はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 394 [花嫁の秘密]

「つまり、リックは僕に働けと言いたいわけだ」サミーの説明を受けて、セシルは溜息交じりにこぼした。

僕だって、将来の事を考えていないわけじゃない。けど特別やりたいこともないし、ありがちな法律家への道には進みたくない。そもそもそんな頭ない。それにコートニー家は他とは違う事情を抱えている。リックみたいに勝手ばかりしていられない。

「もし僕が、セシルの力を借りたいと言ったら、少しは前向きに考えてくれるかい?もうここまできたら引き下がれない。エリックは買収を押し進めるだろうし、僕はクラブのオーナーになる。そんな時、君がいてくれたらとても心強い」

「サミーは僕が役に立つと本気で思っているの?」だとしたら買いかぶり過ぎだ。僕は帳簿やなんかのことはさっぱりだし、面倒な客をあしらうこともきっとできない。

「どうして役に立たないと思うんだ?君にはシェフに直接口出しできる立場に就いて欲しい。美味しいアイスクリーム、食べたいだろう?」

サミーは冗談を言っているの?「そりゃあ美味しいアイスクリームは食べたいよ。でも、どういうこと?」

「オーナーが変わったからといって、自分たちの好きにできるわけじゃない。でも唯一僕たちの好きなようにできることがある。ゲームは頭を使う。ほかのやつらはどうか知らないけど、僕は甘いものを食べたくなるんだ」サミーはにっこりとして、ガラスの器からドラジェをひとつ取った。薄いラベンダー色の砂糖に包まれたアーモンド菓子だ。

「ローストビーフは確かに美味しかったけど、食後の甘いものはちょっと物足りなかったね。例えばさ、<デュ・メテル>のチョコをつまみながらゲームをする、なんてできたらいいよね」会員は高い入会金と会費を払っているから、食事はタダで好きなだけ食べることができる。他のクラブみたいに――聞いた話だけど――ビュッフェスタイルにしたらいいのに。デザートだけでも。

「そう、そういうこと。セシルにはどんどん意見を出してもらって、それを実行して欲しい。まずは<デュ・メテル>に交渉に行くかい?」

サミーはいたって軽い口調で言ったが、本当に僕に“甘いもの担当”の指揮を執らせるつもりだ。きっとまだずっと先のことだろうけど、僕もこの辺で将来の事きちんと考える必要がある。

サミーなら必ず、その手助けをしてくれるはずだ。

「ところで、共同経営者はどうしてリックじゃないの?S&Jの人って探偵だけど、半分は法律関係の仕事もしているんじゃなかったっけ?」セシルは気になっていたことを尋ねた。

「そうみたいだね。エリックは大袈裟に言っていたけど、彼らには――いやステファンの方かな、買収費用を出させようとしているみたいだ。その代わりにジョンを経営者の一人に加えてくれって」僕には断る権利はないけどねと、サミーは肩をすくめた。

「ああ、ステフの方は金持ちなんだっけ。ジョンはその……」かなり訳ありで裕福とは言い難い。

「ジョンの方はまだちょっと迷っているみたいだったけどね。それに、クィンの出す条件がまだはっきりしていない。エリックが彼の機嫌を損ねなきゃいいけど」

確かに。リックは人を苛立たせる天才だし、もしかすると暴露記事なんかで相手を攻撃しかねない。けどサミーのためにプルートスを手に入れようとしているなら、そうそう下手なことはしないだろう。

つづく


前へ<< >>次へ


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


web拍手 by FC2


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。