はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

迷子のヒナ 2 [迷子のヒナ]

「パーシヴァルが相手を探していると触れ回れ。すぐに何人か集まる」
ジャスティンはこれでこの話は終いだとばかりにぴしゃりと言うと、ジェームズの横をすり抜け部屋を出た。

「ジャスティン!待て――」ジェームズはジャスティンを追った。
ヒナの事になるとジャスティンはすぐに頭に血が上って周りが見えなくなる。

まるで、ここ<スティーニー館>が二人にとってどんな場所なのか忘れてしまったかのように。

「今夜の仕事は終わった。後はお前に任せる」

ほとんど走るようにして歩くジャスティンの黒髪が風になびく。同じくらい足の長いジェームズだが、最大限の歩幅でも置いて行かれそうだ。

「ジャスティン、君はここの経営者だ。客に問題があれば解決するのは君の役目だろう?」

「ジェームズ。その言い方は気にいらないな。ちょっとした揉め事なら、支配人に任せておけばいい。あいつはよく出来た男だ」

お前と違って――という言葉が聞こえた気がした。ジェームズは奥歯を噛みしめ、ジャスティンをこれ以上怒らせるような事は口にするまいとした。

ヒナのせいですっかり変わってしまったジャスティン。あんな子供に心を奪われるなんてどうかしている。東洋人の血が混じった貧弱で無知な子供。自分が同じ歳の頃は生きるために必死で何でもした。だがあの子供はジャスティンの庇護のもと、ぬくぬくと何不自由なく暮らしている。

頭の中で悪態を吐き、すっかり気持ちを落ち着けてから、ジェームズはやっと口を開いた。

「そうだな、ハリーにまかせるよ」そう言って、溜息を飲み込んだ。ヒナに嫉妬してなんになる?

「頼んだ」そう言い残して、ジャスティンは裏口から自宅へと戻って行った。表通りに面した町屋敷はスティーニー館の中庭を突っ切れば、ものの数分で辿り着ける。ジャスティンは、両屋敷を繋ぐ、入り組んだ地下通路を使おうなどとは微塵も思わないだろう。

ジャスティンはこれからヒナに説教をするのだろうか?
そんなはずはないと、ジェームズはかぶりを振った。

ジャスティンはもう何日もヒナに会っていない――朝食の数十分を除いてだが。とにかく、会わないようにしているのだ。
その理由はジェームズにもわかっていたが、あえて触れないようにしている。

まったく。さっさとやってしまえばいいものを、まるで宝箱に仕舞った人形のように扱うのだから、情けない話だ。

ジェームズはハリーを探して、玄関広間へ向かった。ハリーの事だから、すでにクロフト卿を宥めているだろう。

しかし、なんだってクロフト卿はヒナに目を留めたのだろうか?これまで彼が付き合ってきた人物とは似ても似つかないというのに。

つづく


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あとがき
こんばんは、やぴです。
どうやらジェームズはヒナをあまりよく思っていないようです…。
ハリーはクラブの支配人です。 

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