はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
憧れの兄、愛しの弟 4 [憧れの兄、愛しの弟]
「えっ、朋ちゃんがこの部屋に?ああ、そうなんだ……。じゃあ、僕は下に――」
「いやっ、コウタはここでいいんだ。まさにいに部屋変わってって言ったら、二人でシェアしろってさ」
コウタが下へ行ったら意味がない。
「ここはもともと朋ちゃんの部屋だから、僕が下へおりるよ」
コウタは嫌だというそぶりをひとつも見せない。このままでは、すぐさまこの部屋を明け渡すだろう。
「コウタ、俺と一緒の部屋は嫌か?勉強の邪魔はしないし、荷物は下の部屋に置いたままにしておくから。寝る時だけ、下に布団を敷かせてくれたらいいよ。さすがにベッド二つは置けないからな」
必死過ぎて、自分でもひく。
「嫌なわけないじゃん。一緒の部屋で嬉しいよ。それに僕はそんなに頭よくないから、時々朋ちゃんが勉強見てくれたら助かるな」
ほんのり顔を赤く染め、もじもじとするコウタを見てカッと身体が熱くなった。
勉強なんかいくらでも見てやる。無駄に頭がいいと思っていたけど、無駄ではなかったようだ。朋は満面の笑みで「そのくらいお安い御用」と愛しい弟の頬を優しくつねった。
つられるようにコウタも破顔した。この笑顔を毎日見られるなら、バイトのない日はまっすぐ家に帰ってこよう。いや、バイトもやめたいくらいだ。
「あと、ベッドは朋ちゃん使って。僕が布団敷いて寝るから」
ここで下手に「いや、俺が布団で寝る」とか言い張ると、コウタが困る。朋はすぐさま頭をひねり折衷案を引き出した。
「なら、交代で寝よう。これでこの話はお終い。明日から一緒に部屋を使おう、な」
朋はコウタの頭をぐしゃぐしゃと掻き乱し、満足げに部屋を出た。下へおりると、ダイニングで陸がアイスを冷凍庫から取り出しているところだった。海はスプーンを準備し、テーブルについていた。
「あ、朋ちゃんもアイス食べる?」陸が言った。
「いや、いまはいい」
ダイニングを通り過ぎ、自分の部屋の引き戸を開ける。
「コウタと何話してたの?」
海が陸からアイスを受け取りながら訊いてきた。
偉そうに弟の分際で、コウタを呼び捨てにしやがって。だがこいつらは言ってもきかない。
「明日から俺はコウタの部屋へ行く」
「ええーーー!じゃあ、コウタが下におりてくるの?」
双子の声が揃った。
朋は苛々しながら双子にはっきりと言ってやった。
「コウタと一緒に上の部屋を使う。だが、この部屋は俺の部屋のままだ。作業するのにちょうどいいからな。だからお前たちのどちらかがこの部屋を使おうとしても無駄だぞ」
「なーんか、朋ちゃん、言い方がキツイ」
陸はきゅっと唇を突出し、甘えるような声で言った。
「ほんと、ほんと」
海も同調した。
双子は朋がコウタを可愛がるのを気に入らないのだ。懐かれているのは分かっているし同じようにかわいい弟だが、愛しくはない。そこがコウタと双子との大きな違いなのだ。
とにかく明日にはこのうるさい双子から離れて、コウタと楽しいルームシェアが始まる。
つづく
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「いやっ、コウタはここでいいんだ。まさにいに部屋変わってって言ったら、二人でシェアしろってさ」
コウタが下へ行ったら意味がない。
「ここはもともと朋ちゃんの部屋だから、僕が下へおりるよ」
コウタは嫌だというそぶりをひとつも見せない。このままでは、すぐさまこの部屋を明け渡すだろう。
「コウタ、俺と一緒の部屋は嫌か?勉強の邪魔はしないし、荷物は下の部屋に置いたままにしておくから。寝る時だけ、下に布団を敷かせてくれたらいいよ。さすがにベッド二つは置けないからな」
必死過ぎて、自分でもひく。
「嫌なわけないじゃん。一緒の部屋で嬉しいよ。それに僕はそんなに頭よくないから、時々朋ちゃんが勉強見てくれたら助かるな」
ほんのり顔を赤く染め、もじもじとするコウタを見てカッと身体が熱くなった。
勉強なんかいくらでも見てやる。無駄に頭がいいと思っていたけど、無駄ではなかったようだ。朋は満面の笑みで「そのくらいお安い御用」と愛しい弟の頬を優しくつねった。
つられるようにコウタも破顔した。この笑顔を毎日見られるなら、バイトのない日はまっすぐ家に帰ってこよう。いや、バイトもやめたいくらいだ。
「あと、ベッドは朋ちゃん使って。僕が布団敷いて寝るから」
ここで下手に「いや、俺が布団で寝る」とか言い張ると、コウタが困る。朋はすぐさま頭をひねり折衷案を引き出した。
「なら、交代で寝よう。これでこの話はお終い。明日から一緒に部屋を使おう、な」
朋はコウタの頭をぐしゃぐしゃと掻き乱し、満足げに部屋を出た。下へおりると、ダイニングで陸がアイスを冷凍庫から取り出しているところだった。海はスプーンを準備し、テーブルについていた。
「あ、朋ちゃんもアイス食べる?」陸が言った。
「いや、いまはいい」
ダイニングを通り過ぎ、自分の部屋の引き戸を開ける。
「コウタと何話してたの?」
海が陸からアイスを受け取りながら訊いてきた。
偉そうに弟の分際で、コウタを呼び捨てにしやがって。だがこいつらは言ってもきかない。
「明日から俺はコウタの部屋へ行く」
「ええーーー!じゃあ、コウタが下におりてくるの?」
双子の声が揃った。
朋は苛々しながら双子にはっきりと言ってやった。
「コウタと一緒に上の部屋を使う。だが、この部屋は俺の部屋のままだ。作業するのにちょうどいいからな。だからお前たちのどちらかがこの部屋を使おうとしても無駄だぞ」
「なーんか、朋ちゃん、言い方がキツイ」
陸はきゅっと唇を突出し、甘えるような声で言った。
「ほんと、ほんと」
海も同調した。
双子は朋がコウタを可愛がるのを気に入らないのだ。懐かれているのは分かっているし同じようにかわいい弟だが、愛しくはない。そこがコウタと双子との大きな違いなのだ。
とにかく明日にはこのうるさい双子から離れて、コウタと楽しいルームシェアが始まる。
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2012-02-02 00:01
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