘘を吐くのは得意だが、ジュリエットも負けていない。

「デレクが彼女に資金提供しているのではなかったの?」

エリックはメリッサの腰に手を回して抱き寄せた。人ごみに乗じて悪さをするも者が姿を見せている。メリッサは意図をすぐに理解したようで、エリックにできるだけ身体を寄せて歩道を進んだ。

「ああ、これまではな。けど、その資金源を潰してやったから代わりの誰かをジュリエットは見つけなきゃならん。サミーは贈り物はしても直接金を渡したりはしないからな。まあ、以前貰った指輪を換金するかもしれないが、おそらくそんなことはしない。そこで、こっちで適当なカモを用意した」その一人がラウールだ。もしあいつでうまくいかなきゃ次を送り込む。

「彼女はサミーの事好きなのかしら?それとも、ただ条件だけを見て相手に選んだの?」

「狙いははっきりしているが、一番の理由はクリスの弟だからだ」好きだのなんだのは関係ない。サミーの魅力がジュリエットなんかにわかってたまるか。

「エリック――」メリッサは警戒するように、エリックのコートの肘の辺りを引っ張った。「馬車のそばに誰かいるわ」

エリックは足を止め、メリッサを背後に隠した。人々の流れを無視してこちらを向いて立っている男を確認すると、ほっと肩の力を抜いた。

クレイン。なぜここに?ジュリエットに一緒にいる所を見られたらどうするつもりだ?

「ビー、知り合いだ」

まあ知られても別に困ることもないが、念のためサミーとジュリエットが合流する前にさっさと用件を聞いて追い払うか。面倒なことじゃなけりゃいいが。

つづく


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