はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

あまやかなくちづけ 5 [あまやかなくちづけ]

僕は何をしているんだ。

守を置き去りにしてマンションから出た森野は、蒼ざめた顔で人々が行き交う表通りから、静かな場所を求め早足で歩いていた。

喧騒から逃れるように辿り着いた場所は、あの公園だった。守に別れを告げられた場所。
森野は顔を両手で覆い、その時と同じベンチに腰をおろした。

いつまでたってもあの時の思いは消えない。

「あの時とは違うのに……」

いまは自分だけを見てくれているはずだと思っても、いつか終わりが来るかもしれないという思いは消えない。

世の中に、絶対はない。守の気持ちは変わってしまうかもしれない。

そう思う一方で、森野の守への思いは絶対だった。気持ちが薄れる事も、裏切ることも無い。

森野は冷静になろうと努めた。けれど、先ほどの守の言葉が耳の奥に纏わり付き、また僕はひとりになってしまうのだろうかと目の奥がちりちりと痛みだした。

だが、森野の中の別の声が先に浮かんだ思いを打ち消す。

――守は二度と森野を捨てたりはしない。だから、なにも心配はいらない。

「だからこそ、あんなことを言った守くんが許せない。だって、本気なはずない。浮気なんて、違う子と付き合うなんて……嘘に決まってる」
森野はそう自分に言い聞かせ、ベンチから立ち上がった。

もう守は帰ってしまっただろうかと、駆け出す様に公園を後にする。雑多な場所へ戻ると、ふいに足が竦み立ち止まる。

今夜はもう、このまま会わない方がいいのかもしれない。そうしなければきっと、今すぐ一緒に暮らそうと言ってしまうだろう。
そういう面での気持ちを抑えるのは、守との付き合いが長くなればなるほど難しくなってきている。

もっとずっと一緒にいたいという思いはどんどん増していき、ひと回りも年下の恋人をがんじがらめにしてしまいそうで怖かった。

森野は守が思っているよりももっと激しく熱く守を愛しているのだ。

「ああ、だめだ。僕は大人なんだから我慢しなきゃいけないのに――」

言葉とは裏腹に、森野はもう一度走り出した。

今すぐ、愛しい恋人をその胸に抱き、愛していると言いたい。そして、愛していると言われ、この身をすべて食べ尽くして欲しい。

つづく


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