はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
ヒナの縁結び 5 [ヒナの縁結び]
ジェームズは噂話が嫌いである。
もちろん仕事をする上では必要なものだ。情報は宝だ。
だが自分のこととなると話は別だ。ゴシップなど論外。特にパーシヴァルが屋敷に来てからというもの、二人のことが部下たちの口の端に上らないように気を付けている。それでも衝動的に雰囲気に流されてしまうのは、やはり相手がパーシヴァルだからだ。彼にはどこか抗えない魅力がある。
で、目の前のどうしようもない二人だが。
ウェインはせめて青ざめるだけの恥じらいはあったようだ。いつまで経っても主人の従者という自覚もなく、向上心の欠片も持ち合わせていない。なぜジャスティンがこの男を側に置くのか、ジェームズには理解できなかった。
一方ヒナは、振り返りもしない。まずいと思っているからか、単純に無視しているからか。
「どちらか答える気はあるのか?」どうでもよかったが、退屈しのぎに追求してみた。ひとを笑いの種にしておいて、そのままで済むはずない。
ヒナは無反応だったが、さすがにウェインは目上の者を無視する事はなかった。
「あ、あの、ちょっと冗談を言い合っていて……」
冗談?あれが冗談で口にすることか?
『ヒナはジェームズとキスできる?』
ウェインもヒナも、たまたま耳にしたのがジャスティンではなくて良かったと思うべきだ。
「ヒナはしないって言ったもん」なぜか怒り気味に返事をするヒナ。背中を向けたまま失礼にもほどがある。
怒りたいのは勝手に拒絶されたジェームズの方だ。
「ヒナはどうしてここにいるんです?ここはヒナの来るべき場所ではありませんよ。ウェインが注意すべきでしょう?」
ウェインは恐れおののきながらも、ヒナに注意できるわけないじゃないですかと目で訴えた。
確かにその通りだが、最近のヒナはわがままが過ぎる。もちろん甘やかすジャスティンが悪いのだが、あまりに目に余る。
「ウェインは仕事に戻れ」ジェームズはウェインを行かせた。「ヒナはそこに座っていなさい」ちゃっかりウェインの陰に隠れて出て行こうとするヒナを引き留める。
「どうして?ヒナ、着替えなきゃいけないのに」ヒナはぶうと不貞腐れた。が、素直に椅子に戻った。
「ずいぶん都合が良いですね」ジェームズは皮肉った。
「だって、ダンに怒られちゃうもん」
「ダンをだしにするのはやめなさい。いいですか、余計なことはやめなさい。こんなことは、ウェインのためにもカイルのためにもならない」
「なんで!」ヒナは反発したが、目を合わせようとはしない。
まったく。こちらが下手に出ているからといって、生意気が過ぎる。
「わたしが何も知らないと思っているとしたら、ずいぶんと間抜けだな。ジャスティンに告げ口されたくなかったら、さっさと戻って着替えを済ませることだ」ジェームズは厳しい口調で命じた。ジャスティンが不在の時はいつもそうしていたように。
「う、う……、はい」ヒナは小さな身体をさらに縮めて、こくんと頷いた。
「では。行きなさい」
ヒナは黙って立ち上がると、テーブルの上のクッキーを鷲掴み、ジェームズを避けるようにして談話室を出ていった。
言い過ぎたと思わなくもなかったが、たまには躾も必要だ。
つづく
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もちろん仕事をする上では必要なものだ。情報は宝だ。
だが自分のこととなると話は別だ。ゴシップなど論外。特にパーシヴァルが屋敷に来てからというもの、二人のことが部下たちの口の端に上らないように気を付けている。それでも衝動的に雰囲気に流されてしまうのは、やはり相手がパーシヴァルだからだ。彼にはどこか抗えない魅力がある。
で、目の前のどうしようもない二人だが。
ウェインはせめて青ざめるだけの恥じらいはあったようだ。いつまで経っても主人の従者という自覚もなく、向上心の欠片も持ち合わせていない。なぜジャスティンがこの男を側に置くのか、ジェームズには理解できなかった。
一方ヒナは、振り返りもしない。まずいと思っているからか、単純に無視しているからか。
「どちらか答える気はあるのか?」どうでもよかったが、退屈しのぎに追求してみた。ひとを笑いの種にしておいて、そのままで済むはずない。
ヒナは無反応だったが、さすがにウェインは目上の者を無視する事はなかった。
「あ、あの、ちょっと冗談を言い合っていて……」
冗談?あれが冗談で口にすることか?
『ヒナはジェームズとキスできる?』
ウェインもヒナも、たまたま耳にしたのがジャスティンではなくて良かったと思うべきだ。
「ヒナはしないって言ったもん」なぜか怒り気味に返事をするヒナ。背中を向けたまま失礼にもほどがある。
怒りたいのは勝手に拒絶されたジェームズの方だ。
「ヒナはどうしてここにいるんです?ここはヒナの来るべき場所ではありませんよ。ウェインが注意すべきでしょう?」
ウェインは恐れおののきながらも、ヒナに注意できるわけないじゃないですかと目で訴えた。
確かにその通りだが、最近のヒナはわがままが過ぎる。もちろん甘やかすジャスティンが悪いのだが、あまりに目に余る。
「ウェインは仕事に戻れ」ジェームズはウェインを行かせた。「ヒナはそこに座っていなさい」ちゃっかりウェインの陰に隠れて出て行こうとするヒナを引き留める。
「どうして?ヒナ、着替えなきゃいけないのに」ヒナはぶうと不貞腐れた。が、素直に椅子に戻った。
「ずいぶん都合が良いですね」ジェームズは皮肉った。
「だって、ダンに怒られちゃうもん」
「ダンをだしにするのはやめなさい。いいですか、余計なことはやめなさい。こんなことは、ウェインのためにもカイルのためにもならない」
「なんで!」ヒナは反発したが、目を合わせようとはしない。
まったく。こちらが下手に出ているからといって、生意気が過ぎる。
「わたしが何も知らないと思っているとしたら、ずいぶんと間抜けだな。ジャスティンに告げ口されたくなかったら、さっさと戻って着替えを済ませることだ」ジェームズは厳しい口調で命じた。ジャスティンが不在の時はいつもそうしていたように。
「う、う……、はい」ヒナは小さな身体をさらに縮めて、こくんと頷いた。
「では。行きなさい」
ヒナは黙って立ち上がると、テーブルの上のクッキーを鷲掴み、ジェームズを避けるようにして談話室を出ていった。
言い過ぎたと思わなくもなかったが、たまには躾も必要だ。
つづく
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2017-01-15 23:55
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