はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

憧れの兄、愛しの弟 5 [憧れの兄、愛しの弟]

翌日――

コウタは休憩時間に彼女を廊下に呼び出した。彼女は二つ隣のクラスの子で、これから教室を移動しないといけないからと、すぐに元いた教室へ戻って行った。

どうしても話がしたかったのに。けど、移動ならしかたないか……。
そう思っても避けられている気がしてしょうがない。

廊下に佇むコウタの前を彼女とその友達が通り過ぎていく。彼女はコウタの方をちらりとも見なかった。

昨日彼女が言った『好きで付き合ってるわけないでしょう』という言葉がずっと頭の中をぐるぐるしている。

どうして、谷崎さんは僕と付き合うことを承諾したのだろうか。一方通行だと分かっていたけど、気持ちに答える気がないなら、気を持たせないで欲しかった。

本当の事を言うと、彼女は気を持たせるような事は一切していない。

付き合って欲しいと言った時、彼女は「まあ、とりあえずいいけど」そんな感じの返事をした。それでも有頂天になったのは自分。彼女の気持ちを無視しているのも自分の方なのかもしれない。

遠ざかる彼女の綺麗な薄茶の髪の毛が背中で揺れ動くさまを見ていると、涙が込み上げてきた。あんなに綺麗な彼女と付き合えるなんて思った僕が馬鹿だった。きっと彼女は僕を哀れに思ったのだろう。

次の休憩時間、教室へ戻ってくる彼女を待ち受けて、声を掛けた。結衣は「なに?」と少し怒った口調で言った。彼女の隣に立つ友人も同じような厳しい目をコウタに向けている。まるで、あんたみたいなのが声を掛けるんじゃないわよ、とでも言いたげに。

「これ」
コウタは授業中に交換しそうな六角形に折った手紙を差し出した。短く別れの言葉を書いたものだ。

彼女が受け取る素振りをみせないので、コウタは手を伸ばし、彼女の手にそれを握らせた。
コウタの指先が彼女の手に触れた時、結衣は不快げに手を引っ込めた。だが、手紙は握ったままだ。とりあえずは手紙を渡すことには成功した。

「おい、コウタ!次移動だぞ」
肩を叩かれ、コウタはビクンと跳ねるように驚いた。

振り返ると同じクラスの三木と島田が、コウタの分の教科書も持って立っていた。小学校からの友達で、大親友だ。
再び前を向くと彼女はもう教室へ入っていた。

「あ、ごめん。教科書ありがとう」
そう言って教科書を受け取り、物理教室へ向かう。

「お前、あの女はやめとけよ」
島田が心配そうに言った。隣で三木もうんうんと頷いている。

島田が告白しろとせっついたくせに、よく言う。
でも、もしも親友に背を押してもらわなければ、いつまでもうじうじと彼女の姿を陰から見ていただけだろう。その方が結果としてはよかったのかもしれないけど。

「うん……もう、諦めたから。僕が勝手に付き合ってると勘違いしていたみたい……だから、ごめんねって――伝えたんだ……」
言葉にすると案外辛い。
コウタはあの告白を無かったものにしようとしているのだから当然だ。

「伝えたって、手紙渡しただけだろう?っつーか、なんでお前が謝るんだ?あの女、ちょっと美人だからって調子に乗ってんだよな」島田が怒りを滲ませ、拳を目の前でぎゅっと握った。

「でも、美人だもんなぁ」と、三木。

コウタは思わず無言でうんと頷いていた。

「俺、あの女の友達と付き合ってる奴の友達から聞いたんだけどさ――」

「なんか、結局誰?って感じだな」
きゃははと笑うように、三木が島田の話の腰を折る。

「うるさい。だから、まあ友達が言ってたけどさ、お前と付き合うって言ったのは、単にあの迫田朋の弟だからって話だ」

こうやって、聞きたくなかった真相をズバリ言ってくれる友達はなかなかいない。大親友だからこそ言えるのだと、コウタは思うことにした。

「お前の兄貴、超ーーかっこいいもんな」

言われなくても分かっていることを、三木はよく言う。

なんだか、さすがに誰かに八つ当たりしたい心境だ。
けど、兄にだけはやめておこう。
朋ちゃんのせいで、結局傷つくはめになったとは言いたくない。たとえほんの少し思っていたとしても。

つづく


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あとがき
こんばんは、やぴです。
新しいブログに移って、33333hitいっちゃいました
ありがとうございます♪ 

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