はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナおじいちゃんに会いに行く 3 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

ルークが帰った後、ヒナを心配したダンが部屋に行くと、帽子をかぶったヒナがブーツの紐を不器用に結んでいた。ちょうどよかったとばかりにダンを見る。

どこへ行くのか、あえて聞く気にもなれなかった。

「ねぇヒナ。出掛けるのはお昼を食べてからにしません?時間が中途半端過ぎますよ」ダンはそう言いながらも、ヒナの前に立って不格好に乗っかる帽子を直した。

「いま行く」ヒナが頑固に言う。

「今はちょうどカイルも忙しい時間です。もう少し後にした方がゆっくり出来ますよ」きっとヒナは何を言っても引き下がらない。それなら僕は……従者としての役目を果たすべきだ。

ダンは跪き、ヒナの足を取った。しゅるりと紐を解き、結び直す。

「ダンがブルゥとゆっくりしたいんでしょ」

な、なんてことを言うんだ!

「僕はヒナの為に言っているんですよ」そりゃ、ブルーノに会えるのは嬉しいけど、それは二の次。これでも僕は、ヒナの為になることを一番に考えている。

そこはヒナもちゃんとわかっている。「ダン、ありがと」

「別に、いいんですよ……」ああ、もうッ!「さあ、急がないと。僕たちには時間がないんですから」

ヒナはムフフと笑った。

僕はヒナの策に引っ掛かったのだろうか?でもまあ、いい。ヒナはカイルにルークが来たことを話したがっているし、僕はブルーノに会いたい。だって、もう二日も会っていないんだから。

二人は裏口から通りに出て、小走りに帽子屋を目指した。昼食までには何としても屋敷に戻るためだ。念のために書置きは残しておいたし、何人かの使用人は二人が出掛けるところを目撃している。

何度かヒナは帽子屋には行っている。でもいつも旦那様かクロフト卿が一緒で、従者と二人きりだったことはない。

ああ……これが旦那様に知れたら僕はどうなっちゃうんだろう?

ダンはヒナの手をしっかりと握って、通りを駆け抜けた。いくらこの辺りの治安がいいとはいえ、完全に安全というわけじゃない。いざとなればヒナを守れるように、ダンはポケットにナイフを忍ばせていたが、出来ればこれを使う事態にならないことを願うばかりだ。

帽子屋が目の前に見えると、二人は歩調を緩めた。馬車の行き交う通りを用心して渡ると、住居側のドアをノックした。

「ヒナ、話が終わったらすぐに帰りますからね」ダンは息を切らせながら念を押した。

「はぁい」ヒナはほとんど息を乱していなかった。さすが、いつもちょろちょろしているだけある。

すぐにドアは開き、ブルーノが顔を覗かせた。執事姿のブルーノはいつもに増して素敵だけど、キッチンに立っているときの方がもっと好きかな。

「お前たち、何してる?」

驚いて当然。

「こんにちは、ブルーノ。カイルはいますか?」ダンは訪問者らしく答えた。

つづく


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