はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花村と海 7 [花村と海]

今夜はまさにいが不在。

というわけで、朋が家長を務める。

「それで、喧嘩の原因は?大きさがバラバラの人参のせいじゃないよな」

兄弟間の争いは出来るだけ早く解消したほうがいい。だからあえて尋ねる。理由は明白なのだけれど、別の可能性もなくはない。

双子の料理の腕は本当にひどい。ほぼ失敗ナシのカレーと言えども、油断はできない。けれど今日のカレーは余計な創作が加わっていなくて、かなりまともだ。

「バラバラくらいがいーの。いろんな食感が楽しめるでしょ」陸はこれを本気で言っている。コウタと同じくらい料理の腕があると、なぜか思い込んでいる愚か者だ。

「煮込み方がいいんじゃない?」と、明らかに自分の仕事に満足げな海。

「このツナサラダ、なかなか豪快だよね」コウタは乱切りキャベツの上にドンと乗っかるツナをつつきながら、混ぜるべきか否かをしばし悩む。

「マヨ醤油でどうぞ」と陸。顔つきを見るに、自信作のようだ。

朋はコウタに醤油を回してやり、代わりにマヨネーズを受け取る。そしてふと、双子が質問に答えていないことに気付く。まさにいなら、二人が答えるまで箸を止めさせているだろう。

「今日、美影さんと花ちゃんがカフェに来たぞ」朋は攻撃を仕掛けた。

「ふうん」海は気のない返事をして、口いっぱいにカレーを頬張った。

「あ、ちゃんと伝えたよ。朋ちゃんの誕生日会の事」陸が頼まれた役目は果たしたとばかりに言う。

「なんで急にやるの?コウタと二人で祝うんじゃないの?」海は口をもごもごさせながら、強い口調で訊ねた。

「それはまた別の日に」朋はコウタに向かってにっこりとする。「美影さんと花ちゃんがお祝いしてくれるって言うから、みんなで相談してカフェでやろうかって」

「そしたら常連さんも顔を出せるでしょ。朋ちゃん、モテモテだからさ」変なプレッシャーをかけられたコウタは、さりげなく仕返しをする。

「俺は、コウタだけでいいんだぞ」モテることを否定しない朋はあっさり切り返す。

呆れ顔の双子。海が代表して、心の声を告げる。「はいはい。そーゆーの、二人きりになってからしてよね。ったく、まさにいがいないからってさ」

「そういうお前も、まさにいがいないからって調子に乗るなよ。喧嘩の原因は花ちゃんだろう?」ズバリ切り込み、停滞する話を進める。

「陸が余計な事を言うから」

「だって、言わなきゃわかんないじゃん。浮気ばっかしてると、いつか一人ぼっちになっちゃうよ」

「浮気なんかしてないし、どうやったって一人になんかなれないよ。このうちにいる限りね!」

海のあまりの剣幕に、陸とコウタは唖然とする。

「じゃあ、出て行くか?」

朋の言葉に三人まとめて唖然とする。

あまりに落ち着いた口調だったからか、本気にしたようだ。朋としては冗談でも本気でもどちらでもよかったが、まさにいのような絶対権力は保持していないので、ただの脅しでしかない。

「コウタ、福神漬け取って」

反抗期の弟の扱いはまさにいの専門だ。

つづく


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