はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花村と海 6 [花村と海]

舌平目をぺろりと平らげたブッチは、暖かさの残る縁側でうたた寝を始めた。

陸は台所に戻り、煮込むだけとなったカレー鍋の前に佇む海に声を掛ける。

あまり言わないようにしてきたけれど、今言わなきゃいつ言う?

いまっきゃないでしょ!

「海、これからどーすんの?花村に謝ったらどう?」

「なんで俺が謝るんだよ。悪いのはあっちじゃん。俺は寿司食べただけだかんね」

海の反論は、ずいぶん子供っぽい。機嫌が悪い時の陸と同じだ。

「美影さんのお兄さんがぐいぐい来てたら、どーする気だったの?」陸は訊ねて、椅子に座った。

「知らないよッ!美高はぐいぐい来なかったし、俺はお寿司食べ過ぎて動けなくなってたし」

変な言い訳。でも、その状態ならよくわかる。

陸もよく、食べ過ぎて動けなくなる。そういうとき、ユーリは無茶したりしない。きっと美高も同じだったのだろう。

となると、まあまあ本気なのかもしれない。

陸の頭の中に、はっきりとした図式が出来上がった。

これはいよいよ花村ピンチなのでは?

「ふうん。ま、どっちでもいいけど。花村が海のことすごく大切にしてるの忘れちゃだめだよ」

善かれと思って言ったが、これがきっかけで喧嘩が勃発する。まるでこれまでの不満が噴き出すかのように、激しいものとなる。

「何説教くさいこと言っちゃってんの?そりゃ陸はいいよ。お金持ちのユーリにいろいろしてもらってさ!」

「お金とか関係ないじゃん!海だって、ユーリのおかげでいいお肉食べてるくせにッ!」

「時々じゃん!それにみんな食べてるしッ!」

「みんなは文句言わないもん!」

「まさにいはいつも文句言ってるよ。ユーリのこと、嫌いだもん」海が意地悪く言う。

陸はカッカして言い返す。「ユーリはあれでいいんだよ。みんなに気に入られるユーリなんて気持ち悪いもん。言っとくけど、花村のことはみんな好きなんだからね。だから海のしたことみんな許さないと思うよ」

「俺のしたことって何さ!何にもしてないのに、花村もお前もみんなして責めてさ……」怒鳴り疲れたのか、海は不意に口をつぐむ。

陸の足元には久しぶりの兄弟喧嘩をおっかなびっくり眺めるブッチがいた。うるさくて、寝られやしないというわけだ。

睨み合っていると、玄関のドアが開いた。

「お前ら、何してんの?外まで声聞こえてたけど」買い物袋を手にしたコウタの後ろの朋が、不快感も露わに言った。

言い合いに夢中で、迂闊にも朋の車が庭に上がってくる音を聞き逃していた。

「俺、悪くないからね」海が先んじる。

「俺だって、悪くない」陸も負けじと語気を荒くした。

「どっちも悪い。だいたいお前らが悪くなかったことなんてあるか?ハンパない記憶力の持ち主、まさにいに聞いてもいいぞ」朋は双子の脇をすり抜け、自分の部屋に入る。コウタは面白がるような顔つきで、買い物袋をテーブルの上に置いた。

「いいよッ。朋ちゃんだって記憶力いいんだから」わざわざ何言っちゃってんの!

「そうだよ。まさにいに告げ口とか、大人げないからやめてよね」

兄の登場で、図らずも一致団結した双子だった。

つづく


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