はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花村と海 8 [花村と海]

海はベッドに横になり、足の間に上掛けを挟んで半回転して、壁に向いた。陸はユーリと長電話中で、気を使ってか和室に移動している。

ガミガミうるさいまさにいがいないのに、こんなに窮屈な思いをしたのは初めてだ。格下のコウタでさえ鬱陶しいと思った。

俺は悪くないのに……。

百歩譲って兄たちに責められるのは仕方がない。でも、花村には責められたくなかった。

そもそも花村に俺を怒る権利なんてない。俺はいつも花村の嫉妬と束縛に我慢しているのに、ちょっと他の人とお寿司を食べに行ったからって、あんなに怒ることない。

もしかして、お寿司を食べたのがまずかったのかな?花村とはスシデートしたことないから、それで怒ったの?花村とはいつも”さくらい”だもんな。

今度誘ってみようか。そうしたら、花村と仲直り出来るかな。

いやいや!

謝るのは向こうだし、こっちから誘うなんて馬鹿げてる。

海は寝返りを打って、ベッドの下をのぞき見た。

ブッチがじっとこっちを見上げていた。

ぞっとして、思わずブルった。

「ブッチ、何してんの?まさかお前まで俺を責める気じゃないよな?」

ブッチは呼ばれたと勘違いしたのか、重い腰を上げて、どすどすと足を踏みならしながら、細いはしごをのぼってきた。

「ぶみゃ」とひと鳴きして、ごろんと横になった。

海はブッチを抱き寄せて、頬ずりをした。

「どうせお前は陸の味方なんだろ。もしかして、ユーリとラブラブしてるから今だけ俺の味方?嫌いな花村も来なくなって、海派になったとか?」

ブッチは返事をしなかった。目を閉じて鼻をごーごー鳴らしている。鼻づまりみたいな音だ。

「なあ、朋ちゃんのプレゼント何がいいと思う?ついでに言えばさ、コウタにあげるの忘れちゃってたから、お揃いでって考えてるんだ。陸と割り勘する予定だったけど、喧嘩中だからどうかな?陸と喧嘩なんかするつもりなかったのにさ……。だって、おかしくない?俺が美高とお寿司食べただけで、どうしてみんなあんなに怒るんだ?どう思う、ブッチ」

「ぐごッ」ブッチは確実に鼻を詰まらせた。

「はいはい。どーでもいいってことね」海はブッチの耳と耳の間を掻いて、同じように目を閉じた。

起きていても責められるだけだ。心が寂しくなったときに慰めてくれるのが猫だけなのは仕方ないにしても、花村がいっこうにメールのひとつも寄越そうとしないのは気に入らない。もしかして、このまま自然消滅もあり得るのだろうか?

だったらさっさと別れると言ってしまった方がましだ。朋ちゃんの誕生日で気まずい思いをするのはイヤだもん。

つづく


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