はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナおじいちゃんに会いに行く 6 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

ヒナを見た瞬間、安堵が全身を駆け抜けた。

それと同時に激しい怒りが胸の内に沸き上がった。もちろん屋敷を出る前から腹を立てていたし、ここへ来てからの対応にも我慢ならなかった。

ジャスティンはヒナに駆け寄った。他の者は目に入らなかった。当然兄弟はいただろうし、ヒナを止められなかったダンもいただろう。だが、瞬間的にその場の何もかもが消え失せた。

「ヒナ!心配したんだぞ!」怒鳴りながらも優しく頬を撫でたが、手は震えていた。屋敷から帽子屋まではほんのわずかな距離だが、危険は充分にあった。

けれどその思いは、ヒナには伝わっていなかった。「おじいちゃんのこと、カイルに教えたくて」

「言い訳はいい。俺は勝手に出掛けたことを怒っているんだ。なぜ、ひと言言わなかった?」

「ジュスは仕事があるって言ってたから」ヒナは唇を尖らせた。

「ヒナよりも優先する仕事などない。それはヒナもわかっているだろう?」

「わかんない。ジュスはいつも仕事ばっかりだから」ヒナはそう言って、ぷいっとそっぽを向いた。

ジャスティンは少なからずショックを受けた。ヒナは仕事を選ぶと思っているのだ。あれだけ毎日、ヒナがどれほど大切かをしつこいほど言って聞かせているにも関わらずだ。

「不満があるときは、ちゃんと言ってくれないとわからないだろう?」ジャスティンは身体の横で拳を握り締めた。そうしないとヒナをきつく抱き搾るか、壁を殴りつけてしまいそうだった。

ジャスティンの問い掛けにヒナは黙ったままだ。さすがにこの状況がかなりまずいと気付いたようだ。

「それで、カイルには話を出来たのか?」ジャスティンは優しく訊ねた。ヒナの後ろでカイルが心配そうな顔をしている。もう、帰った方がよさそうだ。

「まだちょっとしか話してないのに……」ヒナがぼそぼそと言う。

「でも、もう昼だぞ。またあとで来よう。な?」

「そうした方がいい」そう言ったのはスペンサーだ。どうやら、ずっとタイミングを伺っていたようだ。

「僕がヒナのおうちに行こうか?ウォーターさん、行ってもいいですか?」カイルでさえ気を使う始末。

こうなってしまってはジャスティンもヒナも引き下がる他ない。他人の家で揉め事など、紳士のすることではない。

「そうしてもらえるか?ヒナもその方がいいよな」ジャスティンはカイルとヒナに同意を求めたが、反対意見など聞く気はなかった。これ以上の醜態を晒すつもりはない。

ヒナが不承不承頷き、その場は何とか収まった。その時になってようやく、役立たずのダンがカイルの後ろから姿を現した。

つづく


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