はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 342 [花嫁の秘密]

目が覚めて、ベッドでまどろみ、そこにエリックがいるのか手を伸ばして確かめる。大抵どちらかが先に起きてベッドから出た後は、一緒にいた痕跡を残さないようにさっさと部屋を出る。

この屋敷の誰が何に気づいたとしても、お互い別に気にはしない。それなのになぜ、と不満をこぼしそうになったところでほんの三日前、部屋で二人、朝食を取ったことを思い出した。

エリックと暮らしたら毎日あんなふうなのかといえば、それは違うだろう。彼は仕事を持っているし、いつも何かと忙しくしていて、いま毎日一緒にいることの方が稀だ。

身支度はいつも通り一人で整える。ブラックに手伝ってもらうことがあるとすれば、正装するときくらいだろうが、それさえも必要かどうか。ブラックもきっとそういう仕事は望んでいないだろう。

今日は夜までの時間、契約書を作成することに費やそう。ブラックは細かく内容を決めたがるだろうか。それとも、大雑把に決めておいて裁量を欲しがるだろうか。もしかすると細かく決めた上で裁量を欲しがるかもしれない。あとでエリックにどうすればいいのか聞いてみよう。

少し寝坊したけど、さすがにまだ出掛けてはいないはず。

朝食はとっくに済ませたのか、エリックは居間で新聞を読んでいた。自分の記事でも載っているのだろうか。

「何か面白い記事でも?」サミーは部屋を横切りエリックに近づいた。

「いや、たいして面白くはないな」エリックは新聞から顔を上げた。「お前宛に手紙が届いている。そこだ」

サミーはエリックの指し示した方を見た。テーブルの上の銀トレイに見慣れない封筒が置かれている。その小ぶりな封筒を手に取ると、すぐに誰から届いたのかわかった。ほんのりと香る薔薇の香り。アンジェラからだ。何かあったのだろうか?

「君にも届いたのか?」尋ねながらソファに座り、ペーパーナイフを取りに行く手間さえ惜しみ手紙を開封する。

「いいや、俺には来ていない。薄情な妹だよ、まったく」エリックは信じられないといった口ぶりだ。

サミーは封筒から手紙を取り出したところで顔を上げ、エリックを見た。「来ていない?向こうに届いているんじゃないのか?使いはやったのか?」

「落ち着け。ハニーもクリスも俺がここにいることはとっくに知っている。忘れたのか?」

「万が一ということがあるだろう――」手紙に目を通して、ひとまず安堵した。何かひどいことが起きたのかと心配でたまらなかったが、クリスマスを一緒に過ごせなくて残念だという言葉と共に、これからのことが書かれていた。

「ハニーは何だって?」エリックは身を乗り出し、サミーに尋ねた。

「新しい年、おめでとうって。あの子らしいよ」クリスマスも大晦日も一緒に過ごせたらよかったけど、こっちで片付けるべき問題があるから仕方がない。

「それだけか?なんで愛しのエリックお兄様には寄越さないんだ」エリックは解せないとばかりに眉根を寄せた。

「一緒にいるとわかっているからだろう」実際の所はどうだか知らないけど、きっとセシルが余計なことを喋っているに違いない。あの二人が揃えば、一日中だって世の中のありとあらゆる噂について話していられるだろう。もちろんたっぷりのお菓子も必要だ。

いつまでラウンズベリーの本邸にいるのかはわからないけど、手紙と一緒に二人の好きそうなお菓子を送っておこう。まだ開いている店があればいいけど。

つづく


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