はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 361 [花嫁の秘密]
計画通りとはいかなかったが、ひとまずサミーとジュリエットを離すことはできた。今夜はこれで満足しておくべきだろう。いや、むしろ元の計画へと軌道修正できたのだから、大収穫と言ってもいいだろう。
「サミー、そっちじゃない。南西の方角だ」周りの歓声にかき消されないように、エリックは声を張り上げた。
「花火があがったってことは、新しい年を迎えたってことかな」サミーは向きを変えて、次の花火を待った。
「なんだかバタバタしてしまったけど、新年おめでとう」メリッサはそう言って、サミーの腕を取った。反対の手を伸ばし、エリックを呼ぶ。「あなたはこっちよ」月の女神のように妖艶に微笑む。
この誘惑を断るのは愚か者だけだ。エリックはメリッサの右隣に立ち腕を差し出した。
「今夜、本当にわたしは必要だったのか考えていたところだけど、あなたたち二人の為には必要だったようね」メリッサはエリックの腕に腕を絡め、夜空を見上げた。
「エリックが目立つのはかまわないけど、僕はあまり目立ちたくないな」サミーは文句を言いながらも、まんざらでもない様子。どうせ誰も見ていないと思っているのか、メリッサの耳元に囁きかける。「もちろん君は必要さ」
メリッサはくすくすと笑って、サミーの頬に口づけた。
「ビー!調子に乗りすぎだ」
「ほら!あがったわ」
エリックの嫉妬は夜空を彩る花火と歓声にかき消された。空気はひんやりとしているのに、人々の熱気のせいか不思議と寒さは感じない。つい先ほどまで人の多さにサミーはうんざりとした顔をしていたが、いまは目を輝かせて二発目の花火の最後の光が消える様を見ている。
まったく、調子のいいことだ。でもこれで、ジュリエットをラウールに黙って任せてくれるだろう。そう考えると気持ちも楽になった。とにかくサミーが余計な手出しをしなければ、それだけ俺の心労も減るというものだ。
次の花火があがった。
エリックは花火ではなくサミーの横顔をただ見ていた。まさか自分がこんなふうになってしまうとはね。情けなさに天を仰ぎたい気分だったが、サミーから目が離せない。おかげでビーにさえ揶揄われる始末だ。
新年を一緒に迎えるだけでなく、これから先ずっと一緒にいられる方法を模索している。手っ取り早いのがプルートスを買収して一緒に経営していくことだが、それだけでは不十分だ。何か次の手を考えないと、気まぐれなサミーを繋ぎとめることはできないだろう。
別に四六時中一緒にいたいというわけではない。手を伸ばせばすぐにでも触れられる場所にいて欲しいと思うが、おそらく今年はしばらく会えない期間があるだろう。
サミーは不満に思うだろうが、ジュリエットの事はこっちで片を付ける。さっさとしないと、ハニーもクリスもこっちへ戻って来られない。俺がいない間、サミーには二人が必要だ。
ついでにセシルも召喚するか。一時的ではなく、ずっと。
つづく
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「サミー、そっちじゃない。南西の方角だ」周りの歓声にかき消されないように、エリックは声を張り上げた。
「花火があがったってことは、新しい年を迎えたってことかな」サミーは向きを変えて、次の花火を待った。
「なんだかバタバタしてしまったけど、新年おめでとう」メリッサはそう言って、サミーの腕を取った。反対の手を伸ばし、エリックを呼ぶ。「あなたはこっちよ」月の女神のように妖艶に微笑む。
この誘惑を断るのは愚か者だけだ。エリックはメリッサの右隣に立ち腕を差し出した。
「今夜、本当にわたしは必要だったのか考えていたところだけど、あなたたち二人の為には必要だったようね」メリッサはエリックの腕に腕を絡め、夜空を見上げた。
「エリックが目立つのはかまわないけど、僕はあまり目立ちたくないな」サミーは文句を言いながらも、まんざらでもない様子。どうせ誰も見ていないと思っているのか、メリッサの耳元に囁きかける。「もちろん君は必要さ」
メリッサはくすくすと笑って、サミーの頬に口づけた。
「ビー!調子に乗りすぎだ」
「ほら!あがったわ」
エリックの嫉妬は夜空を彩る花火と歓声にかき消された。空気はひんやりとしているのに、人々の熱気のせいか不思議と寒さは感じない。つい先ほどまで人の多さにサミーはうんざりとした顔をしていたが、いまは目を輝かせて二発目の花火の最後の光が消える様を見ている。
まったく、調子のいいことだ。でもこれで、ジュリエットをラウールに黙って任せてくれるだろう。そう考えると気持ちも楽になった。とにかくサミーが余計な手出しをしなければ、それだけ俺の心労も減るというものだ。
次の花火があがった。
エリックは花火ではなくサミーの横顔をただ見ていた。まさか自分がこんなふうになってしまうとはね。情けなさに天を仰ぎたい気分だったが、サミーから目が離せない。おかげでビーにさえ揶揄われる始末だ。
新年を一緒に迎えるだけでなく、これから先ずっと一緒にいられる方法を模索している。手っ取り早いのがプルートスを買収して一緒に経営していくことだが、それだけでは不十分だ。何か次の手を考えないと、気まぐれなサミーを繋ぎとめることはできないだろう。
別に四六時中一緒にいたいというわけではない。手を伸ばせばすぐにでも触れられる場所にいて欲しいと思うが、おそらく今年はしばらく会えない期間があるだろう。
サミーは不満に思うだろうが、ジュリエットの事はこっちで片を付ける。さっさとしないと、ハニーもクリスもこっちへ戻って来られない。俺がいない間、サミーには二人が必要だ。
ついでにセシルも召喚するか。一時的ではなく、ずっと。
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2023-03-20 01:22
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