はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

好きとか言ってないし 7 [好きとか言ってないし]

屈辱。

それが一番しっくりくる。
ユーリに置き去りにされ、真っ暗な応接室(おそらく)で、脱がされたシャツのボタンを留めていた。長い時間圧し掛かられていたためか、身体がいう事を訊かなかった。ギシギシと軋むのは尻にも言えることで、陸はソファの下に落ちている携帯電話を拾った。

着信のランプがチカチカしていた。
携帯を開くと、コウタからメールが数件入っていた。

心配してくれたのは、コウタだけなんだ。自分を除いた兄弟は四人。
長兄の聖文、次兄の朋、そしてコウタ。弟の海。

そんなにいるのに、心配してくれたのはコウタだけ?
一番頼りたくない人物なのに、気付いたらコウタに電話をしていた。

『陸!いまどこ?何してるの?』

「ちょっとね……あのさ、迎えに来てくれる?誰にも内緒で――」

『内緒……?いいけど、学校?』

「えー、うん。校門の前で待ってるから。お願いね」

陸は電話を閉じ、高等部の校舎にいる事がばれずに中等部の校舎まで戻れるのかを考えていた。
あれからいったい何時間経ったのか――時間を確認して、あの悪党に掴まって三時間が過ぎていたことに気付いた。

陸はゆっくりと立ち上がった。
途端に身体が悲鳴を上げた。

痛い。痛すぎる。

涙が溢れ、やっと自分がされたことがどんなものだったのかを自覚した。
ろくに抵抗できず、まんまと犯された自分に腹が立つ。
しかも、あれが犯されたといえるのかどうかも疑わしい。なにせ、その間に自分もイっちゃったのだから。

陸はなんとか身体を引きずり、校門の前まで辿り着いた。ゆうに三十分は経ったのではないだろうか?

「陸っ!何かあったの?」
心配そうに駆け寄ってくるコウタに自然と顔が歪み涙が零れていた。
俺よりもチビのコウタの前でなんか泣きたくないのに、それでも、こうやって来てくれたのはコウタだけなんだ。

陸はコウタに倒れ込むように抱き付いた。しっかりとしがみつき、声をあげて泣いた。その間コウタは何も訊いてこなかったが、おそらく陸の状態からなにが起こったのか気付いているのだろう、しばらくしてゆっくりと口を開いた。

「陸、自転車は?」

「今日は無理、乗れない」

「じゃあ一緒にタクシーで帰る?」

「俺お金持ってない」

「馬鹿、そんな心配するなよ。お金は僕が持ってるから」

コウタが頼もしく見えた。兄弟で一番小さくて、泣き虫で、けど、一番やさしくて、実は朋ちゃんの好きな人で――たぶんコウタも好きで。

いまはコウタにすべてを打ち明けたくて堪らなかった。
ひとりで抱え込むには重すぎる出来事だ。それに兄弟で彼氏×彼氏の状態にあるコウタなら、なにかいいアドバイスをくれるかもしれない。
本当は朋ちゃんの方に訊きたかったけど、今目の前にいるのはコウタだから仕方がない。

「ねえ、コウタ。朋ちゃんとセックスしたことある?」

この質問が一番の近道だ。

つづく


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