はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
恋と報酬と 番外編 ~がんばれ花村~ [恋と報酬と]
勉強合宿後の、とある日。
「ねぇ、花村。えっちしよ」花村のお腹を枕に、花村の家の部屋の真ん中でゴロゴロとしていた海は出し抜けに言った。思えば二か月くらいはえっちしていない。
「え?だ、だめだよ。お父さんが向こうで寝てるんだから」花村は心臓をバクバク言わせながら、ベッドでいびきをかきながら寝ている父親に目を向ける。この家には部屋と部屋とを隔てるドアというものは存在しないので、リビングにいればすべての部屋を見回せる。
「バカ!誰が今すぐって言った?こんなとこでやったら喜助にやられちゃうじゃん。俺が喜助に犯されてもいいのか?」海は今すぐにでもしたかったが、建前上激しく否定した。
「そんなわけないじゃん!海は僕としかしちゃいけないんだから」
花村には気の毒だが、海はそんなこと勝手に決めるなよというような顔をした。
「馬鹿か。俺は尻の青い餓鬼を犯すほど飢えちゃいない」お腹をぽりぽりと掻きながら二人を見下ろす喜助。
海は不快を示すように鼻の付け根に皴を寄せた。
「お、お父さん!起きたの?」ナイト花村、あわてて海を背中に隠す。
海は花村の大きな背中から顔を出し、「じゃあ、誰とやってるのさ?藤沢紫乃さん?」と言って、にやりとした。
「なんだと?お前、どこでその名を聞いた?」喜助は小生意気な餓鬼に牙を剥く。他人を探るのはお構いなしだが、自分が探られるのはまっぴらごめんというわけだ。
「お父さん!僕知ってるんだから。お母さんが、そのひとだって……」花村は、今更誤魔化したって無駄だからねと、強い態度で父親に食ってかかる。が、どこか尻すぼみだ。
「で、喜助の奥さんなんでしょ?」援護する海。
「海、それ以上くだらんことを言うようなら、本気で犯すぞ。まさか俺が、男とやれないような腰抜けだとは思っていないだろう?」喜助はぞっとするような笑みを浮かべた。
海は縮み上がった。「お、思ってない」喜助には何があっても犯されたくない。赤の他人だけど、なぜか近親相姦な気分。うちに一組いるから、それで十分。
「やめてよっ!海は僕のものなんだから。お父さんになんかあげないんだからっ!」
「いるかっ!お前はいちいちくだらんことでムキになるな。そんなだから、このくそ餓鬼に浮気されるんだろうが」
喜助はぷりぷりと怒って、ぼさぼさ頭のままケータイだけを手に家を出ていった。どうせお隣の“キッチンさくらい”でタダ飯を貪るに決まってる。余計なこと言いやがって!くそ喜助めっ!
