はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナおじいちゃんに会いに行く 4 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

ドアを開けたら、ダンがいた。ぴたりと寄り添うにして、ヒナもいる。

これは何かのご褒美か?それとも、ちょっとした嫌がらせか?

ブルーノはひとまずの疑問をぶつけた。

「お前たち、何してる?」

「こんにちは、ブルーノ。カイルはいますか?」ダンはのんびりと返し、ヒナもそれに続く。

「話があるの」

「話?急用か?」ダンがクビになったから、ここで雇ってくれとか?だとしたら大歓迎だ。

「ええ、急用といえば急用です。とにかく中へ入れてもらえませんか?ヒナをいつまでも通りに立たせてはおけませんから」

ブルーノは脇へ避けて、二人を中へ招き入れた。もうすぐ昼休みの時間だ。ぐずぐずしていると、スペンサーとクラウドが店から戻ってきてしまう。

「それで、話というのは?」ブルーノはドアを閉め、二人を小さな居間に案内しながら訊ねた。

「フィフドさんが来たから、カイルに教えてあげようと思って」

フィフド?

「ああ、あの弁護士か。何しに来たんだ?」

「伯爵にお会いになったそうですよ。そのことをヒナはカイルに喋りたくて、走ってここまで来たんですよ。お昼までに戻らないといけませんから」

「あまり時間がないな」せっかく二人きりになれるチャンスがあるのに、ヒナとカイルに邪魔をされたくはない。「ヒナ、階段をあがって右の奥がカイルの部屋だ。ひとりで行けるか?わざわざ呼び行くより早いだろう?」

「うん!行ける」ヒナは言うが早いか、くるりと向きを変えて階段をのぼっていった。ウサギみたいにぴょんぴょん跳ねながら。

「おれには、ダンが詳しく話して聞かせてくれるんだろう?」ブルーノは帽子を持つダンの手首を取って、階段の陰に引き込んだ。ここなら誰にも邪魔されない。「ついでにキスもしてくれると、嬉しいんだが」

「な、なに言っているんですか!こんなところで、誰が通るとも知れないのに」

「階段から奥は誰も来ない。いや、誰もってことはないが、少なくとも住人たちはちらりとも覗いたりしないさ。もっとも、ここの住人のほとんどは仕事で出ている」

つまり、邪魔は入らない。絶対ではないが……。

ブルーノはダンの頬を両手で挟み顔を近付けた。もしかすると逃げるかもしれなと思ったが、ダンは頬を朱色に染めそっと目を伏せ、閉じた。

唇が重なるとダンの呼吸が荒くなった。求めていてくれていたのだと思うと、いっそう愛おしくなる。いつでも会える距離にいながら、いつでも会えるというわけではない。ウォーターズがわざとそうしているのではないかと、ブルーノは疑っていた。

ダンは両腕をだらりと下げて、身体のすべてを預けてきた。

ブルーノはダンの腰を支えるように強く抱くと、閉じられたままの唇を舐めて解し、中に入って思う存分味わった。甘酸っぱいレモン風味。これはレモネードか?喉が渇いているときには最高だ。

「ブルーノ、時間が――」

「わかってる。もう少しだけ」

どうしても余分に求めてしまう。ダンは腕の中にいて、その心も自分のものだっていうのに、まだ不安なのだ。スペンサーは諦めていない。それどころか、なぜかダンを手に入れられると信じている。

ダンはおれのものだと宣言するか?これまで何度かほのめかしはしたが、決定的な言葉は口にしていない。何より、ダンがそうして欲しくないと思っているからだ。ダンはスペンサーが自分のことを狙っているなどとは考えていない。なんて愚かなんだ!警戒心がなさ過ぎる。

ブルーノはうなりながら、欲望のままにダンを貪った。本当はこのまま押し倒して、裸にして、すべてを手に入れたかった。

「ブルーノ……苦し、ぃ」

その声にハッとして、ブルーノはようやく我に返った。唇を離し、ダンを見下ろす。

「すまない」

ダンの瞳は涙がこぼれ落ちそうなほど潤み、唇は赤く腫れ髪はくしゃくしゃになっていた。今、ダンが鏡を見たら、二度とキスを許してくれないかもしれない。

とにかく、時間がない。急いでどうにかしよう。

つづく


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