はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

憧れの兄、愛しの弟 6 [憧れの兄、愛しの弟]

朋はバイトを終え夜十時過ぎに帰宅すると、当たり前のように二階へ上がった。
今日から、コウタと同じ部屋だ。

ドアを開けると、勉強机に向かうコウタが振り返りこちらを見た。パッと表情が明るくなったのを見て、朋の心臓は倍のスピードで脈打ち始めた。

「朋ちゃんお帰り」
部屋へ入ると、ベッドの下に畳んだ布団が積まれていた。

「あ、和室からお客さん用に布団あげておいたから。掛布団は肌掛けだけ持ってきたけど、よかった?」

「ああ、ありがとう」
あまりに嬉しそうな顔は見せまいと、朋は自分の太腿をこっそりと抓った。

「あと、お風呂追い炊きしておいたから、今ちょうどいいと思う」

なんて気が利くんだ。
朋はコウタを抱きしめキスをしたくなったが、態度で示すのはやめて言葉だけにとどめておいた。

「ほんと、気が利くな。こんな嫁さん欲しい――よ……」

コウタの顔が一瞬引きつったのを見て、朋の言葉は途切れた。コウタがその後を繋ぐように口を開く。

「僕も朋ちゃんみたいな旦那さんなら嬉しいかも」

妙に明るい口調で作ったような笑顔。コウタらしくない。

「コウタ……?」どうしてそんな顔をするんだ?

「ん?――朋ちゃん早くお風呂入った方がいいよ。そのうち、まさにいが帰って来るから」
そう言うと、コウタは机に向かってしまった。

何か気に障る事を言っただろうか?もしかして、俺の気持ちがばれてしまったとか?調子に乗って『嫁さん』とか言うんじゃなかった。

だが、コウタが気持ちに気付くなんてことあり得るだろうか?
コウタは色恋沙汰には疎く、実際の経験に関しても双子の弟たちに比べて何歩も出遅れている。

だが、そんなコウタにも彼女が出来た。奥手だと思っていたのに、自分から告白までした。嬉しそうな顔で報告を受けた時は、兄として一緒に喜んだ。
気付いてしまった自分の気持ちを棚上げにしてでも、こんなかわいいコウタの彼女は幸せだなと、二人を応援するつもりでいた。

けれど、昨日の様子では彼女とうまくいっていないようだ。
この事には触れない方がいいのか、それともいつものように軽いノリで確かめるべきか……。

なんだか以前の様にコウタに接する事が出来なくなってきている。いちいち反応を気にして、柄にもなく奥手な自分がいる。

当たり前だ。コウタは男で、大事な弟だ。下手の事できるはずがない。

朋は諦めたように、軽く息を吐き「んじゃ、お風呂行ってくるわ」と足取り重く階段を下りて行った。

つづく


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