はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 318 [花嫁の秘密]
エリックが身支度を整え部屋から出ると、廊下でブラックが壁に寄りかかって待っていた。
「何か用か?」まだ湿ったままの長い髪にタオルを当てながら尋ねた。これで少しはマシな匂いになっただろうか。
「ええ、一応報告を」ブラックが含むように言う。
「サミーに何か?」エリックは短く訊いた。
「あなたに金で雇われているのかと訊かれたので、そうだと答えたら、仕事をひとつ頼まれました」ブラックは壁から離れ一歩近づくと囁くように言った。どうせ人はいないから声を潜める必要はない。
エリックは思わず額に手を当てた。前髪をぐしゃっと握り、深い溜息を吐く。わざわざ金で動くのか確認して何を依頼したのやら。「引き受けたのか?」
「ええ」ブラックの口の端が心持ち持ち上がる。
面白がっている場合か。ったく、頼む方も頼む方だが、引き受ける方も引き受ける方だ。
「お前がそう判断したのなら好きにすればいい」サミーが頼みそうなことはだいたい見当がつく。こっちで全部調べられそうなことばかりだが、俺に言わずに勝手に調べようと思ったのはなぜだろう。
「反対されるかと思いましたが」
「何を依頼されたのか知らないが、サミーがお前に頼んだのには理由があるんだろう」他に頼む相手がいなかったか、単にブラックと俺を試しているのか。だからさっきキスしても何も言わなかったのか。「口止めはされたのか?」
「いいえ。ですが最初に忠誠心だけであなたに仕えているなら頼まないと、釘を刺されています」ブラックは真面目くさった顔で答えた。
「忠誠心はあるんだろう?」まさかこんなことを確かめる羽目になるとは。確かに金で雇ってはいるが、信用できないやつにサミーを任せられるとでも?
「もちろんあります。だから依頼されたことは報告しますが、内容は明かしません」ブラックは居心地悪げに足の位置をずらした。一応は二重に雇われることへのばつの悪さは感じているらしい。
「わかった。だがもしサミーに何か危険が及ぶようなら、すぐに報告しろ」エリックはタオルを肩にかけ、ブラックに背を向けた。さっさと髪を乾かさないと、このままでは風邪をひいてしまう。それにサミーがいつまでも待っているとは限らない。
「危険はないと思いますが、何かあれば報告はします。だからしばらくあの方の見張りはあなたがお願いしますよ」ブラックは廊下を行くエリックの背に向かって言った。
ああ、言われなくてもしばらくは目を離さないつもりだ。
つづく
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「何か用か?」まだ湿ったままの長い髪にタオルを当てながら尋ねた。これで少しはマシな匂いになっただろうか。
「ええ、一応報告を」ブラックが含むように言う。
「サミーに何か?」エリックは短く訊いた。
「あなたに金で雇われているのかと訊かれたので、そうだと答えたら、仕事をひとつ頼まれました」ブラックは壁から離れ一歩近づくと囁くように言った。どうせ人はいないから声を潜める必要はない。
エリックは思わず額に手を当てた。前髪をぐしゃっと握り、深い溜息を吐く。わざわざ金で動くのか確認して何を依頼したのやら。「引き受けたのか?」
「ええ」ブラックの口の端が心持ち持ち上がる。
面白がっている場合か。ったく、頼む方も頼む方だが、引き受ける方も引き受ける方だ。
「お前がそう判断したのなら好きにすればいい」サミーが頼みそうなことはだいたい見当がつく。こっちで全部調べられそうなことばかりだが、俺に言わずに勝手に調べようと思ったのはなぜだろう。
「反対されるかと思いましたが」
「何を依頼されたのか知らないが、サミーがお前に頼んだのには理由があるんだろう」他に頼む相手がいなかったか、単にブラックと俺を試しているのか。だからさっきキスしても何も言わなかったのか。「口止めはされたのか?」
「いいえ。ですが最初に忠誠心だけであなたに仕えているなら頼まないと、釘を刺されています」ブラックは真面目くさった顔で答えた。
「忠誠心はあるんだろう?」まさかこんなことを確かめる羽目になるとは。確かに金で雇ってはいるが、信用できないやつにサミーを任せられるとでも?
「もちろんあります。だから依頼されたことは報告しますが、内容は明かしません」ブラックは居心地悪げに足の位置をずらした。一応は二重に雇われることへのばつの悪さは感じているらしい。
「わかった。だがもしサミーに何か危険が及ぶようなら、すぐに報告しろ」エリックはタオルを肩にかけ、ブラックに背を向けた。さっさと髪を乾かさないと、このままでは風邪をひいてしまう。それにサミーがいつまでも待っているとは限らない。
「危険はないと思いますが、何かあれば報告はします。だからしばらくあの方の見張りはあなたがお願いしますよ」ブラックは廊下を行くエリックの背に向かって言った。
ああ、言われなくてもしばらくは目を離さないつもりだ。
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2023-01-23 01:59
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