はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
ヒナの縁結び 1 [ヒナの縁結び]
ヒナおうちに帰るの番外編です。
あくまで、ヒナがやることなので……
では、ウェインさんお願いします。
*****
「ウェインさん聞いてー!」
いつものように勉強を終えたカイルが、談話室にやってきた。
この時間、ここにいるのはウェインとダン、それとエヴァンくらいなものだ。
「どうしたんだい?」ウェインは場所を空けながら訊ねた。エヴァンがすっと立ってさりげなく出て行く。エヴァンなりに気を利かせているつもりらしいが、別にいたってかまわないのに。いまさらカイルがエヴァンの顔の傷に驚くわけでもないし。
「今日ね、地図を広げて世界旅行をしたんだ」カイルは興奮したように言って、ウェインの隣に座った。向かい側で突っ伏しているダンを見て、おどけた顔で口を閉じる。
最近、ヒナの機嫌がコロコロ変わるため、ダンは苦労しているのだ。それでも、ヒナを責めることは出来ない。あれだけ楽しみにしていたおじいちゃんとの再会が、延期になったのだから。でも、旦那様が言うには来シーズンまでの辛抱のようだ。
「へぇ、すごいね。具体的にはどこへ行ったんだい?」ウェインは訊ねながら、カイルのためにマグに紅茶を注いだ。イチゴジャムをひと匙添える。
「えっとね、まずはフランス。パリに行って、美味しいケーキを食べて――」
これは地図を使った妄想?
「クロワッサンをお土産に、ヒナの国まで行ったんだ」
「え……と、ずいぶん遠くまで行ったんだね」実際、ヒナの国がどこにあるかなんて知りもしないけど、インドより遠いことは確かだ。
「一番端っこにあるんだよ。ヒナが早くしないとクロワッサンにかびが生えちゃうって急かすから、先生と大笑いしちゃった」カイルは思い出し笑いをしながら、ジャムの乗ったスプーンをマグに突っ込んでくるくると回した。勢いよくごくごくとする。
「ヒナなら、かびが生えてしまう前に食べてしまいそうだけど」なんて反応していいのかさっぱり分からない。でも、とりあえず笑っておこう。
「どうやら、ヒナの機嫌はいいみたいだね」ダンがのっそりと顔を上げた。
「うん。今日はいいみたい」カイルも最近のヒナがおかしいのには気付いている。
それもそうだ。カイルは旦那様の次に、ヒナと一緒にいる時間が長いんだから。
「今はひとりで?」
「ううん。クロフト卿と一緒」
ダンはほっとした様子で、シュガークッキーに手を伸ばした。ヒナのおかげでおやつには事欠かない。
さすがのウェインもダンが心配になった。疲れていても頭の中はヒナのことでいっぱいだし、何かあったときのために外出も控えている。せっかく田舎から戻ってきて自由になったのに、これなら田舎にいた方がましだった。
「そういえば、そろそろ二人がロンドンに出てくる頃じゃない?」もちろん、二人とは、カイルの兄スペンサーとブルーノのこと。彼らはダンと友人関係を築いている。彼らなら、ダンに息抜きをさせることが出来るかもしれない。
「着いたら先にここに寄るって言ってました。もう向こうを出発したみたいだから、きっとすぐです」カイルはマグを押しやり、肩を落とした。
今度はカイルの元気がなくなった。久しぶりに家族に会えるのに、なぜ?
