はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 297 [花嫁の秘密]

どうせすぐに伝わると思っていたが、まさかセシルもエリックもうちの屋敷にいたとはね。

クリスはアンジェラが注いでくれた紅茶をひと飲みし、居住まいを正した。

「サミーは具体的にどんな感じで怒っていた?」サミーが怒りを他人にわかるように示すことはほとんどない。セシルが怒っていたと言うからには、相当怒っていたに違いない。俺はかなりまずいことをしたようだ。

「いや、なんて言ったらいいか……プラットが震え上がるくらいには怒っていたよ。どうしてサミーに電報を打たなかったの?」セシルは同じ質問を繰り返した。何が何でも答えて欲しいようだ。

「どうして?」アンジェラも一緒になって訊く。

この場合、何と答えるのが正解なのだろう。正直なところ、サミーにはアンジェラのために無茶をして欲しくない。前回、もしかすると命を落としていたかもしれないことを思うとなおさら。それにアンジェラを守るのは夫である俺の役目だ。

「調査してから知らせようと思っていたんだ。エリックとセシルに先に知らせたのは――」黒幕を知っているからだ。そう言いたかったが、アンジェラのいる前でこの話は出来ない。「兄だからだ」

「サミーもわたしの兄よ。正確には義理の弟になるけど」アンジェラはクリスのために紅茶を注ぎ足し、ケーキを取り分けた。

「わかっているよ、ハニー」クリスはアンジェラの頬にキスをした。「サミーは向こうに残るって?」

「もちろん、戻ってきたがっていたよ。まあ想像通りリックがあれこれ指示を出して、僕がここにいるわけだけどね」セシルはひょいと肩をすくめてみせた。

「リックとサミーは向こうで何を?」アンジェラは尋ね、苺のケーキの乗った皿を膝の上に乗せた。フォークでひと口分すくい、上品に口に運ぶ。途端に笑みが広がり、クリスも思わず笑顔になる。

「箱の出所を探るためだよ。僕と一緒に来た男が箱を持ち帰ってあれこれ調査するみたい」セシルはケーキに手を伸ばしたくてうずうずしているが、まずは食事を済ませてからにするようだ。

「そのことだが……」エリックが調べると言うなら特に邪魔はしない。だが、まずはこちらで徹底的に調べてからだ。ここで起きたことはここで、相手が例えアンジェラの兄でも何もしないうちに手放す気はない。それにもうすでに調査は始めている。「セシルが連れてきた男には、ここに留まって一緒に調査を進めてもらう」誰であれ異論は認めない。

「それならリックに連絡しなきゃ」サンドイッチにかぶりついていたセシルは、もごもごと言った。

「心配はいらない、電報を打っておく」ついでにサミーにも。

「荷造りは進んでいるの?」セシルはアンジェラに訊いた。

「とりあえずロジャー兄様のところに滞在するぶんだけね。そのあとの予定は未定なの」アンジェラは溜息を洩らした。

「ラムズデンにアンジェラを連れて行くとしたら、しっかり計画を立てないと」

「行かないってこともあるってこと?」セシルは困惑気味に尋ねた。

「そう簡単なことではないからな。けど、ここを離れるしかないのはわかっている」そう言って、クリスはアンジェラを見た。

この件に関しては昨日アンジェラと嫌というほど話し合った。アンジェラはここを離れたがらず、どうにかロジャーの所へ行くのだけは納得させた。そのあとのことはまだ考え中だ。領地の問題は早急に解決すべき重大な懸案ではあるが、危険のある状態でそばを離れたくないし、一緒に行くにも危険がないわけではない。

とにかくもう少し時間が必要だ。

つづく


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