はじめまして。
BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。
コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。
花嫁の秘密 250 [花嫁の秘密]
「それで?なんでそんなにデレクを嫌う」エリックはいたって穏やかに尋ねた。問いただせばサミーは頑なにしゃべるのを拒むだろう。
簡単に調べたが、サミーとデレクとの間に接点はなかった。もちろん知り合いなのは間違いない。ただ、好きだの嫌いだのという感情が沸き上がるほどの何かがあったことは、確認できなかったという意味だ。
「別に」とサミーは一言。素っ気ないものだ。
まあ、いい。いまのところこのことが問題になるとは思えない。だからそのうち聞き出すことにしよう。
「ところで、デレクはわざわざ挨拶に来たと思うか?それとも偶然目に留まったからか――」
「偶然目に留まったからといって、挨拶しに来るようなやつじゃない」
確かに、サミーの言うとおりだ。つまり、デレクはサミーがクラブに現れたのを知って、わざわざ席までやってきた。賭けの対象だからか、それともサミーと過去に何かあったからか。やはりどうにも気になる。
「こっちがカードルームまで出向いたっていいんだ」
「僕は行きたくないけど、いったい今夜の目的はなんだったんだろうね」サミーはいつもの胡散臭いものを見るような目つきで、何か作戦があるなら今のうちに説明しろというように、テーブルを指先で打ち鳴らした。勘違いした給仕係が慌ててテーブルを片付けにやってくる。
エリックとサミーは会話の中断を余儀なくされた。仕方ないので場所を移ることにした。
サミーが言うように今夜の目的を果たさなければならない。大したことはない。ただ、俺とサミーは繋がりがあり――つまり世間一般で言う家族という意味で――サミーに何かあればこの俺が黙っちゃいないってこと。少なくとも、ここにいる連中は俺が持つ力を知っている。どの程度の認識かは知らないが、気に入らないやつをこいつらが住む世界から消すことはくらいできる。
嘘を並べ立てて記事を書いてもいい。真実はそこに必要ない。もしくは財産を巻き上げてもいい。家族の為ならなんだってする。
だったら、なぜ相手が攻撃するまで待っているのだろう。さっさとこいつらを消してしまえば、かわいい弟も生意気なこいつも無事でいられる。
サミーに花を持たせてやろうと思ったが、面倒になってきた。こいつは協力すると見せかけて勝手な行動をとるに決まっている。
「今夜はどんな賭けが行われているんだろう」ラウンジを離れ二階へと続く階段をのぼるサミーが、振り返って言った。
エリックはサミーの横に並び、考えを探ろうとじっくりと観察した。どう見ても、賭けになど全く興味はないといった様子。プルートスの会員であること自体、不思議でならないほどだ。
「今夜呼び出しを受けたブライスが借金を返せるかどうかとか、そういうくだらないことに決まっている」エリックは適当に答え、サミーの背中を押す。
「彼は呼び出されたのか?」
「自分で借金の取り立て屋がいるところへ飛び込むと思うか?」
サミーは上品に肩をすくめた。借金をするような男の事なんか知るはずないだろうとばかりに。「それじゃあ、僕は返せる方に賭けようかな」
「なら俺は返せない方に賭けよう」エリックが言った途端、サミーは不敵に微笑んだ。俺好みの美しい悪魔が姿を現した。こいつはきっとブライスが借金を返せないようなら、賭けに勝つために自ら借金を清算するだろう。
まったく、恐ろしい男だ。
つづく
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簡単に調べたが、サミーとデレクとの間に接点はなかった。もちろん知り合いなのは間違いない。ただ、好きだの嫌いだのという感情が沸き上がるほどの何かがあったことは、確認できなかったという意味だ。
「別に」とサミーは一言。素っ気ないものだ。
まあ、いい。いまのところこのことが問題になるとは思えない。だからそのうち聞き出すことにしよう。
「ところで、デレクはわざわざ挨拶に来たと思うか?それとも偶然目に留まったからか――」
「偶然目に留まったからといって、挨拶しに来るようなやつじゃない」
確かに、サミーの言うとおりだ。つまり、デレクはサミーがクラブに現れたのを知って、わざわざ席までやってきた。賭けの対象だからか、それともサミーと過去に何かあったからか。やはりどうにも気になる。
「こっちがカードルームまで出向いたっていいんだ」
「僕は行きたくないけど、いったい今夜の目的はなんだったんだろうね」サミーはいつもの胡散臭いものを見るような目つきで、何か作戦があるなら今のうちに説明しろというように、テーブルを指先で打ち鳴らした。勘違いした給仕係が慌ててテーブルを片付けにやってくる。
エリックとサミーは会話の中断を余儀なくされた。仕方ないので場所を移ることにした。
サミーが言うように今夜の目的を果たさなければならない。大したことはない。ただ、俺とサミーは繋がりがあり――つまり世間一般で言う家族という意味で――サミーに何かあればこの俺が黙っちゃいないってこと。少なくとも、ここにいる連中は俺が持つ力を知っている。どの程度の認識かは知らないが、気に入らないやつをこいつらが住む世界から消すことはくらいできる。
嘘を並べ立てて記事を書いてもいい。真実はそこに必要ない。もしくは財産を巻き上げてもいい。家族の為ならなんだってする。
だったら、なぜ相手が攻撃するまで待っているのだろう。さっさとこいつらを消してしまえば、かわいい弟も生意気なこいつも無事でいられる。
サミーに花を持たせてやろうと思ったが、面倒になってきた。こいつは協力すると見せかけて勝手な行動をとるに決まっている。
「今夜はどんな賭けが行われているんだろう」ラウンジを離れ二階へと続く階段をのぼるサミーが、振り返って言った。
エリックはサミーの横に並び、考えを探ろうとじっくりと観察した。どう見ても、賭けになど全く興味はないといった様子。プルートスの会員であること自体、不思議でならないほどだ。
「今夜呼び出しを受けたブライスが借金を返せるかどうかとか、そういうくだらないことに決まっている」エリックは適当に答え、サミーの背中を押す。
「彼は呼び出されたのか?」
「自分で借金の取り立て屋がいるところへ飛び込むと思うか?」
サミーは上品に肩をすくめた。借金をするような男の事なんか知るはずないだろうとばかりに。「それじゃあ、僕は返せる方に賭けようかな」
「なら俺は返せない方に賭けよう」エリックが言った途端、サミーは不敵に微笑んだ。俺好みの美しい悪魔が姿を現した。こいつはきっとブライスが借金を返せないようなら、賭けに勝つために自ら借金を清算するだろう。
まったく、恐ろしい男だ。
つづく
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2022-10-31 18:51
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