はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 268 [花嫁の秘密]
お昼少し前、ひと眠りしたサミーは空腹を覚えて階下へ降りた。
体力は少し回復したものの何か適当におなかに入れないと、今夜を乗り切れそうにない。昨日はどうかしていた。今後はエリックがベッドに入って来るのを阻止しなければ、身体がいくつあっても足りない。
パーティーに参加するのは久しぶりだ。ちょっとした集りは別としたら、クリスが開いた仮面舞踏会ぶりだろうか。アンジェラの仰々しい仮面姿を思い出して、サミーは微笑んだ。
主役だから当然目立って然るべきだが、目立たないために仮面舞踏会にしたらと提案したのに、まったく意味のないものになっていた。でも、あれで自信をつけたからこそ、来シーズン社交場へ出ることも躊躇いつつ決断していた。
僕は反対だけれど。
セシルはまだ図書室にいるだろうか?セシルがそこにいれば、きっと何か食べるものがあるに違いない。ああ、そうだ。使用人たちのクリスマスのパーティーはどうなっているのだろう。本当なら年明けまでゆっくりと過ごせたのに、予定を早めたばかりに彼らから楽しみを奪ってしまったとなれば、後で何を言われるかわかったものではない。
もちろん不満はクリスへ向くのだが、アンジェラに矛先が向かないとも限らない。プレゼントはあらかじめプラットに渡しておいたが、午後は休むように言って、クリスマスパーティーも思う存分楽しめと伝えておこう。
暖かな図書室に入ると、数時間前と変わらない場所にセシルがいた。身体をすっぽりと覆う布張りの椅子に包まれて本を読んでいた。目の前のテーブルにはティーセットと見慣れない包みが。
「誰か来たの?」客が来たなら、なぜプラットは僕を呼ばなかったのだろう。
「ん?」セシルは本から顔を上げて、サミーを見た。「ううん、リックから」
エリックから?「戻ってきたの」
「これだけ届いたんだ。自分のは先に開けちゃったけど、サミーの分もあるよ。すごくおいしいから食べてみて」セシルは箱を手に取り、サミーに中身を見せた。
「どうしてチョコレートなんか……」しかも<デュ・メテル>の。一粒いくらすると思っているんだ。「何かメッセージカードは付いていなかったのかな」朝と同じ椅子に座って、自分に用意された箱に触れた。緑と赤のリボンの端が美しいらせんを描いている。
「なかったよ。でも、クリスマスプレゼントじゃないかな?」セシルは気にするふうでもなく、チョコレートを一粒口に運んだ。
わざわざ?「彼がどこへ出かけたか知っているかい?」色々招待を受けていると言っていたから、そのうちのひとつなのだろうけど、いったいどこで何をしているのやら。
「さあ、でも、アフタヌーンティーの時間までには戻るんじゃないかな。支度もあるし」
「そうだろうね」サミーは諦めまじりの溜息を吐いた。エリックの行動がそうやすやすと読めるはずない。
頃合いを見計らったように、プラットがサンドイッチと熱々の紅茶を持ってきたを見て、サミーはあれこれ考えるのをやめて、セシルとお茶を楽しむことにした。
つづく
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体力は少し回復したものの何か適当におなかに入れないと、今夜を乗り切れそうにない。昨日はどうかしていた。今後はエリックがベッドに入って来るのを阻止しなければ、身体がいくつあっても足りない。
パーティーに参加するのは久しぶりだ。ちょっとした集りは別としたら、クリスが開いた仮面舞踏会ぶりだろうか。アンジェラの仰々しい仮面姿を思い出して、サミーは微笑んだ。
主役だから当然目立って然るべきだが、目立たないために仮面舞踏会にしたらと提案したのに、まったく意味のないものになっていた。でも、あれで自信をつけたからこそ、来シーズン社交場へ出ることも躊躇いつつ決断していた。
僕は反対だけれど。
セシルはまだ図書室にいるだろうか?セシルがそこにいれば、きっと何か食べるものがあるに違いない。ああ、そうだ。使用人たちのクリスマスのパーティーはどうなっているのだろう。本当なら年明けまでゆっくりと過ごせたのに、予定を早めたばかりに彼らから楽しみを奪ってしまったとなれば、後で何を言われるかわかったものではない。
もちろん不満はクリスへ向くのだが、アンジェラに矛先が向かないとも限らない。プレゼントはあらかじめプラットに渡しておいたが、午後は休むように言って、クリスマスパーティーも思う存分楽しめと伝えておこう。
暖かな図書室に入ると、数時間前と変わらない場所にセシルがいた。身体をすっぽりと覆う布張りの椅子に包まれて本を読んでいた。目の前のテーブルにはティーセットと見慣れない包みが。
「誰か来たの?」客が来たなら、なぜプラットは僕を呼ばなかったのだろう。
「ん?」セシルは本から顔を上げて、サミーを見た。「ううん、リックから」
エリックから?「戻ってきたの」
「これだけ届いたんだ。自分のは先に開けちゃったけど、サミーの分もあるよ。すごくおいしいから食べてみて」セシルは箱を手に取り、サミーに中身を見せた。
「どうしてチョコレートなんか……」しかも<デュ・メテル>の。一粒いくらすると思っているんだ。「何かメッセージカードは付いていなかったのかな」朝と同じ椅子に座って、自分に用意された箱に触れた。緑と赤のリボンの端が美しいらせんを描いている。
「なかったよ。でも、クリスマスプレゼントじゃないかな?」セシルは気にするふうでもなく、チョコレートを一粒口に運んだ。
わざわざ?「彼がどこへ出かけたか知っているかい?」色々招待を受けていると言っていたから、そのうちのひとつなのだろうけど、いったいどこで何をしているのやら。
「さあ、でも、アフタヌーンティーの時間までには戻るんじゃないかな。支度もあるし」
「そうだろうね」サミーは諦めまじりの溜息を吐いた。エリックの行動がそうやすやすと読めるはずない。
頃合いを見計らったように、プラットがサンドイッチと熱々の紅茶を持ってきたを見て、サミーはあれこれ考えるのをやめて、セシルとお茶を楽しむことにした。
つづく
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2022-11-22 22:42
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