はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

あまやかなくちづけ 2 [あまやかなくちづけ]

「僕は長男だけど、末っ子なんだ。姉が三人いる――だからじゃないかな……」
森野は思い出したくない事でもあるのか、苦々しい顔つきだ。

「へえ、森野さんお姉さんがいるんだ。なのに、どうして女の人が苦手なの?」

だからこそ苦手なのだと、守は気付くはずもなく。

「べ、別に苦手なわけじゃ……」
森野は図星を突かれ声が尻すぼみになる。

森野が父親を亡くしたのは中学生の頃だった。それから、母と姉三人と女に囲まれ暮らしてきた。森野家の女性たちは、末っ子清四郎を猫かわいがりしていた。

それがあまりに度を過ぎていたため、森野は女性に対して少々身構えてしまうのだ。

「でもよかった。だから森野さん、俺の事好きになってくれたんでしょ」

誘惑するような薄茶色の瞳に見つめられ、森野は身体を火照らせながら「うん」と熱っぽく返事をする。

「ねえ、森野さん、今日泊まっていく?」

うん、と言い掛けた森野だが、明日は朝早い。なおかつ今日中に明日の会議の為にまとめておかなければならない書類もある。

「ごめん、今日はダメなんだ。もう帰らなきゃ」

「どうして?いつも森野さんばっかり忙しいじゃん!仕事なんて兄ちゃんにさせておけばいいのに」

むきになってそんな事を言う守が愛おしくて、森野は仕事なんか忘れて、このまま一緒にいようとほんの少しだが思ったりもしたのだが、やはり、そこは優秀な社長秘書森野。

「本当にごめん。必ず埋め合わせはするから、ね」
そう言って森野お得意のキスをする。

「んっ……ん、もりのさん……」

それ以上守の言葉は続かなかった。キス上級者森野に骨抜きにされ、到底キスでは終わりそうにないほど守の下半身は大きく膨くらんでしまった。

普通ならこのまま森野に襲いかかる守だが、この日のキスはいつも以上に守を蕩かせた。股間は硬く張り詰めているのに、腰は砕けて、指先ひとつにも力が入らず、うごめく舌の動きにも全くついて行けなかった。一方的に悦楽を与えられ、気付けば守はそのまま森野に置き去りにされていた。

森野が帰った後しばらく余韻に浸っていると、目障りな兄二人が帰宅した。

こんなにも身体が昂っている状態で、二人のラブラブな姿など見たくないのに、リビングに入って来た時には一葉はすでに半裸状態で容に抱きつき濃厚なキスをしている最中だった。

ソファに横になる守に一切気付くそぶりもなく、二人が身を投げ出してきた。

「ちょっ…痛い!!にーちゃん!一葉!!」

三人が折り重なり、ソファが悲鳴を上げる。

「なんだ、守。邪魔するなよ」

邪魔したのはそっちのくせに。
でもまあ、一葉の裸が(上半身だが)見れたしいいか、と守は顔をにやつかせた。

「守!一葉をいやらしい目で見るな!」
いまだに弟に嫉妬心むき出しの容。

「そうだよ、守くん。僕は容のものだから見ちゃだめ」
裸同然で守の上に乗っかってきたくせに、随分と勝手な物言いの一葉。

こんな二人を見ているとついからかいたくなる。もちろん度が過ぎない程度にだが。

「一葉はいっぺん俺のもになったから、ちょっとくらい見てもいいじゃん」

「守!」「守くん!!」

二人の兄の怒声を浴び、守はすごすごと自分の部屋に退散した。

一葉とのほろ苦い思い出。
大好きな一葉を一度だけ抱けた喜びは、今も胸の奥底に大切にしまってある。以前に比べると、その気持ちはほとんど兄弟愛に変化したが、それでも時々、容と別れてこっちを向かないかと思ってしまう。

森野はそんな守の気持ちを気付いていたとしても、知らないふりをしてくれる。それほど守に惚れているという事だ。

つづく


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