はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
妄想と暴走 5 [妄想と暴走]
ジェームズは嫉妬深い。そのうえ、臆病だ。
その臆病さゆえ、出会ってからずっと想いを寄せてきた相手に、ただのひとつも自分の気持ちを伝えることが出来なかった。そのうち、ひょっこり現れた子供に想い人をあっさり奪われてしまい、長きに渡って嫉妬に身を焦がすはめになった。
苦しみ抜いた末、ついに先日とどめを刺されたのだが、その傷を舐めて癒そうとする男がいま腕の中にいる。
厄介で手に余る男だが、ジェームズは自分で思うよりもこの男を好いている。時折見せる嫉妬深い態度や、臆病な言動がそれを如実に物語っている。
「ひとついいですか?」
蔦のように絡みつくパーシヴァルを揺さぶりながら、おもむろに尋ねた。
「んん……なんだい、じぇえむず」
パーシヴァルはジェームズのあちこちに口づけるので手一杯な様子で、首筋に噛みつきながらやっと一息ついた。
ジェームズはうっと呻き、束の間ためらった後、きっぱりと言った。
「ひとときの関係はごめんです」
そういうのは元々性分に合わない。こっちが気を許した途端、ゴミくずのように捨てられるのも我慢ならない。
パーシヴァルはジェームズの言葉を聞いた途端、驚いた様子でパッと身を離した。
「き、君はいままでの僕の告白を一切聞いていなかったようだな。僕はジェームズ以外の誰かと、こうやって抱き合ったりキスしたり、身体をベタベタさわったり、そういうことをしないと誓った。僕は全部君に捧げたんだ。心も、身体も、全部だぞ!それなのに、これをいっときの事だと言うのか?僕を傷つけたいのか?」
怒りで声は震え、顔は真っ赤だ。
こんなふうに反論されるとは思わなかった。ただ一言、僕もだと言ってくれればそれでよかった。
ジェームズの臆病さがパーシヴァルを傷つけた。パーシヴァルはこれまで何度も本気だという事をみせてきた。一途に。
そんなパーシヴァルを拒んではほんの少しだけ受け入れ、ことあるごとに期待させては失望させ、振り回してきたのはジェームズだ。
「すまなかった」
ジェームズはダークブロンドの髪に触れ、頬を撫で、唇に吸い寄せられるように、パーシヴァルに覆いかぶさった。
ここは図書室だぞ。という声がどこかで聞こえたが、ジェームズはかまわなかった。そろそろ本気でパーシヴァルに特別な感情を抱いていることを認めなければならない。
キス以上の何かを望んでいるなら、それを与える覚悟もある。
もはや躊躇いなどない。パーシヴァルが欲しいと言うなら、僕のすべてだって与えてやる。真剣には真剣を。
ジェームズは何事も徹底した男でもあった。
つづく
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その臆病さゆえ、出会ってからずっと想いを寄せてきた相手に、ただのひとつも自分の気持ちを伝えることが出来なかった。そのうち、ひょっこり現れた子供に想い人をあっさり奪われてしまい、長きに渡って嫉妬に身を焦がすはめになった。
苦しみ抜いた末、ついに先日とどめを刺されたのだが、その傷を舐めて癒そうとする男がいま腕の中にいる。
厄介で手に余る男だが、ジェームズは自分で思うよりもこの男を好いている。時折見せる嫉妬深い態度や、臆病な言動がそれを如実に物語っている。
「ひとついいですか?」
蔦のように絡みつくパーシヴァルを揺さぶりながら、おもむろに尋ねた。
「んん……なんだい、じぇえむず」
パーシヴァルはジェームズのあちこちに口づけるので手一杯な様子で、首筋に噛みつきながらやっと一息ついた。
ジェームズはうっと呻き、束の間ためらった後、きっぱりと言った。
「ひとときの関係はごめんです」
そういうのは元々性分に合わない。こっちが気を許した途端、ゴミくずのように捨てられるのも我慢ならない。
パーシヴァルはジェームズの言葉を聞いた途端、驚いた様子でパッと身を離した。
「き、君はいままでの僕の告白を一切聞いていなかったようだな。僕はジェームズ以外の誰かと、こうやって抱き合ったりキスしたり、身体をベタベタさわったり、そういうことをしないと誓った。僕は全部君に捧げたんだ。心も、身体も、全部だぞ!それなのに、これをいっときの事だと言うのか?僕を傷つけたいのか?」
怒りで声は震え、顔は真っ赤だ。
こんなふうに反論されるとは思わなかった。ただ一言、僕もだと言ってくれればそれでよかった。
ジェームズの臆病さがパーシヴァルを傷つけた。パーシヴァルはこれまで何度も本気だという事をみせてきた。一途に。
そんなパーシヴァルを拒んではほんの少しだけ受け入れ、ことあるごとに期待させては失望させ、振り回してきたのはジェームズだ。
「すまなかった」
ジェームズはダークブロンドの髪に触れ、頬を撫で、唇に吸い寄せられるように、パーシヴァルに覆いかぶさった。
ここは図書室だぞ。という声がどこかで聞こえたが、ジェームズはかまわなかった。そろそろ本気でパーシヴァルに特別な感情を抱いていることを認めなければならない。
キス以上の何かを望んでいるなら、それを与える覚悟もある。
もはや躊躇いなどない。パーシヴァルが欲しいと言うなら、僕のすべてだって与えてやる。真剣には真剣を。
ジェームズは何事も徹底した男でもあった。
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2014-04-14 00:25
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