はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
迷子のヒナ 9 [迷子のヒナ]
パタパタと騒々しい足音が聞こえ、ジャスティンは読むともなしに広げていた新聞を畳んで、脇へ置いた。
ヒナがやっと姿を見せた。
今朝もいつもどおり完璧な身なりで、息苦しそうにしている。ジャスティンは笑みを零した。ヒナはクラヴァットを引きちぎらないように、両手を握りこぶしにしている。そのうち、本当に引きちぎる日も近いと、ジャスティンは思った。
こっちとしてはヒナがどんな格好をしていようが全く気にしないというのに――裸以外なら――、ダンはジャスティンが気にすると思い、ヒナに肖像画の中のどこぞの貴族の息子のような恰好をさせるのだ。
「おはようございます、お坊ちゃま。どうされましたか?」
最近素っ気ない態度を取り過ぎたためか、昨日の事を気にしているのか、戸口でもじもじしているヒナにホームズが声を掛けた。声を掛けられたヒナはハッとして頬を赤らめ、おはようと挨拶を返している。
「ヒナ、来なさい」
ジャスティンが手招きをすると、ヒナは、これから一週間は悪い事など起こらないようなとびきりの笑顔で駆け寄って来た。
ジャスティンはヒナを膝に乗せ、額と頬にキスをした。
これは朝の挨拶だ。
そう自分に言い聞かせながら、唇にもキスをした。
ヒナはくすぐったそうにクスクスと笑い、ジャスティンの頬にキスのお返しをした。
「ジュス、おはよう。ジャムは、どこ?」なんともたどたどしい口調だが、これでもまったく会話が出来なかった頃に比べればマシになった方だ。
ちなみにジュスとはジャスティンのことで、ジャムとはジェームズの事だ。
「昨日、行ってはいけない場所に行っただろう。おかげであの後大変だったんだぞ」と言ってもヒナに分かるはずがない。
「ジュスに会いたかった。ひとりはいや」
「仕事中は会えないと言っただろう。言う事聞かないと、ジェームズに言い付けるぞ」
ヒナはいやいやと首を振った。
「お坊ちゃま、いつもの甘いパンと卵とハムでよろしかったですか?食べ終わったら、シモンの特製プリンが準備してありますので、たくさん召し上がってください」
ホームズが恭しい手つきで、ヒナが座る席に料理を乗せた皿を置いた。朝は少食のヒナの為に、ホームズはデザートで釣る作戦に出たようだ。
「プリン、食べたい」
「あの皿を空にしたらな」
「プリン……食べたい。ジュスいいでしょ?」
ヒナはジャスティンの胸に置いた手でシャツをぎゅっと掴んだ。
途端にジャスティンの身体に震えが走った。
たかがシャツを掴まれたくらいで、悦ぶ身体が恨めしい。もしもこの手が素肌の上を這ったら――想像しただけで下腹部に熱が集まりだした。
これは、非常にまずい。
つづく
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ヒナがやっと姿を見せた。
今朝もいつもどおり完璧な身なりで、息苦しそうにしている。ジャスティンは笑みを零した。ヒナはクラヴァットを引きちぎらないように、両手を握りこぶしにしている。そのうち、本当に引きちぎる日も近いと、ジャスティンは思った。
こっちとしてはヒナがどんな格好をしていようが全く気にしないというのに――裸以外なら――、ダンはジャスティンが気にすると思い、ヒナに肖像画の中のどこぞの貴族の息子のような恰好をさせるのだ。
「おはようございます、お坊ちゃま。どうされましたか?」
最近素っ気ない態度を取り過ぎたためか、昨日の事を気にしているのか、戸口でもじもじしているヒナにホームズが声を掛けた。声を掛けられたヒナはハッとして頬を赤らめ、おはようと挨拶を返している。
「ヒナ、来なさい」
ジャスティンが手招きをすると、ヒナは、これから一週間は悪い事など起こらないようなとびきりの笑顔で駆け寄って来た。
ジャスティンはヒナを膝に乗せ、額と頬にキスをした。
これは朝の挨拶だ。
そう自分に言い聞かせながら、唇にもキスをした。
ヒナはくすぐったそうにクスクスと笑い、ジャスティンの頬にキスのお返しをした。
「ジュス、おはよう。ジャムは、どこ?」なんともたどたどしい口調だが、これでもまったく会話が出来なかった頃に比べればマシになった方だ。
ちなみにジュスとはジャスティンのことで、ジャムとはジェームズの事だ。
「昨日、行ってはいけない場所に行っただろう。おかげであの後大変だったんだぞ」と言ってもヒナに分かるはずがない。
「ジュスに会いたかった。ひとりはいや」
「仕事中は会えないと言っただろう。言う事聞かないと、ジェームズに言い付けるぞ」
ヒナはいやいやと首を振った。
「お坊ちゃま、いつもの甘いパンと卵とハムでよろしかったですか?食べ終わったら、シモンの特製プリンが準備してありますので、たくさん召し上がってください」
ホームズが恭しい手つきで、ヒナが座る席に料理を乗せた皿を置いた。朝は少食のヒナの為に、ホームズはデザートで釣る作戦に出たようだ。
「プリン、食べたい」
「あの皿を空にしたらな」
「プリン……食べたい。ジュスいいでしょ?」
ヒナはジャスティンの胸に置いた手でシャツをぎゅっと掴んだ。
途端にジャスティンの身体に震えが走った。
たかがシャツを掴まれたくらいで、悦ぶ身体が恨めしい。もしもこの手が素肌の上を這ったら――想像しただけで下腹部に熱が集まりだした。
これは、非常にまずい。
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2013-03-18 00:49
nice!(0)
コメント(1)
拍手秘コメ Mさまへ
いえいえ、いつもコメントありがとうござます。
新しいお話も、すっかり溺愛モードで、結局同じパターンになっちゃいそうですが^_^;
でも、あんまり可哀相な事が出来なくて……今回は心を鬼にして!と思ってるんですけどね~
どうなることやら。
ヒナは海や陸とは違って、ちょっとおばかさんなとこが……
天然なのかなー!?
これから性格を掴みつつ、お話進めていきますねー(*^_^*)
コメントありがとうござました♪
by やぴ (2013-03-19 22:17)