はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
あまやかなくちづけ 3 [あまやかなくちづけ]
週末、守はいつものように森野の家に泊まりに行った。
「ねえ、森野さん。俺、提案があるんだけど」
森野の手料理を存分に堪能した後、守はまどろみながらベッドに寝転がっていた。
「なあに?」
小さなキッチンで洗い物をする森野は手を動かしたまま視線だけ守に向けた。
「ちょっと、大事な話」
もったいぶった言い方をする守に、森野は手をゆすぎ、タオルで拭きながら守の傍に腰を下ろした。
「あのさ、あの……」珍しく守が言い淀む。思い切り息を吸い「俺たちさ…一緒に暮さない?」と、おそるおそる言った。
「ダメだよ」
森野が即答した。
守は唖然とし、「なんで?なんで?」と今にも泣きだしそうに顔を歪めている。
「守くんは、まだ高校生だし。それに、そんなことしたら、社長に――いや、守くんのお父さんになんて言ったらいいか……」
森野の返事はいつも通り大人としてのものだった。守はそれが気に入らなかった。
「俺たち付き合って二年だし、セックスだってしてるし、今更そんなこと言ったって意味ないじゃん!」
森野だって、守の申し出が嬉しくなかった訳じゃない。
本当は守に飛び付き抱きしめて、体中にキスの雨を降らせたいほど嬉しかった。けれど、一緒に住むとなると話はそう簡単ではない。
まず、守は高校生だ。
赤の他人と同居する事を親が許すはずもないし、知られれば学校も黙ってはいないだろう。複雑な家庭環境だという事は承知しているだろうが、まさか、ひとまわりも年上の恋人がいるなどと思いもしないだろう。しかも相手は男だ。
「守くん、家事いっさい、何もできないよね?僕がいないと食事もできないし、洗濯した事ある?掃除は?それにここからだと、学校が遠くなるし――」
守は森野のうざったいくらい的を射た言葉を遮った。
「もういいよっ!だったら、森野さんがうちにくればいいじゃん!」
「そ、それは……」
一時期、森野は浅野家に居候していた事がある。
去年の春だった。
守の離れてしまった気持ちを取り戻すため、高校が春休みの間だけ寝泊まりし食事の世話をしていたのだ。
胃袋を掴む作戦が功を奏したのか、守は再び森野のもとに戻った。
「ほら、ね、そうしよう?」
言い返せない森野を見て、守は調子付く。
「だって、俺、ずっと森野さんと一緒に居たい。そりゃ、出来れば兄ちゃんたちがいない方がいいけど、もうこの際居ても我慢するから、一緒に暮らそう?」
森野の方がそれでは我慢できそうにない。
容と一葉は恥ずかしいくらいべたべたしていて、それは会社でさえそうなのだから人の目を気にしなくてもいい家の中だとどんなことになっているのか、分かるだけに、あの家で暮らすのは遠慮したかった。
つづく
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「ねえ、森野さん。俺、提案があるんだけど」
森野の手料理を存分に堪能した後、守はまどろみながらベッドに寝転がっていた。
「なあに?」
小さなキッチンで洗い物をする森野は手を動かしたまま視線だけ守に向けた。
「ちょっと、大事な話」
もったいぶった言い方をする守に、森野は手をゆすぎ、タオルで拭きながら守の傍に腰を下ろした。
「あのさ、あの……」珍しく守が言い淀む。思い切り息を吸い「俺たちさ…一緒に暮さない?」と、おそるおそる言った。
「ダメだよ」
森野が即答した。
守は唖然とし、「なんで?なんで?」と今にも泣きだしそうに顔を歪めている。
「守くんは、まだ高校生だし。それに、そんなことしたら、社長に――いや、守くんのお父さんになんて言ったらいいか……」
森野の返事はいつも通り大人としてのものだった。守はそれが気に入らなかった。
「俺たち付き合って二年だし、セックスだってしてるし、今更そんなこと言ったって意味ないじゃん!」
森野だって、守の申し出が嬉しくなかった訳じゃない。
本当は守に飛び付き抱きしめて、体中にキスの雨を降らせたいほど嬉しかった。けれど、一緒に住むとなると話はそう簡単ではない。
まず、守は高校生だ。
赤の他人と同居する事を親が許すはずもないし、知られれば学校も黙ってはいないだろう。複雑な家庭環境だという事は承知しているだろうが、まさか、ひとまわりも年上の恋人がいるなどと思いもしないだろう。しかも相手は男だ。
「守くん、家事いっさい、何もできないよね?僕がいないと食事もできないし、洗濯した事ある?掃除は?それにここからだと、学校が遠くなるし――」
守は森野のうざったいくらい的を射た言葉を遮った。
「もういいよっ!だったら、森野さんがうちにくればいいじゃん!」
「そ、それは……」
一時期、森野は浅野家に居候していた事がある。
去年の春だった。
守の離れてしまった気持ちを取り戻すため、高校が春休みの間だけ寝泊まりし食事の世話をしていたのだ。
胃袋を掴む作戦が功を奏したのか、守は再び森野のもとに戻った。
「ほら、ね、そうしよう?」
言い返せない森野を見て、守は調子付く。
「だって、俺、ずっと森野さんと一緒に居たい。そりゃ、出来れば兄ちゃんたちがいない方がいいけど、もうこの際居ても我慢するから、一緒に暮らそう?」
森野の方がそれでは我慢できそうにない。
容と一葉は恥ずかしいくらいべたべたしていて、それは会社でさえそうなのだから人の目を気にしなくてもいい家の中だとどんなことになっているのか、分かるだけに、あの家で暮らすのは遠慮したかった。
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2011-10-14 00:21
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