はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花村と海 9 [花村と海]
朋の誕生日まで一週間となった土曜日の午後。
なんとか関係が改善した双子は、ユーリの車でモールに向かっていた。
プレゼントを買うためだが、ユーリはあからさまに海の存在を鬱陶しく思っている様子。いつだって二人きりで過ごせるのに、ほんの少しも邪魔されたくないなんて気持ち、海には理解できなかった。
「弟の事はどうなったの?」海は退屈まぎれに訊ねた。
ユーリの弟アラタはおバカちゃんらしく、強力なコネでうちの学校に編入することになった。うちって金持ちエリート学校だけど、馬鹿でもコネがあれば入れるのは周知の事実だ。
「うるさい。黙れ」ユーリは相変わらず海には冷たい。質問に答えるなどもってのほかといった感じ。
「ちぇッ!なんだよ。なあ、陸。いつもこんな沈黙なの」会話も音楽もなしなんて、息苦しくて仕方がない。
「んー、だいたいね。ユーリ、運転中はあんま喋んないからさ」助手席に座る陸が座席の間から顔を出す。
「あんな長電話するくせに?」海はぷぷぷと笑った。
「口を閉じろ。さもなきゃ降ろすぞ」
「はいはい。なんでユーリは俺には厳しいわけ?陸のどこが好きなのさ。俺とどこが違うっての?」
まったく口を閉じない海に、ユーリはイライラとこめかみに青筋を立てる。
「それ、俺も知りたい。前から不思議に思ってたんだよね」
「陸、お前も黙れ」
「いいじゃぁん」陸が甘えた声を出す。
ユーリはミラー越しに海を睨み、大袈裟に音を鳴らして舌打ちをした。
「陸はいい匂いがする」文句あるかと言わんばかりに言い切り、それきり口をつぐんだ。
”においだけ?他にいいところはないの?”陸は考えた。
”俺だっていい匂いするっての。朋ちゃんのシャンプー使ってるし。まさか、それでもくさいとか?”海も考えた。
結果、すっぱり話題を変えた。
「プレゼント、何にする?」
海の巧みな切り返しに、陸は飛びつく。
「俺たちのお小遣いで買えるもの。ユーリもちょっとカンパしてくれるんだよね?」
「いつも世話になってるからな。お前が」ユーリは陸の頭を軽く小突いた。さりげない親密な仕草に、海の胸はちくんとした。
「俺が世話してやってんの。間違えないでよね」陸は唇をすぼめて不満をアピールする。ユーリはそんな陸を横目でちらりと見て、ふんと鼻を鳴らした。
ユーリは親の金を湯水のように使うのに、まったく後ろめたさを感じないどら息子だ。
何はともあれ、ユーリの財布も加わるとなれば強力だ。
「エプロンとかどう?」海は提案した。
「前にもあげたよね?」陸は素早く却下する。
「んじゃ、キーホルダー?」いらないものナンバーワンだ。
「必要ないんじゃない?」当然の答え。
「だよね。それじゃあさ、鍋のセットとかは?コウタが前にさ、新しい圧力鍋欲しいって言ってたじゃん」海は自分のひらめきに、思わず目を輝かせた。
「あ、それいいねー。でもさ、鍋って高くない?ほら、この前朋ちゃんが買ったすっごく重い鍋、二万くらいしたって言ってたもん」
「高ッ!」鍋くらいって甘く見てた。
「そのくらいなら出してやるから心配するな」
そのくらい!?さすが太っ腹ユーリ。
「ほんと!足りないの、お願いできる?」陸は抱きつく代わりに、ユーリの腕で爪とぎをする。猫の仕草は甘えている証拠だ。
「足りないも何も、お前の小遣いなんか知れたもんだろうが」ユーリは小馬鹿にするように言い、大きくハンドルを切った。
モールに到着だ。
つづく
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なんとか関係が改善した双子は、ユーリの車でモールに向かっていた。
プレゼントを買うためだが、ユーリはあからさまに海の存在を鬱陶しく思っている様子。いつだって二人きりで過ごせるのに、ほんの少しも邪魔されたくないなんて気持ち、海には理解できなかった。
「弟の事はどうなったの?」海は退屈まぎれに訊ねた。
ユーリの弟アラタはおバカちゃんらしく、強力なコネでうちの学校に編入することになった。うちって金持ちエリート学校だけど、馬鹿でもコネがあれば入れるのは周知の事実だ。
「うるさい。黙れ」ユーリは相変わらず海には冷たい。質問に答えるなどもってのほかといった感じ。
「ちぇッ!なんだよ。なあ、陸。いつもこんな沈黙なの」会話も音楽もなしなんて、息苦しくて仕方がない。
「んー、だいたいね。ユーリ、運転中はあんま喋んないからさ」助手席に座る陸が座席の間から顔を出す。
「あんな長電話するくせに?」海はぷぷぷと笑った。
「口を閉じろ。さもなきゃ降ろすぞ」
「はいはい。なんでユーリは俺には厳しいわけ?陸のどこが好きなのさ。俺とどこが違うっての?」
まったく口を閉じない海に、ユーリはイライラとこめかみに青筋を立てる。
「それ、俺も知りたい。前から不思議に思ってたんだよね」
「陸、お前も黙れ」
「いいじゃぁん」陸が甘えた声を出す。
ユーリはミラー越しに海を睨み、大袈裟に音を鳴らして舌打ちをした。
「陸はいい匂いがする」文句あるかと言わんばかりに言い切り、それきり口をつぐんだ。
”においだけ?他にいいところはないの?”陸は考えた。
”俺だっていい匂いするっての。朋ちゃんのシャンプー使ってるし。まさか、それでもくさいとか?”海も考えた。
結果、すっぱり話題を変えた。
「プレゼント、何にする?」
海の巧みな切り返しに、陸は飛びつく。
「俺たちのお小遣いで買えるもの。ユーリもちょっとカンパしてくれるんだよね?」
「いつも世話になってるからな。お前が」ユーリは陸の頭を軽く小突いた。さりげない親密な仕草に、海の胸はちくんとした。
「俺が世話してやってんの。間違えないでよね」陸は唇をすぼめて不満をアピールする。ユーリはそんな陸を横目でちらりと見て、ふんと鼻を鳴らした。
ユーリは親の金を湯水のように使うのに、まったく後ろめたさを感じないどら息子だ。
何はともあれ、ユーリの財布も加わるとなれば強力だ。
「エプロンとかどう?」海は提案した。
「前にもあげたよね?」陸は素早く却下する。
「んじゃ、キーホルダー?」いらないものナンバーワンだ。
「必要ないんじゃない?」当然の答え。
「だよね。それじゃあさ、鍋のセットとかは?コウタが前にさ、新しい圧力鍋欲しいって言ってたじゃん」海は自分のひらめきに、思わず目を輝かせた。
「あ、それいいねー。でもさ、鍋って高くない?ほら、この前朋ちゃんが買ったすっごく重い鍋、二万くらいしたって言ってたもん」
「高ッ!」鍋くらいって甘く見てた。
「そのくらいなら出してやるから心配するな」
そのくらい!?さすが太っ腹ユーリ。
「ほんと!足りないの、お願いできる?」陸は抱きつく代わりに、ユーリの腕で爪とぎをする。猫の仕草は甘えている証拠だ。
「足りないも何も、お前の小遣いなんか知れたもんだろうが」ユーリは小馬鹿にするように言い、大きくハンドルを切った。
モールに到着だ。
つづく
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2016-10-29 01:05
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