はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
ヒナの縁結び 9 [ヒナの縁結び]
翌朝、朝食ルームにはそれぞれ時間差はあるものの全員が顔を揃えた。
てっきりヒナはまだ不貞腐れていると思っていたジェームズは、ジャスティンとにこにこと笑い合うヒナを見て拍子抜けした。
いい気なものだ。こちらは仕事を終える段になってパーシヴァルにあれこれ仕事を増やされ、ろくに寝てもいないというのに。あの馬鹿は見回りと称して館内をうろついたあげく、クラムとダドリーと戯れていた。二人に挟まれて上機嫌で、認めるのは悔しいが、いつもよりも輝いて見えた。
パーシヴァルはちやほやされて当然の男だ。賞賛されてこそ、その魅力が際立つ。僕なんかのそばにいては、曇ってしまった宝石のように輝きを失ってしまう。
結局、パーシヴァルは二人の手から逃れて、ジェームズの腕に抱き留められたのだけれど、不安は募るばかりだ。
ジェームズはいつものように新聞片手にコーヒーを啜った。隣でパーシヴァルはトーストをかじっている。
今朝はもう少しゆっくりしてもよかったが、予定通りならウェストクロウへ送り込んだ使用人がもうまもなく到着するはずだ。何も問題なければ、カイルの兄たちも一緒に。
これがまた頭の痛い問題だ。この屋敷の使用人は足りているし、かといって彼らに空き家の世話をさせるわけにもいかない。クラブはしばらく閉鎖するし、従業員の配置換えについても考えなきゃならない。
それなのに、パーシヴァルは邪魔をしてばかり。いや、惑わされる自分が悪いのだ。そばにいて彼の香りを吸い込めば、何もせずに腕の中から出せない。
欲に溺れたくはないのに。
「ジェームズ。難しい顔をして、何か悪いことでも?」ふいにパーシヴァルが顔を覗き込んできた。同じように寝不足のはずなのに、くまひとつない。
「悪いこと?」君の魅力にあらがえないということ以外に?「なぜだ?」
「新聞を睨んでいるからさ」
ジェームズは新聞を置いた。今朝は考えることが多すぎて新聞は読めそうにない。
「従者がいなくてしばらく不便でしたでしょう?明日からは一人付けられますけど、面接をしますか?」
「別に。ジェームズが選んでくれたらそれでいい。もしかして、彼らの配置に悩んでいるのかい?」
「ええ、まあ……」他にもいろいろと。
「当初の予定通り、僕の屋敷を任せればいい。時々、二人で過ごせるようにね」
一瞬、パーシヴァルの提案も悪くないと思ってしまった。ここではいちいち気を遣うし、邪魔も入る。
「パーシーのおうちに行ってみたいな」
ほら、さっそく。ヒナはジャスティンの方だけ見ていればいいのに。もしくはカイルと子供同士の会話でも楽しめばいい。今朝のカイルは元気がない。ヒナがもう少し気を使うべきだ。
「お!それもいいかもね。みんなで遊びに行こう」パーシヴァルは相変わらず甥っ子に甘い。
「お前は遊んでいる暇などないだろうが」ジャスティンは相変わらずパーシヴァルには厳しい。
「たまには息抜きも必要さ。だいたい、君もジェームズも働き過ぎ。そんなんじゃヒナに嫌われちゃうよ。カイルだって、好きな人とはのんびり過ごしたいだろう?」パーシヴァルはとうとうカイルまで巻き込んだ。
「うん。のんびり過ごしたい」カイルは目をキラキラさせて声を張った。ウェインの事を想っているのは明白だ。
だが、ヒナのようなお節介をするつもりはない。こういう問題は自分でどうにかするほかない。でもまあ、ウェインの尻を叩いてみるのも悪くはないだろう。
「今日は忙しいですよ」ジェームズはにこりともせず言った。
つづく
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てっきりヒナはまだ不貞腐れていると思っていたジェームズは、ジャスティンとにこにこと笑い合うヒナを見て拍子抜けした。
いい気なものだ。こちらは仕事を終える段になってパーシヴァルにあれこれ仕事を増やされ、ろくに寝てもいないというのに。あの馬鹿は見回りと称して館内をうろついたあげく、クラムとダドリーと戯れていた。二人に挟まれて上機嫌で、認めるのは悔しいが、いつもよりも輝いて見えた。
パーシヴァルはちやほやされて当然の男だ。賞賛されてこそ、その魅力が際立つ。僕なんかのそばにいては、曇ってしまった宝石のように輝きを失ってしまう。
結局、パーシヴァルは二人の手から逃れて、ジェームズの腕に抱き留められたのだけれど、不安は募るばかりだ。
ジェームズはいつものように新聞片手にコーヒーを啜った。隣でパーシヴァルはトーストをかじっている。
今朝はもう少しゆっくりしてもよかったが、予定通りならウェストクロウへ送り込んだ使用人がもうまもなく到着するはずだ。何も問題なければ、カイルの兄たちも一緒に。
これがまた頭の痛い問題だ。この屋敷の使用人は足りているし、かといって彼らに空き家の世話をさせるわけにもいかない。クラブはしばらく閉鎖するし、従業員の配置換えについても考えなきゃならない。
それなのに、パーシヴァルは邪魔をしてばかり。いや、惑わされる自分が悪いのだ。そばにいて彼の香りを吸い込めば、何もせずに腕の中から出せない。
欲に溺れたくはないのに。
「ジェームズ。難しい顔をして、何か悪いことでも?」ふいにパーシヴァルが顔を覗き込んできた。同じように寝不足のはずなのに、くまひとつない。
「悪いこと?」君の魅力にあらがえないということ以外に?「なぜだ?」
「新聞を睨んでいるからさ」
ジェームズは新聞を置いた。今朝は考えることが多すぎて新聞は読めそうにない。
「従者がいなくてしばらく不便でしたでしょう?明日からは一人付けられますけど、面接をしますか?」
「別に。ジェームズが選んでくれたらそれでいい。もしかして、彼らの配置に悩んでいるのかい?」
「ええ、まあ……」他にもいろいろと。
「当初の予定通り、僕の屋敷を任せればいい。時々、二人で過ごせるようにね」
一瞬、パーシヴァルの提案も悪くないと思ってしまった。ここではいちいち気を遣うし、邪魔も入る。
「パーシーのおうちに行ってみたいな」
ほら、さっそく。ヒナはジャスティンの方だけ見ていればいいのに。もしくはカイルと子供同士の会話でも楽しめばいい。今朝のカイルは元気がない。ヒナがもう少し気を使うべきだ。
「お!それもいいかもね。みんなで遊びに行こう」パーシヴァルは相変わらず甥っ子に甘い。
「お前は遊んでいる暇などないだろうが」ジャスティンは相変わらずパーシヴァルには厳しい。
「たまには息抜きも必要さ。だいたい、君もジェームズも働き過ぎ。そんなんじゃヒナに嫌われちゃうよ。カイルだって、好きな人とはのんびり過ごしたいだろう?」パーシヴァルはとうとうカイルまで巻き込んだ。
「うん。のんびり過ごしたい」カイルは目をキラキラさせて声を張った。ウェインの事を想っているのは明白だ。
だが、ヒナのようなお節介をするつもりはない。こういう問題は自分でどうにかするほかない。でもまあ、ウェインの尻を叩いてみるのも悪くはないだろう。
「今日は忙しいですよ」ジェームズはにこりともせず言った。
つづく
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2017-01-22 00:50
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