はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナおじいちゃんに会いに行く 1 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

クラブの休業が決まった。営業再開まで三ヶ月ほどを要する。

しばらく既存の会員は他のクラブに通うことになるが、客離れに関しては問題にはしていない。今回の件で、会員のふるい落としも兼ねているからだ。ついでにツケの回収も行うつもりだ。

従業員に関しては長期休暇、というわけにもいかない。ある程度まとまった休みを取らせるつもりではいたが、残念ながら休業中にもやることはたくさんある。

もちろん、これを指揮するのはジェームズとパーシヴァルだ。

二人は毎日そのほとんどを一緒に過ごし、クラブのために尽くしてくれている。当然だ。クラブはいまや、二人のものなのだから。

同時にバーンズ邸も慌ただしかった。

ヒナがウェストクロウから戻って二週間が経った頃、ルーク・バターフィールドが訪ねてきたからだ。彼はラドフォード伯爵に雇われていながら、こちら側に寝返った、なかなか優秀な事務弁護士だ。まだクビになっていないところを見ると、所長のクロフツには裏切りがばれていないのだろう。

「それで、用件は?」遅れて応接室にやって来たジャスティンは、ヒナの隣に座るなり訊ねた。

ルークはしきりにメガネをいじった。緊張したときの癖だ。ちなみにリラックスしているときは、メガネの存在そのものを忘れる。

「いえ、用と言うほどのものでは……先日、伯爵邸に行ってきましたので、そのお話をしようかと」

「フィフドさん、おじいちゃんのとこに行ったの?」ヒナはテーブルに手を着いて身を乗り出した。カップがソーサーの上でカチャカチャ鳴った。

ジャスティンはさりげなく、ヒナの周りから危険なものを取り除いた。冷めているとはいえ、カップをひっくり返しでもしたらことだ。

「そうなんです、ヒナさん。おじいさまにもお会いしてきました」ルークはとっておきの情報を漏らすとき特有の満足げな顔で告げた。

「会ったの?ヒナに似てた?」

「そうですね……どことなく、そんな感じはしましたけど……実はあまり顔は見ていないんです。なんだか見てはいけない気がして、というより恐ろしくて直視できなかったというか」

「もういい」ジャスティンはルークのグダグダ話を遮った。よくこれで弁護士が務まるものだ。「それで、どんな話をした?」

ルークは咳払いをひとつした。「伯爵は報告書だけでは不満だったみたいで、クロフツさんと僕が直接報告に伺いました。もちろん、クロフツさんは何も事情は知らないので、主に僕がお話をしたんですけど」

「余計なことは喋っていないだろうな?」どうも嫌な予感がする。

「もちろんです!報告書以上のことは喋らないように気を付けていました」

いました?

ジャスティンの表情に気付いたルークが慌てて言葉を補う。「は、伯爵がヒナさんのことを知りたがったんです!」あまりの慌てっぷりに声が裏返った。

「おじいちゃんが?」ヒナもつられて裏返る。

「そうなんです。もう、びっくりでしょ?」

前々から思っていたが、ルークはヒナに対して馴れ馴れし過ぎる。向こうでいくら仲良くなったとはいえ、ここではただの弁護士とバーンズ家のお坊ちゃまだぞ。身の程をわきまえるべきだ。

「どんなことを知りたがった?」ジャスティンは太股を指先で打ち鳴らしながら苛々と訊ねた。どうにもルークは信用ならない。

「まず、ヒナさんに会った印象を訊かれました。それから、言葉遣いだったり生活態度だったり、あとは屋敷の人たちとどう接していたか、ですかね」ルークはヒナを見ながら答えた。

「それは報告書で間に合うんじゃないのか?」ジャスティンは指摘した。

「あくまで僕個人の印象が知りたかったようです。報告書に載るのは調査員目線ですから」ルークは紅茶を飲んで、ケーキの皿を膝に乗せた。

「それで?おまえの印象を伝えた伯爵の反応は?」ジャスティンは無意識にヒナを抱き寄せていた。

「特にありません。ずっと無表情でしたし、言葉を返すこともなかったです」

ルークの無神経な物言いに、ヒナはジャスティンの腕の中で身を硬くした。これではまるでヒナに興味がないように聞こえる。

「変なこと言ったんじゃないだろうな?」ジャスティンはヒナの肩をぎゅっとした。ヒナは悪くない。

「まさか!ヒナさんの不利になるようなことは、何ひとつ口にしていません。あからさまに褒めるものおかしいし、かといってけなすのもアレだし……僕なりに精一杯考えて喋りました」

だからこそ不安なんだ。

「よし、最初から最後まで一言一句漏らさず教えろ」

ヒナもそれを望んでいるのは顔を見ればわかる。聞く覚悟はちゃんと出来ている。

つづく


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あとがき
こんばんは、やぴです。
タイトルがちょっと長くなってしまいました…。
無事、会いに行けるといいね。
心配なのはロス兄弟の恋の行く末かなぁ。 

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