はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

あまやかなくちづけ 4 [あまやかなくちづけ]

「守くん、あと一年我慢してくれる?守くんが高校を卒業するまで。そしたら、もっと広い部屋に引っ越して一緒に暮らそう」

ずっと前から考えていた事だった。いつか、タイミングをみて伝えようと思っていたが、森野が思うタイミングより、やや早くなってしまった。

「いやだっ!今がいい」
守が食い下がる。

「そんな、わがまま言わないで」
森野は守の綿毛のような髪の毛をふわりと撫で、何とかなだめようとする。

森野の言葉に守がカチンときたのはほぼ間違いないようだった。

「そうやって、いつも俺を子供扱いしてさ。掃除や洗濯が出来ないと一緒に住んでもらえないの?週末だけセックスして、それで我慢しろって言うの?俺は、もっとしたいのに」

「だったら、今日はいっぱいしよう。だから機嫌なおして」
森野は忍耐強く、優しい声音で言った。

「そういう事じゃない……一緒に住んでくれないなら、俺、浮気しちゃうかも。今さ、クラスの子に告白されてるんだ。別に付き合ってもいいし――」
守はそこまで言って、森野の表情が一変している事に気付いた。

あの時の――守が森野を振った時と同じ――すべての感情を押し殺した表情になっていた。

「森野さん……あ、の」

「守くん、まだ時間早いから送って行かなくて大丈夫だよね。僕、少し外出するから、鍵はポストに入れておいて」

森野は抑揚のない声で、守を見ずに言った。固まった身体のままぎこちなく立ち上がり、部屋を出て行った。

守の「今のは冗談だよ」という言葉は、むなしく空を彷徨った。

つづく


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