はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 346 [花嫁の秘密]

外出から戻ったサミーとエリックは、図書室に紙の束とペンを用意し向かい合ってテーブルに着いた。傍らには、サンドイッチと紅茶。昼食は済ませたと言ったが、エリックは無視してプラットに二人分持ってこさせた。

誰かと契約を交わすのは初めてだ。まずは僕の希望を書き出して、それをブラックに確認してもらうのが面倒が少なくて済む。問題は彼がどのくらいの報酬を望むかだが、いまエリックからいくらもらっているかを明かす気はないだろう。

となると、エリックに直接聞いてみるのが手っ取り早い。

サンドイッチを頬張るエリックを尻目に、サミーは思いつくまま紙にペンを走らせていた。近侍としてそばにいてもらうとして、服装に関して縛りは設けない方がいいだろう。もちろんそれなりに相応しい格好というものがあるが、現時点でそう趣味も悪くないしいまのままで構わない。

「――おい、聞いているのか?」

サミーは顔を上げてエリックを睨むように見た。サンドイッチを食べていると思ったら、すでに食べ終わっていて、お前もさっさと食べろという目で見ている。

「お腹は空いていない」ぴしゃりと言って、視線を落とす。

「聞いていなかったな」エリックが苛立ったように言う。

「だったら何?」食べ終わったから早く助言をさせろということだろうか。

「カインをこっちにもらいたい」

カイン……?カインが何だって?

サミーは困惑して、ただただエリックを見つめた。エリックとカインに何の関係が?

「クリスに話を通さなきゃならないのは重々承知している。だからここでこれまで通り働いてもらうとして――」

「僕がブラックを取ったからその仕返しなのか?」けど、カインの雇い主は僕じゃない。それにカインがエリックの望むような仕事ができるとも思えない。

「なんで俺がお前にそんなことをする必要がある?お前がブラックを動かしている間、誰がお前のそばに?カインは護身術の心得もあるし、何より気も利く。お前を守るくらいなんでもない」

エリックは僕を説き伏せようとしているけど、逆効果だ。

「カインに護身術を習えと?守ってもらわなくても、僕だって暴漢を倒すくらいは出来る」

「銃を使うのか?」エリックが当てこする。

エリックは本当に嫌なことを思い出させる天才だ。最近は忙しく、せっかくあの男のことを思い出さずにいられたのに。けど、思い出したからにはついでに色々聞き出すのもいいかもしれない。

ブラックに調べさせるまでもない。

つづく


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