はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
ヒナおじいちゃんに会いに行く 2 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]
ルークが伯爵に話した内容は、さほど気にするものでもなかった。
ヒナは本が読むのが好きで、ネコが好きで、両親が大好きだってことを伯爵に教えてやったそうだ。
ヒナは自分の好きなこと、もの、ひと、を祖父に教えてくれたルークに感謝しているようだったが、ジャスティンの考えは違った。
結局のところ、伯爵がどう思うかまではわからない。ルークの印象ではそう悪いふうには受け止めていないように見えたらしいが、なにせルークの言うことだ。信用ならない。
だがジャスティンが質問をされていたとしても、やはりルークと同じように答えていただろう。甘いものが好きで、野菜は苦手、リボンが好きで、最近親友が出来た。口も達者になったし、文字も書ける。悪いところなどひとつもない。
けれどもヒナはヒナなりに思うところがあるようで、ルークが帰った後、部屋に引きこもってしまった。一人になったジャスティンは、ジェームズに促されるまま書斎で仕事をさせられていた。
「どう思う、ジェームズ」この問い掛けは、ルークが語ったことについてのものだ。
「さあ、伯爵の考えることはさっぱりわからないな。彼はヒナには興味がないと思っていたし、話を聞いた後でも、やはり興味が湧いたようには思えない」ジェームズの意見は辛辣だが的確だ。
「俺もそう思う。伯爵は何か企んでいると思うか?」
「当面は会わないと決めた孫に、これ以上何をするって言うんだ?僕には娘との共通点を見つけようとしたように思えるが、それだと伯爵らしくないように思う」ジェームズは壁紙のカタログから、ようやく顔を上げた。
「そうだな……そもそも伯爵が娘に愛情を持っていたとは思えない。が、あの手のタイプは感情を表には出さない。実際何を考えているのかなんてわかりっこない。本心ではヒナにすぐにでも会いたいと思っていてもおかしくはないだろう?」
ありそうにもないが、ヒナの為にそうであって欲しいというのが、ジャスティンの願いだ。
「なくもないが――」ジェームズは首を振った。「ないね」
ジャスティンは頬杖をつき、もどかしげに溜息を吐いた。「ジェームズ、ヒナの前では絶対にそういうことを口にするなよ」
「するわけないだろう?脅し文句は君のことだけに限定しているからね」ジェームズがニヤリとする。
「俺を使ってヒナに脅しを掛けるのもなしだ」
「でも、そうしないとヒナはすぐに暴走するぞ。今だって、もしかするとおじいちゃんに会いに行くとか言って、屋敷を抜け出しているかも知れないぞ。向こうにいるとき、一度やっているんだろう?」ジェームズはまるで他人事のように言い、壁紙の候補をいくつか書き留めた。
「ああ、雨の中ぬかるんだ道を――おい、すごく嫌な予感がするんだが」ジャスティンは開いたままのドアを不安そうに見やった。
「だったら様子を見に行った方がいいんじゃないのか?書類にサインするよりも」ジェームズは廊下に向けて顎をしゃくった。
「おまえがサインしろと言ったんだろう?だいたい、この書類の束は何だ?何のために仕事を辞めたと思っているんだ。とにかく、続きはまたあとで。俺はヒナを見てくる」
ぐずぐずしていたら手遅れになる。そうならないように気を配ってはいても、完璧にヒナを守れるとは限らない。
「パーシヴァルがいたら、僕のところに来るように言ってくれるか?」急ぐジャスティンに、ジェームズがのんびりと言う。
「知るかっ!」ジャスティンは廊下から叫んだ。
つづく
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ヒナは本が読むのが好きで、ネコが好きで、両親が大好きだってことを伯爵に教えてやったそうだ。
ヒナは自分の好きなこと、もの、ひと、を祖父に教えてくれたルークに感謝しているようだったが、ジャスティンの考えは違った。
結局のところ、伯爵がどう思うかまではわからない。ルークの印象ではそう悪いふうには受け止めていないように見えたらしいが、なにせルークの言うことだ。信用ならない。
だがジャスティンが質問をされていたとしても、やはりルークと同じように答えていただろう。甘いものが好きで、野菜は苦手、リボンが好きで、最近親友が出来た。口も達者になったし、文字も書ける。悪いところなどひとつもない。
けれどもヒナはヒナなりに思うところがあるようで、ルークが帰った後、部屋に引きこもってしまった。一人になったジャスティンは、ジェームズに促されるまま書斎で仕事をさせられていた。
「どう思う、ジェームズ」この問い掛けは、ルークが語ったことについてのものだ。
「さあ、伯爵の考えることはさっぱりわからないな。彼はヒナには興味がないと思っていたし、話を聞いた後でも、やはり興味が湧いたようには思えない」ジェームズの意見は辛辣だが的確だ。
「俺もそう思う。伯爵は何か企んでいると思うか?」
「当面は会わないと決めた孫に、これ以上何をするって言うんだ?僕には娘との共通点を見つけようとしたように思えるが、それだと伯爵らしくないように思う」ジェームズは壁紙のカタログから、ようやく顔を上げた。
「そうだな……そもそも伯爵が娘に愛情を持っていたとは思えない。が、あの手のタイプは感情を表には出さない。実際何を考えているのかなんてわかりっこない。本心ではヒナにすぐにでも会いたいと思っていてもおかしくはないだろう?」
ありそうにもないが、ヒナの為にそうであって欲しいというのが、ジャスティンの願いだ。
「なくもないが――」ジェームズは首を振った。「ないね」
ジャスティンは頬杖をつき、もどかしげに溜息を吐いた。「ジェームズ、ヒナの前では絶対にそういうことを口にするなよ」
「するわけないだろう?脅し文句は君のことだけに限定しているからね」ジェームズがニヤリとする。
「俺を使ってヒナに脅しを掛けるのもなしだ」
「でも、そうしないとヒナはすぐに暴走するぞ。今だって、もしかするとおじいちゃんに会いに行くとか言って、屋敷を抜け出しているかも知れないぞ。向こうにいるとき、一度やっているんだろう?」ジェームズはまるで他人事のように言い、壁紙の候補をいくつか書き留めた。
「ああ、雨の中ぬかるんだ道を――おい、すごく嫌な予感がするんだが」ジャスティンは開いたままのドアを不安そうに見やった。
「だったら様子を見に行った方がいいんじゃないのか?書類にサインするよりも」ジェームズは廊下に向けて顎をしゃくった。
「おまえがサインしろと言ったんだろう?だいたい、この書類の束は何だ?何のために仕事を辞めたと思っているんだ。とにかく、続きはまたあとで。俺はヒナを見てくる」
ぐずぐずしていたら手遅れになる。そうならないように気を配ってはいても、完璧にヒナを守れるとは限らない。
「パーシヴァルがいたら、僕のところに来るように言ってくれるか?」急ぐジャスティンに、ジェームズがのんびりと言う。
「知るかっ!」ジャスティンは廊下から叫んだ。
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2017-02-13 00:37
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