はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
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花嫁の秘密 377 [花嫁の秘密]

プルートスへ向かうと聞いて、サミーはそれが今夜でないといけない理由を考えた。

何か特別なイベントがあると言っていただろうか?年明けにカードが届いていたけど、挨拶だけだったように思う。よく見ておけばよかった。明日にはセシルが戻ってくるから、一緒に行けばさぞかし楽しめるだろうに。

エリックの事だ、ただ単に遊びに行くとも思えない。デレクを追い出すと言っていたから、わざわざあいつに会うためではない。となると、プルートスのオーナークィンに会うためか。約束は取り付けているのだろうか。

サミーは黙って向かいに座るエリックに視線を投げてみたが、気づかないのかあえて無視しているのか、いまは話す気分ではなさそうだ。

もしかして、ブラックの事で腹を立てているのだろうか。着替えるのにブラックを呼んだけど、結局来たのはプラットだった。それに関しては腹を立てるのは僕の方だ。リード家の執事ともあろう者が、エリックに言われたからなんだっていうんだ。

クリス不在の間、その役目を引き継いでいる僕が、屋敷で命令できる唯一の存在だということを思い出させてやるべきか?

馬車はプルートスの正面玄関の少し手前で止まった。あまり歩きたい気分ではなかったが、これもエリックの指示らしい。理由は知らない。

「それで、今夜の予定は?」もうそろそろ話してもいいのでは?エリックが無計画で行動するはずはない。

「食事をしに来た。それだけじゃダメか?」エリックはすまし顔で言うが、こちらが納得するとは思っていないようだ。

「食事だけなら別の場所でもいいだろう」そう言ったものの、レストランや酒場で食事をするのはあまり好きではない。エリックはそれをわかっていて言っている。最近思うのは、エリックはきっと誰よりも僕の事を理解している。クリスよりも、僕よりも。

通りは思ったよりもにぎわっていた。この先に新しい店が出来たらしく、プルートスの正面玄関前にも様子を伺うように立ち話をしている者もいる。この偵察も兼ねているのか。それならそうと言えばいいのに。

「ミスター・リード、こんばんは」男の一人が階段の上から言った。

サッと見上げて、それがステファン・アストンとジョン・スチュワートの二人だと気づいた。

「俺には挨拶なしか?」エリックが言う。

「いま言うところでした。なあ、ジョン」ステファンが肘でジョンの脇腹を小突いた。何気ない仕草だったが、親密な関係なのは隠しようがなかった。

「まったく、素直にはいと言えないものかね」エリックはぶつくさ言いながら階段をのぼりきり、二人に何か話しかけた。

サミーも同じ場所に立ち、挨拶を返した。彼らに直接会うのは一年ぶりか。エリックはしょっちゅう会っているようだが、今夜待ち合わせているならそう言えばよかったのに。

どうやら食事だけでは済まなそうだし、カードゲームで遊ぶのもおあずけとなりそうだ。僕の気分などおかまいなしってわけか。

つづく


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