はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
憧れの兄、愛しの弟 9 [憧れの兄、愛しの弟]
「好きだよ。だから勇気を出して告白だってしたし、それをなかった事にもした。それに、僕には魅力はないよ……朋ちゃんとは違うもん」
即答だった。コウタがいい加減な気持ちで誰かと付き合ったりするはずがないのは分かっていたが、何のためらいもなく言葉を返されると、賛辞を送りたくなる。こんなに男らしい男はいない。あっぱれだ。
だが、最後の一言が癪に障る。
どうして、俺と比べる必要がある?自分がそれなりに整った顔立ちをしているのは分かっているが、ただそれだけだ。魅力と言えるほどでもないし、自分からすればコウタの方が魅力をふんだんに兼ね備えている。
「俺とお前が違うのは当たり前だろう?」
「う、うん……そうだね」
きつい言い方になってしまったからか、コウタは椅子をまわし、机に向かってしまった。これ以上何かを言うと、どんどん卑屈になっていくだけだ。この会話が二人の仲に亀裂を生じさせるような気さえする。
朋は立ち上がり「ちょっと下からいるもの取ってくる」と言って階下へ向かった。
半乾きの髪を首にかけているタオルでくしゃくしゃとし、ダイニングへ入ると、いつの間にか聖文が帰宅していた。
「どこか出掛けていたのか?」
「見れば分かるだろう。せっかくの休みに飲み会なんかうんざりする」そう言って聖文は、アルコールの混じった息を吐き出し、水の入ったグラスを口に付けた。シャツのボタンを三つも外しているのは、飲み会からなのか、帰宅してからなのか……。
「今日食事当番だったんじゃない?」
「コウタと変わってもらった」
「ふーん」
当番を手伝う事はあっても誰かに変わってもらうなど、聖文以外は恐ろしくてできない事だ。この食事当番は聖文がそれぞれのスケジュールに合わせ、ひと月単位で綿密に決めているのだ。他の当番に関しても同様だ。
テーブルの上を見ると、ラップのかかった皿が二つ並べて置いてあった。朋と聖文の分だ。
「あいつ、飲み会だって言ったのに――」
聖文はちっと舌打ちをし、皿をレンジへ持っていく。「お前も食べるか?」
「いや、俺はいい」
いまいましそうに皿をレンジへ放り込んだ聖文だが、実のところ喜んでいるのだ。聖文もこういう余計な気遣いをするコウタが好きなのだ。もちろん朋が抱いている気持ちとは違うけれど。
「機嫌が悪いのか?」聖文が訊いた。
聖文が座っている真向いの椅子に座ると、朋は「いいや」とそっけなく答えた。
「なら、そのふくれっ面やめろ。お前は、何か気に入らない事があると、すぐに顔に出る」
そっちこそ!と言いたい衝動を抑え、コウタの作った夕食に目を向ける。
今夜のおかずはチキン南蛮。
迫田家の定番料理にして、家族全員の大好物。
案外簡単で――コウタに言わせれば――ボリューム満点、ごはんが進む。男兄弟の迫田家にはもってこいのおかずだ。
これを食べずに今夜眠れるのか?
つづく
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即答だった。コウタがいい加減な気持ちで誰かと付き合ったりするはずがないのは分かっていたが、何のためらいもなく言葉を返されると、賛辞を送りたくなる。こんなに男らしい男はいない。あっぱれだ。
だが、最後の一言が癪に障る。
どうして、俺と比べる必要がある?自分がそれなりに整った顔立ちをしているのは分かっているが、ただそれだけだ。魅力と言えるほどでもないし、自分からすればコウタの方が魅力をふんだんに兼ね備えている。
「俺とお前が違うのは当たり前だろう?」
「う、うん……そうだね」
きつい言い方になってしまったからか、コウタは椅子をまわし、机に向かってしまった。これ以上何かを言うと、どんどん卑屈になっていくだけだ。この会話が二人の仲に亀裂を生じさせるような気さえする。
朋は立ち上がり「ちょっと下からいるもの取ってくる」と言って階下へ向かった。
半乾きの髪を首にかけているタオルでくしゃくしゃとし、ダイニングへ入ると、いつの間にか聖文が帰宅していた。
「どこか出掛けていたのか?」
「見れば分かるだろう。せっかくの休みに飲み会なんかうんざりする」そう言って聖文は、アルコールの混じった息を吐き出し、水の入ったグラスを口に付けた。シャツのボタンを三つも外しているのは、飲み会からなのか、帰宅してからなのか……。
「今日食事当番だったんじゃない?」
「コウタと変わってもらった」
「ふーん」
当番を手伝う事はあっても誰かに変わってもらうなど、聖文以外は恐ろしくてできない事だ。この食事当番は聖文がそれぞれのスケジュールに合わせ、ひと月単位で綿密に決めているのだ。他の当番に関しても同様だ。
テーブルの上を見ると、ラップのかかった皿が二つ並べて置いてあった。朋と聖文の分だ。
「あいつ、飲み会だって言ったのに――」
聖文はちっと舌打ちをし、皿をレンジへ持っていく。「お前も食べるか?」
「いや、俺はいい」
いまいましそうに皿をレンジへ放り込んだ聖文だが、実のところ喜んでいるのだ。聖文もこういう余計な気遣いをするコウタが好きなのだ。もちろん朋が抱いている気持ちとは違うけれど。
「機嫌が悪いのか?」聖文が訊いた。
聖文が座っている真向いの椅子に座ると、朋は「いいや」とそっけなく答えた。
「なら、そのふくれっ面やめろ。お前は、何か気に入らない事があると、すぐに顔に出る」
そっちこそ!と言いたい衝動を抑え、コウタの作った夕食に目を向ける。
今夜のおかずはチキン南蛮。
迫田家の定番料理にして、家族全員の大好物。
案外簡単で――コウタに言わせれば――ボリューム満点、ごはんが進む。男兄弟の迫田家にはもってこいのおかずだ。
これを食べずに今夜眠れるのか?
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2012-02-07 00:07
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