はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 298 [花嫁の秘密]

「ねえ、メグ。計画を立て直さないといけないわ」

セシルのお腹が満たされ、話もひと段落したところで、アンジェラは自分の部屋へ戻った。昨日までに立てていた計画は変更を余儀なくされ、ロイに出すはずだった手紙はしばらく引き出しに仕舞うことになった。

メグはアンジェラを鏡の前に座らせると、ヘアブラシを手にして言った。「しばらくはロイ・マシューズに会いに行くのは無理だと思います」

「わかっているわ」アンジェラは深い溜息を吐き、鏡の中の自分を見つめた。せっかく変装するための衣装を揃えたのに、ロイに会いに行けなくなってしまった。これからどうしたらいいのか、相談できるのはメグだけ。「わたしはクリスについて行くべきよね」

「そうしないと旦那様はどこにも行けないと思います」メグはキビキビと言い、アンジェラの髪を丁寧に梳かしていく。

「少し短くしておいた方がいいかしら?」波打つ髪は腰の辺りまで伸びている。普通にまとめるだけならこのままでもいいけど、帽子に押し込むとなれば量を減らしておく必要がある。

「急がなくてもいいと思いますが、ご希望でしたら手配します」

「そうね……」計画は延期になったし、急ぐ必要はなくなった。わざわざ誰か呼ぶより、ロジャー兄様の所へ行けばマーサがいるから、そこで切ってもらえばいい。

「そもそもロイ・マシューズは当てになるのでしょうか?」メグが疑問を口にした。

「記憶を辿って案内してもらうしかないわ。場所さえわかれば、そこが誰のものか調べることは簡単でしょう?」リックはいつも簡単に調べ物をするけど、きっとそんなに簡単じゃない。誰かに調査を依頼するにしても、いったい誰にしたらいいのかもわからない。

「調査をしてくれるところをいくつか知っています」メグが言った。

「もしかしてメリッサの知っているところ?」アンジェラは訊き返した。メグはメリッサの元侍女で、アンジェラよりずっと物知りだ。

メグは鏡越しに頷いた。

メリッサが利用するような調査員はきっと優秀に違いない。秘密を守ることもなんでもないはず。

「その時が来たらお願いすることにするわ。でも結局、いまは諦めるしかないわね。クリスと一緒にラムズデンに行っている間に、問題が片付けばいいけど」

アンジェラは昨日からずっと考えていた。生まれてからのほとんどをアップル・ゲートで過ごし、誰かに恨まれるような何かをした記憶もない。クリスと結婚してから出会った人を思い返しても、馬車を襲ったり血染めのハンカチとナイフを贈るような人物は思い当たらない。

もちろん誰もが好意的だとは思わない。劇場へ行った時に、社交界の洗礼を受けたことを忘れてはいない。リックが仕返しをしたことで恨まれているかもしれないけど、だからといって彼女たちは物理的な仕返しはしたりしない。せいぜい陰口を叩くくらいだ。

「もし犯人が分かっても、どうせ誰もわたしには教えてくれない」アンジェラはこぼし、髪をアップにするように鏡の中のメグに向かって顔の横で指をあげてみせた。

「知らない間にすべて終わるなら、それもいいのでは?」

確かにメグの言うように、知らない間に犯人が捕まり罰を受けるなら、それはそれでいいのかもしれない。けど、なぜこんなことをするのか理由は知りたい。

つづく


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