はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
妄想と暴走 3 [妄想と暴走]
あれだけ意気込んでいたくせに、どこか上の空のパーシヴァルを見ながら、ジェームズは今後のクラブ経営について真面目に考えていた。
僕は帳簿を管理し金銭の出入りに気を付けていればいい。ジャスティンが抜けた穴はハリーが補ってくれる。
だから、パーシヴァルはハウスパーティーのホストのような存在でいればいい。
頭では分かっているのに、どうもしっくりこない。
パーシヴァルのような人間は仕事をするにふさわしくない。もちろん将来的には、あちこちに点在する領地の管理という仕事が待っている。けど、それも、土地管理人や財産管理人がいれば、死ぬまで仕事とは無縁の生活を送れる。時折、決済の為にサインすればいいだけのこと。
「ジェームズこっちへ来ないのか?」
見習い使用人のデイヴナムがティーセットを手にやってくると、パーシヴァルは上機嫌でジェームズに手招きをした。
まるで愛人をベッドに誘うような仕草だな、とジェームズは思った。
いっそ愛人のように振舞ってみようか?パーシヴァルがのぼせあがっているのは、どうせ一時のこと。長くは続きはしない。
ジェームズはデイヴナムを目で追い払うと、間になぜこの屋敷にあるのか分からないピンク色のクッションを挟んでパーシヴァルの横に座った。
パーシヴァルはマグを握り締める子供のように、華奢なティーカップを両手で包み込んでいたが、あたふたとティーカップを小さくて背の低いテーブルの上に戻すと、ぐいぐいと詰め寄って来た。
「ジェームズはコーヒーがよかったんじゃないのか?チャーリーのやつ、おやつを忘れたようだ。どうしても欲しいと言うなら、もう一度忌々しいチャーリーを呼びつけるけど?」本当はもう誰ひとりとしてこの場に立ち入らせたくないといった口ぶりだ。
「なにをヒナみたいなこと言っているのですか?今日から当分の間、まともなおやつが食べられるなんて思わないように。シモンはヒナがいなくてすっかりやる気をなくしていますから」
「そうなのか?ヒナが手に大事そうに持っていたバスケットからは、甘くていい匂いが漂っていたけど、まさか僕の分を置いて行ってくれないなんて、まったく!冷たい坊やだよ、ヒナは」
「ヒナは欲張りでケチですからね」おやつもジャスティンもひとり占めにしてしまった。
「うん、言えてる」パーシヴァルは頭を上下に振った。「ところで、僕だって欲張りなんだけどな」と言って、身体を傾げてきた。
ジェームズはパーシヴァルを押し返した。「でしょうね。ラドフォードの人間は強欲な者が多いようですから」
「むっ。伯父と一緒にしないでもらいたいね。僕は自分の欲を満たすために誰かを困らせるような事はしない」
「ほおぉ」
「なにが、ほおぉ、だよっ!僕が君を困らせているとでも言いたいのか?」
「違うとでも?」
パーシヴァルが傷ついた顔をした。冗談も通じないとは――いや、冗談だとも言い切れないのだが、いまはキスくらいならしてもいいと思っている。パーシヴァルの身体から匂い立つ誘惑の香りに抗えなければ、もう少し先まで行ってしまいそうだ。
つづく
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僕は帳簿を管理し金銭の出入りに気を付けていればいい。ジャスティンが抜けた穴はハリーが補ってくれる。
だから、パーシヴァルはハウスパーティーのホストのような存在でいればいい。
頭では分かっているのに、どうもしっくりこない。
パーシヴァルのような人間は仕事をするにふさわしくない。もちろん将来的には、あちこちに点在する領地の管理という仕事が待っている。けど、それも、土地管理人や財産管理人がいれば、死ぬまで仕事とは無縁の生活を送れる。時折、決済の為にサインすればいいだけのこと。
「ジェームズこっちへ来ないのか?」
見習い使用人のデイヴナムがティーセットを手にやってくると、パーシヴァルは上機嫌でジェームズに手招きをした。
まるで愛人をベッドに誘うような仕草だな、とジェームズは思った。
いっそ愛人のように振舞ってみようか?パーシヴァルがのぼせあがっているのは、どうせ一時のこと。長くは続きはしない。
ジェームズはデイヴナムを目で追い払うと、間になぜこの屋敷にあるのか分からないピンク色のクッションを挟んでパーシヴァルの横に座った。
パーシヴァルはマグを握り締める子供のように、華奢なティーカップを両手で包み込んでいたが、あたふたとティーカップを小さくて背の低いテーブルの上に戻すと、ぐいぐいと詰め寄って来た。
「ジェームズはコーヒーがよかったんじゃないのか?チャーリーのやつ、おやつを忘れたようだ。どうしても欲しいと言うなら、もう一度忌々しいチャーリーを呼びつけるけど?」本当はもう誰ひとりとしてこの場に立ち入らせたくないといった口ぶりだ。
「なにをヒナみたいなこと言っているのですか?今日から当分の間、まともなおやつが食べられるなんて思わないように。シモンはヒナがいなくてすっかりやる気をなくしていますから」
「そうなのか?ヒナが手に大事そうに持っていたバスケットからは、甘くていい匂いが漂っていたけど、まさか僕の分を置いて行ってくれないなんて、まったく!冷たい坊やだよ、ヒナは」
「ヒナは欲張りでケチですからね」おやつもジャスティンもひとり占めにしてしまった。
「うん、言えてる」パーシヴァルは頭を上下に振った。「ところで、僕だって欲張りなんだけどな」と言って、身体を傾げてきた。
ジェームズはパーシヴァルを押し返した。「でしょうね。ラドフォードの人間は強欲な者が多いようですから」
「むっ。伯父と一緒にしないでもらいたいね。僕は自分の欲を満たすために誰かを困らせるような事はしない」
「ほおぉ」
「なにが、ほおぉ、だよっ!僕が君を困らせているとでも言いたいのか?」
「違うとでも?」
パーシヴァルが傷ついた顔をした。冗談も通じないとは――いや、冗談だとも言い切れないのだが、いまはキスくらいならしてもいいと思っている。パーシヴァルの身体から匂い立つ誘惑の香りに抗えなければ、もう少し先まで行ってしまいそうだ。
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2014-04-10 01:06
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