はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花村と海 4 [花村と海]

花村がカフェで作戦会議を開いているその頃、海は須山の家にいた。

大好物のアイスを食べて、テストの答え合わせのようなものをちょっとして、これからどうしようかというところ。

「うーみ。考え事?」

須山の声に海は目をぱちくりとさせた。

目の前には須山の綺麗な顔。今にもキスしそうな唇で顔を近づけてくる。でも海の頭の中は花村のことでいっぱい。

と言っても、恋しいとか会いたいとか、そういうのとは違う。花村の怒って無視してという態度に、ものすごく腹を立てているのだ。しかも俺が誰と何をしようがお構いなし。俺の花村らしくない。もしかすると、本当に愛想を尽かされたのかな。

「俺、帰る」海は気のない様子で、ソファ代わりに座っていたベッドから立ち上がった。新しいシーツの手触りは最高だけど、ここに横になる気はない。

そもそも須山が甘い声で海を家に誘ったのは、去年し損ねた続きをするためだ。そのとき海はまだフリーだったし、須山と付き合ってもいいという気持ちが少なからずあった。しかし、あの時と今とでは状況が違う。

「それはないんじゃない?」ベッドの下に座っていた須山は、海の手首を掴んで引き戻した。強い力を加えたわけではなかったが、海は須山の上に力なく倒れ込んだ。「まったく。重症だな」須山はぼやくように言った。

確かにいつもの海なら、須山の手を振り解くなど朝飯前。抵抗しきれないということは、する気がないか、精神的に参っているかのどちらか。

「怪我なんてしてないよ」重症の意味を取り違え、海はふてくされる。

「そうだな。見た目はきれいだ」須山は海を抱き締め首筋に唇を置いた。「噛みたくなるほどね」

「噛まれるの好きじゃない」陸と違って痛いのは嫌いだ。

「拒絶するんなら、もっとはっきりして欲しいな」須山は諦めたように身体を起こし、海にキスをする。やわらかくもっちりとした唇を舌先で割って、するりと舌を滑り込ませた。

海は何かを確かめるように舌を絡ませ、須山の首に腕をまわす。花村より、細く長い首。すべてがバランスよく美しいけれど、どこか物足りない。

海は舌を引き、須山を押し戻した。

「俺、帰るね。須山とは仲良くしたいけど、もうこういうのはなし」理由はわからないけど、須山とはずっと友達でいる方がいい気がする。

「花村の方がいい?」

「何言ってんの?そういうんじゃないし」海はシャツの袖で口を拭った。キスは正直、甲乙付け難い。花村はなかなかキス上手だ。

「はいはい。ま、これからも友達でいよーな。二人が別れるまでの辛抱だし」

「何か言った?」

「いーや」須山はにっこりと笑った。まだまだ諦める気はないようだ。

つづく


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