はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 360 [花嫁の秘密]
最初に口を開いたのは、サミー。
「君はジェームズとどういう知り合い?近いうちに何が?」帰ってからでもよかったが、エリックに聞きたいことは他にもたくさんあって、ここでせめてひとつくらい疑問を減らしておきたい。
「何もない。ただの挨拶だ」エリックはしれっと嘘を吐いた。
何もないはずない。そもそもエリックは以前彼の経営するクラブを――当時の経営者は違うが――中傷するような記事を書いて、訴えられる寸前だったと聞いたことがある。それなのに、僕を放っておいて立ち話をする仲とはね!
「そうかしら?あなたが彼らと接点があるとは思わなかったわ」メリッサは軽い口調で疑問を口にした。
「それを言うなら、サミーとジェームズの方がありえないだろう?」エリックは問い詰められるのは御免だとばかりに言い返した。
なぜありえないと言い切る?「クラブでちょっと一緒に飲んだだけだ。彼の仕事について話を聞いたりね」エリックのように嘘を吐く必要もないので正直に答えた。
「プルートスでか?いつのことだ?」エリックが噛みつくように訊き返してきた。
「昨日だよ。他の日はいつも君と一緒だったじゃないか」これまでは顔を合わせても挨拶さえしていたかどうかも疑わしいほどお互いに無関心だったが、なぜか昨日に限ってジェームズの方から席にやって来た。
彼がクラブに姿を見せるのはちょっとした偵察だと思っている。昨夜は噂に聞いていたローストビーフを食べに来たと言っていたが、まさか料理人を引き抜く気だろうか。プルートスがこれからもクィンのものならいいけど、もしもそうでなくなるとしたら、それは困る。
「ところでサミー、彼女は一緒ではなかったの?」メリッサが心配そうにきれいに整えられた眉をひそめた。
ああ、そうだった。計画がどうであれ、さすがにこのままジュリエットを放置しておくのはまずい。
「彼女は友人と一緒にいる。僕は君たちを連れに来た」
「まあ、友人?」メリッサはそう言って疑り深い目をエリックに向けた。どういう類の友人か察しがついたようだ。
エリックは鼻で笑った。「振られたか。向こうは向こうで好きにさせたらどうだ?」
「そういうわけにいかないだろう?もともと誘ったのは僕なのに放置は出来ない」正直なところもう帰りたい。人の多さに吐き気もするし、身体の芯まで冷え切っている。気の抜けたホットワインでは酔わない代わりに、身体はそれほど温まらなかった。
「気にするもんか。それにもう時間切れだ」エリックがそう言ったところで、一発目の花火が打ちあがった。
つづく
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「君はジェームズとどういう知り合い?近いうちに何が?」帰ってからでもよかったが、エリックに聞きたいことは他にもたくさんあって、ここでせめてひとつくらい疑問を減らしておきたい。
「何もない。ただの挨拶だ」エリックはしれっと嘘を吐いた。
何もないはずない。そもそもエリックは以前彼の経営するクラブを――当時の経営者は違うが――中傷するような記事を書いて、訴えられる寸前だったと聞いたことがある。それなのに、僕を放っておいて立ち話をする仲とはね!
「そうかしら?あなたが彼らと接点があるとは思わなかったわ」メリッサは軽い口調で疑問を口にした。
「それを言うなら、サミーとジェームズの方がありえないだろう?」エリックは問い詰められるのは御免だとばかりに言い返した。
なぜありえないと言い切る?「クラブでちょっと一緒に飲んだだけだ。彼の仕事について話を聞いたりね」エリックのように嘘を吐く必要もないので正直に答えた。
「プルートスでか?いつのことだ?」エリックが噛みつくように訊き返してきた。
「昨日だよ。他の日はいつも君と一緒だったじゃないか」これまでは顔を合わせても挨拶さえしていたかどうかも疑わしいほどお互いに無関心だったが、なぜか昨日に限ってジェームズの方から席にやって来た。
彼がクラブに姿を見せるのはちょっとした偵察だと思っている。昨夜は噂に聞いていたローストビーフを食べに来たと言っていたが、まさか料理人を引き抜く気だろうか。プルートスがこれからもクィンのものならいいけど、もしもそうでなくなるとしたら、それは困る。
「ところでサミー、彼女は一緒ではなかったの?」メリッサが心配そうにきれいに整えられた眉をひそめた。
ああ、そうだった。計画がどうであれ、さすがにこのままジュリエットを放置しておくのはまずい。
「彼女は友人と一緒にいる。僕は君たちを連れに来た」
「まあ、友人?」メリッサはそう言って疑り深い目をエリックに向けた。どういう類の友人か察しがついたようだ。
エリックは鼻で笑った。「振られたか。向こうは向こうで好きにさせたらどうだ?」
「そういうわけにいかないだろう?もともと誘ったのは僕なのに放置は出来ない」正直なところもう帰りたい。人の多さに吐き気もするし、身体の芯まで冷え切っている。気の抜けたホットワインでは酔わない代わりに、身体はそれほど温まらなかった。
「気にするもんか。それにもう時間切れだ」エリックがそう言ったところで、一発目の花火が打ちあがった。
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2023-03-19 01:49
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