はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
裏・花嫁の秘密 1-4 [裏・花嫁の秘密]
噂は本当だったのか。
いや、ごく近しい人物しか知りえない事実だ。
おそらく当時屋敷にいたものは全員知っていただろう。幼いサミーが父親に折檻されていたことを。痕が残るほど鞭打たれていたことを。父親のやり場のない失望感の犠牲になっていたのだ。
親が子供を鞭打つことはしつけ上よくあることだ。
だがこれはあまりにもひどい。
エリックには理解できなかった。当たり前だ。コートニー家には鞭打つ者など誰もいなかったし、両親は子供を傷つける行為を嫌悪していたほどだ。
成長して引き攣れた傷跡に指先で優しく触れた。もう、傷が痛むことがないと分かっていても、まるでその痛みが伝わるかのように胸が苦しくなった。
「醜いだろう」
悲しそうに顔を歪めたサミーが小さく言った。
エリックは一瞬言葉が出なかった。そんな事は無いと言ってやりたかったのに、あまりにすべてを諦めたような口調にショックを受けていた。
「抱く気が、失せただろう」
サミーはまるで抱いてくれと言っているようだった。
こんな傷ごときで、サミーを欲する気が失せるはずがない。
エリックは思わずにやりと笑みを浮かべていた。
「そんなこと言っても、やめない。もう抱くと決めているからな」
エリックはサミーの足の間に、自分の足を入れ、股をひらかせた。
「いい子だ。毎日浴びるほど酒を飲ませてやろう」
サミーが従順なのは酒のおかげだ。
「君は僕が酔っていると思っているのか」
「違うのか」
「違うさ。僕はそんなに酒に弱くない」
エリックは笑いを堪えた。
シルバーの瞳が澄み切った湖のように、穏やかにたっぷりと潤んでいる。
おそらくこちら側を見ているのだろうが、俺の顔がはっきりと見えているとは言い難い。口元が妙に色っぽくうごめくさまを見て、だれがいつもと変わらないサミーだと思うのだろうか。
酒を飲んでいない時の皮肉たっぷりに引き結ばれた唇とは大違いだ。
まあ、それでも酔っていないと言うならそういう事にしておこう。
しらふでも、俺に抱かれてもいいと思ってくれていると解釈することにする。
「そうだな、お前は酒に弱くない」サミーが納得したようにふんと鼻を鳴らした。「ただ、酒に酔ったお前に、俺が弱いんだ」
サミーは言葉の意味を理解できていないのだろう。「そうだ、お前は弱い」と得意げに返してきたのだから。
急に愛おしさが込み上げた。
そろそろ認めるしかないのだろう。サミーに対する気持ちが欲望のみではない事を。俺はこの男を心底欲している。その心さえも手に入れたいと思っているのだ。
長い道のりになりそうだ。
つづく
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いや、ごく近しい人物しか知りえない事実だ。
おそらく当時屋敷にいたものは全員知っていただろう。幼いサミーが父親に折檻されていたことを。痕が残るほど鞭打たれていたことを。父親のやり場のない失望感の犠牲になっていたのだ。
親が子供を鞭打つことはしつけ上よくあることだ。
だがこれはあまりにもひどい。
エリックには理解できなかった。当たり前だ。コートニー家には鞭打つ者など誰もいなかったし、両親は子供を傷つける行為を嫌悪していたほどだ。
成長して引き攣れた傷跡に指先で優しく触れた。もう、傷が痛むことがないと分かっていても、まるでその痛みが伝わるかのように胸が苦しくなった。
「醜いだろう」
悲しそうに顔を歪めたサミーが小さく言った。
エリックは一瞬言葉が出なかった。そんな事は無いと言ってやりたかったのに、あまりにすべてを諦めたような口調にショックを受けていた。
「抱く気が、失せただろう」
サミーはまるで抱いてくれと言っているようだった。
こんな傷ごときで、サミーを欲する気が失せるはずがない。
エリックは思わずにやりと笑みを浮かべていた。
「そんなこと言っても、やめない。もう抱くと決めているからな」
エリックはサミーの足の間に、自分の足を入れ、股をひらかせた。
「いい子だ。毎日浴びるほど酒を飲ませてやろう」
サミーが従順なのは酒のおかげだ。
「君は僕が酔っていると思っているのか」
「違うのか」
「違うさ。僕はそんなに酒に弱くない」
エリックは笑いを堪えた。
シルバーの瞳が澄み切った湖のように、穏やかにたっぷりと潤んでいる。
おそらくこちら側を見ているのだろうが、俺の顔がはっきりと見えているとは言い難い。口元が妙に色っぽくうごめくさまを見て、だれがいつもと変わらないサミーだと思うのだろうか。
酒を飲んでいない時の皮肉たっぷりに引き結ばれた唇とは大違いだ。
まあ、それでも酔っていないと言うならそういう事にしておこう。
しらふでも、俺に抱かれてもいいと思ってくれていると解釈することにする。
「そうだな、お前は酒に弱くない」サミーが納得したようにふんと鼻を鳴らした。「ただ、酒に酔ったお前に、俺が弱いんだ」
サミーは言葉の意味を理解できていないのだろう。「そうだ、お前は弱い」と得意げに返してきたのだから。
急に愛おしさが込み上げた。
そろそろ認めるしかないのだろう。サミーに対する気持ちが欲望のみではない事を。俺はこの男を心底欲している。その心さえも手に入れたいと思っているのだ。
長い道のりになりそうだ。
つづく
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2011-09-04 00:12
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