はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花村と海 10 [花村と海]

予算の心配のいらなくなった双子は、ユーリの財布を借りて、無事圧力鍋をゲットした。

正直、二人とも圧力鍋の使い方などまったく知らなかったが、最初のメニューは豚の角煮で意見が一致していた。その際、ユーリももれなく夕食に招待することになっていて、陸は意地悪く花村も呼べばと言うのだった。

海はたちまち不機嫌になり、一人離れて行動を開始した。一時間後に、一階インフォメーションで合流だ。

ぷらぷらと館内を巡り、いつものように本屋に行く。特に目的はないが地元の情報誌のグルメ記事をチェックするのは欠かさない。

「よう、海。本屋で万引きか?」

心臓が飛び出しそうになった。振り返ると、当たり前のようにそこに喜助が立っていた。営業用のスーツ姿だが胡散臭さは拭えない。

「なにバカなこと言ってんだよっ!」おかげで隣のおやじが疑いの目でこっちを見てるじゃんか!

「それじゃあ、そのポケットにあるのはなんだ?」喜助は真顔で海のズボンを指差す。

海はさっとズボンの両ポケットに手を置いた。何もない。

「はははっ!馬鹿だなお前」喜助は軽薄に笑って、隣のおやじを顎先で追い払った。

「何なの?子供をからかって楽しい?」海はぷうっと頬を膨らませ、喜助の腕をグーで小突いた。意外にも筋肉質で驚いた。

「俺がそんなに暇に見えるか?」

暇と言うより、仕事をしているように見えない。そもそも海は、喜助の表向きの仕事の保険調査員がどんな仕事なのか知らない。

「まさか仕事でたまたまここにいるなんて言わないよね?」そんな偶然あるはずない。喜助の事だ、あとをつけてきたに違いない。花村のことで文句を言う気かも。

「仕事だ。たまたまこの辺でな」喜助はニヤリとした。「で、仕事はもう終わりだ。アイスでも食うか?」

「何たくらんでるの?」海は疑り深く目を細めた。

「教えると思うか?行くぞ」喜助は海に背を向け、アイスクリームショップに向かう。後ろ姿だけ見れば、立派な人間に見えるのだから不思議だ。

海は後を追い、横に並ぶと言った。「おごりだよね?」

そうじゃなきゃ、絶対についていくもんか。

つづく


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