はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 273 [花嫁の秘密]
ジュリエットの到着を確認したエリックは、中庭から邸内へ戻った。温室でちょっとしたゴシップも入手できたし、出だしは上々。
今夜の彼女はサミーを誘惑するためか、かなりめかしこんでいた。
と言っても露出は控えめ。サミーには大胆に持ち上げた胸を見せつけたところで、通用しないと理解しているからだ。腹立たしいのがドレスの色だ。まるでサミーに合わせたかのように、あのカフスボタンと同じ色をしている。
サファイアなんか選ぶんじゃなかった。
「リック!さっき、あの人を見かけた。サミーに知らせなきゃ」背後でセシルの慌ただしい声がした。すでにジュリエットに会ったようだ。
「わかってる、騒ぐな」エリックは声を低め、興奮する弟をたしなめた。役に立つとは思わないがせめて邪魔はするな。
「もしかして、もう中へ入っちゃった?」セシルは首を亀のように伸ばして舞踏室を覗き見る。
「デレクと一緒にな」
「止めなきゃ」
「正式に招待されているのにどうやって止めるんだ?しかも主催者と一緒にいるのに」ただ、なぜ二人揃ってサミーの前に顔を見せる必要があるのかってことだ。
ジュリエットがエスコート役を連れてこなかったからという理由ではなく、単にデレクはサミーの驚く顔を見たいのだろう。けど、残念ながらサミーはデレクの望むような反応はしない。
「ねえ、もしかして知ってたの?だからサミーに出席しろって言ったの?」セシルが恐ろしい事実に気づいたとでもいうように、目を見開きエリックを見る。
「いや、知らなかった」エリックはうそぶいた。
「嘘だっ!僕がリックの嘘を見抜けないと思ってるの?」
まったく、うるさいやつだ。「昨日知ったんだ」エリックは渋々認めた。本当のことをしゃべったからと言って何が変わるわけでもない。
「昨日?やっぱり!知ってたのにサミーに黙ってたんだ。早く助けに行かなきゃ」
「助ける?」エリックは失笑した。「あいつに助けはいらない。見てろ」
ちょうど音楽がやんだタイミングで人々が端にはけていく。おかげで入口に立つ二人には壁際に立つサミーがよく見えた。そしてサミーに近づく二人も。
サミーが自分に忍び寄る厄災に気付いた。顔色ひとつ変えないところが、サミーの強さを物語っている。正直なところもう少し愛想よくすると思っていた。サミーの考える計画に沿うなら、ジュリエットに結婚を出来ると思わせなければならない。
「ねえ、サミーってデレクのことなんで嫌ってるんだろう。昔何かあったのかな?」セシルが唐突に訊いた。
「過去、特に接点はない」けれど、確かに二人は以前からの知り合いで、相手を嫌うだけの何かが過去にあったはず。なぜ探っても出てこないのだろう。「さて、そろそろ行くか」
ジュリエットだけなら耐えられただろうが、デレクも一緒だと我慢もそろそろ限界のようだ。
つづく
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今夜の彼女はサミーを誘惑するためか、かなりめかしこんでいた。
と言っても露出は控えめ。サミーには大胆に持ち上げた胸を見せつけたところで、通用しないと理解しているからだ。腹立たしいのがドレスの色だ。まるでサミーに合わせたかのように、あのカフスボタンと同じ色をしている。
サファイアなんか選ぶんじゃなかった。
「リック!さっき、あの人を見かけた。サミーに知らせなきゃ」背後でセシルの慌ただしい声がした。すでにジュリエットに会ったようだ。
「わかってる、騒ぐな」エリックは声を低め、興奮する弟をたしなめた。役に立つとは思わないがせめて邪魔はするな。
「もしかして、もう中へ入っちゃった?」セシルは首を亀のように伸ばして舞踏室を覗き見る。
「デレクと一緒にな」
「止めなきゃ」
「正式に招待されているのにどうやって止めるんだ?しかも主催者と一緒にいるのに」ただ、なぜ二人揃ってサミーの前に顔を見せる必要があるのかってことだ。
ジュリエットがエスコート役を連れてこなかったからという理由ではなく、単にデレクはサミーの驚く顔を見たいのだろう。けど、残念ながらサミーはデレクの望むような反応はしない。
「ねえ、もしかして知ってたの?だからサミーに出席しろって言ったの?」セシルが恐ろしい事実に気づいたとでもいうように、目を見開きエリックを見る。
「いや、知らなかった」エリックはうそぶいた。
「嘘だっ!僕がリックの嘘を見抜けないと思ってるの?」
まったく、うるさいやつだ。「昨日知ったんだ」エリックは渋々認めた。本当のことをしゃべったからと言って何が変わるわけでもない。
「昨日?やっぱり!知ってたのにサミーに黙ってたんだ。早く助けに行かなきゃ」
「助ける?」エリックは失笑した。「あいつに助けはいらない。見てろ」
ちょうど音楽がやんだタイミングで人々が端にはけていく。おかげで入口に立つ二人には壁際に立つサミーがよく見えた。そしてサミーに近づく二人も。
サミーが自分に忍び寄る厄災に気付いた。顔色ひとつ変えないところが、サミーの強さを物語っている。正直なところもう少し愛想よくすると思っていた。サミーの考える計画に沿うなら、ジュリエットに結婚を出来ると思わせなければならない。
「ねえ、サミーってデレクのことなんで嫌ってるんだろう。昔何かあったのかな?」セシルが唐突に訊いた。
「過去、特に接点はない」けれど、確かに二人は以前からの知り合いで、相手を嫌うだけの何かが過去にあったはず。なぜ探っても出てこないのだろう。「さて、そろそろ行くか」
ジュリエットだけなら耐えられただろうが、デレクも一緒だと我慢もそろそろ限界のようだ。
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2022-11-29 13:09
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