はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナの縁結び 2 [ヒナの縁結び]

うわぁうわぁうわぁ。僕のばか!

あれじゃあウェインさんが気を悪くしちゃうじゃん!

カイルは顔を両手で覆い、頭を掻きむしり、手をだらりと落としてうなだれた。

スペンサーたちが来るのは嬉しい。兄弟が揃うんだもん。でもそれは、二人がここに住むならの話。違うなら、ずっと田舎にいればよかったのに。

でも、ダンはきっとブルーノに会いたいんだと思う。ここに戻ってからずうっと手紙のやりとりをしている。出発が決まってからは、向こうから一方的に届くばかりみたいだけど、ブルーノが弟よりもダンを気に掛ける理由はなんとなく理解できる。

「カイル、もう戻ったの?」

顔を上げると、階段の上にヒナが立っていた。今日のヒナは海賊の格好をしている。仮装に使う帽子を、クロフト卿がヒナにプレゼントしたからだ。なぜか羽根飾りも付いていて、おかげでヒナはここ最近で一番機嫌が良い。

「うん」だってあれ以上一緒にいたら、ウェインさんにわがままをいっぱい言っちゃいそうだったから。「ヒナは?」

「パーシーがジャムのとこに行っちゃったから、部屋に戻るところ」ヒナはつまらなさげにふわぁとあくびをする。授業のある日は昼寝が出来ないから、すごく眠たいんだと思う。

「ふぅん……そうなんだ」カイルは羨望をにじませた。クロフト卿とジェームズさんはすごく仲良しでうらやましいな。会いたかったら会いたいって言えるクロフト卿を、僕は尊敬する。

「なにかあったの?ウェインがいじめた?」ヒナが気遣わしげに眉間に皺を寄せた。

「ま、まさか!ウェインさんはすっごく優しいよ。ただ、もうすぐスペンサーとブルーノがやってくるって話してたらさ、すごく胸が苦しくなっちゃって」カイルは胸をぎゅっと掴んだ。考えただけで本当に胸が苦しくなる。

ヒナも同じように胸を押さえ、ふいに不安そうに辺りを見回した。

「どうしたの?」カイルは訊ねた。

「ジュスに会いたくなっちゃった」

ウォーターさんはいつも授業が終わると顔を出して、どうだった?って訊ねてくれる。でも今日は現れなかった。どこかへ出掛けているみたい。

「まだ帰ってきてないの?」

ヒナは思案げに小首を傾げた。「わかんない……ジュスはいってきます言ってくれなかった」

「大人って、肝心なこと言ってくれないよね」カイルは慰めるように言った。いつの間にか立場は逆転している。

ヒナはまったくだというように頷き、ふうぅぅと溜息を吐いた。「ヒナ、シモンのとこに行ってくる」唐突に言うと、カイルがのぼってきた階段を下りて行った。

「おやつ足りなかったのかな?」カイルはひとりごち、のろのろと部屋に戻った。

ウェインさんの事、なんとか頭の中から追い出さなきゃ。じゃないと僕、おかしくなっちゃう。

つづく


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