「ねぇ、海。浮気って?」花村がおずおずと尋ねる。
「言っとくけど、してないからな」まだ。
「そうだよね……美影さんのお兄さんが言い寄ってるからって、変なことしないよね?」なんだかんだチクチクと針のような釘を刺す花村。
「美高なんか相手にしないよ」今度、会社を辞めた経緯を聞くことになってるけど。
「そう……それならいいけど」花村は疑り深い目で海を見ながら、渋々引き下がった。
「なぁ、喜助もいなくなったことだし、する?」
花村はさも迷っているというような顔つきで背後のドアに目を向けると、素早い動きで海を抱き上げた。「ミックスフライを食べ終えるまでは帰ってこないと思う」
「だろうね」ついでにマスターといちゃこらしてくればいい。
「優しくするから」花村は海をぎゅっと抱いた。
「いいよ、別に。俺、花村の大きいの、わりと好きだもん。でも、まあ、無茶はするなよ。壊れちゃうから」
「わかってる。すごく、すごく優しくするから――」
だから浮気はしないで。と、聞こえた気がした。
海は花村の首に腕を回し、ほっぺたにむにゅっと唇を押しつけた。
「だったら入れるの半分だけな」
おわり
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「ねぇ、花村。えっちしよ」花村のお腹を枕に、花村の家の部屋の真ん中でゴロゴロとしていた海は出し抜けに言った。思えば二か月くらいはえっちしていない。
「え?だ、だめだよ。お父さんが向こうで寝てるんだから」花村は心臓をバクバク言わせながら、ベッドでいびきをかきながら寝ている父親に目を向ける。この家には部屋と部屋とを隔てるドアというものは存在しないので、リビングにいればすべての部屋を見回せる。
「バカ!誰が今すぐって言った?こんなとこでやったら喜助にやられちゃうじゃん。俺が喜助に犯されてもいいのか?」海は今すぐにでもしたかったが、建前上激しく否定した。
「そんなわけないじゃん!海は僕としかしちゃいけないんだから」
花村には気の毒だが、海はそんなこと勝手に決めるなよというような顔をした。
「馬鹿か。俺は尻の青い餓鬼を犯すほど飢えちゃいない」お腹をぽりぽりと掻きながら二人を見下ろす喜助。
海は不快を示すように鼻の付け根に皴を寄せた。
「お、お父さん!起きたの?」ナイト花村、あわてて海を背中に隠す。
海は花村の大きな背中から顔を出し、「じゃあ、誰とやってるのさ?藤沢紫乃さん?」と言って、にやりとした。
「なんだと?お前、どこでその名を聞いた?」喜助は小生意気な餓鬼に牙を剥く。他人を探るのはお構いなしだが、自分が探られるのはまっぴらごめんというわけだ。
「お父さん!僕知ってるんだから。お母さんが、そのひとだって……」花村は、今更誤魔化したって無駄だからねと、強い態度で父親に食ってかかる。が、どこか尻すぼみだ。
「で、喜助の奥さんなんでしょ?」援護する海。
「海、それ以上くだらんことを言うようなら、本気で犯すぞ。まさか俺が、男とやれないような腰抜けだとは思っていないだろう?」喜助はぞっとするような笑みを浮かべた。
海は縮み上がった。「お、思ってない」喜助には何があっても犯されたくない。赤の他人だけど、なぜか近親相姦な気分。うちに一組いるから、それで十分。
「やめてよっ!海は僕のものなんだから。お父さんになんかあげないんだからっ!」
「いるかっ!お前はいちいちくだらんことでムキになるな。そんなだから、このくそ餓鬼に浮気されるんだろうが」
喜助はぷりぷりと怒って、ぼさぼさ頭のままケータイだけを手に家を出ていった。どうせお隣の“キッチンさくらい”でタダ飯を貪るに決まってる。余計なこと言いやがって!くそ喜助めっ!
「ねぇ、海。浮気って?」花村がおずおずと尋ねる。
「言っとくけど、してないからな」まだ。
「そうだよね……美影さんのお兄さんが言い寄ってるからって、変なことしないよね?」なんだかんだチクチクと針のような釘を刺す花村。
「美高なんか相手にしないよ」今度、会社を辞めた経緯を聞くことになってるけど。
「そう……それならいいけど」花村は疑り深い目で海を見ながら、渋々引き下がった。
「なぁ、喜助もいなくなったことだし、する?」
花村はさも迷っているというような顔つきで背後のドアに目を向けると、素早い動きで海を抱き上げた。「ミックスフライを食べ終えるまでは帰ってこないと思う」
「だろうね」ついでにマスターといちゃこらしてくればいい。
「優しくするから」花村は海をぎゅっと抱いた。
「いいよ、別に。俺、花村の大きいの、わりと好きだもん。でも、まあ、無茶はするなよ。壊れちゃうから」
「わかってる。すごく、すごく優しくするから――」
だから浮気はしないで。と、聞こえた気がした。
海は花村の首に腕を回し、ほっぺたにむにゅっと唇を押しつけた。
「だったら入れるの半分だけな」
おわり
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