「途中からは旦那様が馬車を手配したようだから、案外早く到着するんじゃないかな?」ブルーノからの手紙を受け取っているダンが補足する。二人は文通もしている。
「やるなぁ、さすがは旦那様だ」ウェインは誇らしくなって、思わず胸を張った。
「僕、もう戻るね」カイルは肩を落としたまま立ち上がって、来たときと同じように唐突に出て行った。
「え、え?何?どうしたの?」ウェインは戸惑った。
「あーあ……ウェインて、ほっっんと、無神経だよね。スペンサーとブルーノがこっちに出てきたら、カイルはおじさんのところに行っちゃうんだぞ」ダンはなぜかぷりぷりと怒って、後片付けもせずに行ってしまった。
なんだよ!ダンが早く到着するとかなんとか言うからさ、ったく。カイルがおじさんのところに行ったって、いつでも会えるのに気にし過ぎなんだよ。
そりゃ、寂しくなるけどさ。
つづく
>>次へ
あとがき
こんばんは、やぴです。
ヒナがおうちに戻って1週間後くらいからのお話。
さっくりとヒナの奮闘をお送りします。
では。
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あくまで、ヒナがやることなので……
では、ウェインさんお願いします。
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「ウェインさん聞いてー!」
いつものように勉強を終えたカイルが、談話室にやってきた。
この時間、ここにいるのはウェインとダン、それとエヴァンくらいなものだ。
「どうしたんだい?」ウェインは場所を空けながら訊ねた。エヴァンがすっと立ってさりげなく出て行く。エヴァンなりに気を利かせているつもりらしいが、別にいたってかまわないのに。いまさらカイルがエヴァンの顔の傷に驚くわけでもないし。
「今日ね、地図を広げて世界旅行をしたんだ」カイルは興奮したように言って、ウェインの隣に座った。向かい側で突っ伏しているダンを見て、おどけた顔で口を閉じる。
最近、ヒナの機嫌がコロコロ変わるため、ダンは苦労しているのだ。それでも、ヒナを責めることは出来ない。あれだけ楽しみにしていたおじいちゃんとの再会が、延期になったのだから。でも、旦那様が言うには来シーズンまでの辛抱のようだ。
「へぇ、すごいね。具体的にはどこへ行ったんだい?」ウェインは訊ねながら、カイルのためにマグに紅茶を注いだ。イチゴジャムをひと匙添える。
「えっとね、まずはフランス。パリに行って、美味しいケーキを食べて――」
これは地図を使った妄想?
「クロワッサンをお土産に、ヒナの国まで行ったんだ」
「え……と、ずいぶん遠くまで行ったんだね」実際、ヒナの国がどこにあるかなんて知りもしないけど、インドより遠いことは確かだ。
「一番端っこにあるんだよ。ヒナが早くしないとクロワッサンにかびが生えちゃうって急かすから、先生と大笑いしちゃった」カイルは思い出し笑いをしながら、ジャムの乗ったスプーンをマグに突っ込んでくるくると回した。勢いよくごくごくとする。
「ヒナなら、かびが生えてしまう前に食べてしまいそうだけど」なんて反応していいのかさっぱり分からない。でも、とりあえず笑っておこう。
「どうやら、ヒナの機嫌はいいみたいだね」ダンがのっそりと顔を上げた。
「うん。今日はいいみたい」カイルも最近のヒナがおかしいのには気付いている。
それもそうだ。カイルは旦那様の次に、ヒナと一緒にいる時間が長いんだから。
「今はひとりで?」
「ううん。クロフト卿と一緒」
ダンはほっとした様子で、シュガークッキーに手を伸ばした。ヒナのおかげでおやつには事欠かない。
さすがのウェインもダンが心配になった。疲れていても頭の中はヒナのことでいっぱいだし、何かあったときのために外出も控えている。せっかく田舎から戻ってきて自由になったのに、これなら田舎にいた方がましだった。
「そういえば、そろそろ二人がロンドンに出てくる頃じゃない?」もちろん、二人とは、カイルの兄スペンサーとブルーノのこと。彼らはダンと友人関係を築いている。彼らなら、ダンに息抜きをさせることが出来るかもしれない。
「着いたら先にここに寄るって言ってました。もう向こうを出発したみたいだから、きっとすぐです」カイルはマグを押しやり、肩を落とした。
今度はカイルの元気がなくなった。久しぶりに家族に会えるのに、なぜ?
「途中からは旦那様が馬車を手配したようだから、案外早く到着するんじゃないかな?」ブルーノからの手紙を受け取っているダンが補足する。二人は文通もしている。
「やるなぁ、さすがは旦那様だ」ウェインは誇らしくなって、思わず胸を張った。
「僕、もう戻るね」カイルは肩を落としたまま立ち上がって、来たときと同じように唐突に出て行った。
「え、え?何?どうしたの?」ウェインは戸惑った。
「あーあ……ウェインて、ほっっんと、無神経だよね。スペンサーとブルーノがこっちに出てきたら、カイルはおじさんのところに行っちゃうんだぞ」ダンはなぜかぷりぷりと怒って、後片付けもせずに行ってしまった。
なんだよ!ダンが早く到着するとかなんとか言うからさ、ったく。カイルがおじさんのところに行ったって、いつでも会えるのに気にし過ぎなんだよ。
そりゃ、寂しくなるけどさ。
つづく
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あとがき
こんばんは、やぴです。
ヒナがおうちに戻って1週間後くらいからのお話。
さっくりとヒナの奮闘をお送りします。
では。
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2017-01-11 21:45
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