はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

花嫁の秘密 248 [花嫁の秘密]

もう気づいたか。さすがだ、と言いたいところだがサミーの知らないことはまだいくつもある。エリックは笑みをこぼしたい衝動を抑え、誤魔化すように満たされたグラスを手に取った。

「お前の食べられそうなものを注文しておいたから、今夜くらいはまともに食事をしろ」くいと半分ほど飲み、アイスペールに刺さったボトルを一瞥する。ふんだくる気でなかなか上等なものを寄越したようだ。

「おかげさまで、昼食はたっぷりいただいたよ」サミーは目をすがめ責めるような視線をエリックにぶつけた。おそらくブラック――新しい従僕――のことを当て擦っているのだろう。

「たっぷりね……」ブラックの報告ではたっぷりとは言い難いが、いつもよりは食が進んでいたようだ。きっとセシルの食べっぷりに影響されたのだろう。「お前がそう言うならそうなんだろう。とにかく、ここのローストビーフは絶品だから食べておいて損はない」

「セシルが悔しがりそうだね。いっそお土産にしてあげようか」

つまりは食べたくないという意味か。

「セシルはどこにいても好きなものを好きなだけ食べるから安心しろ」ついでに言えば、ハニーもそうだ。

「そういえば、セシルはうちでしばらく過ごすけど、君はどこへ?居場所を教える約束だったはずだけど、言わないつもり?」サミーはグラスを取って、また一口だけ口をつけた。もっと飲めと勧めたいが、それは帰ってからでいいだろう。

「出て行けというなら出て行くが、俺はお前のそばにいる」

少なからず危険がある状態で、一人にするとでも思っているのだろうか。だとしたら俺を見くびりすぎだし、おそらくセシルをあの屋敷にとどまらせたことにも気づいていないのだろう。

「まあ、僕の屋敷ではないし、好きにすれば」サミーは無頓着に言うと、周囲に目をやった。対象の人物が来ていないか探っているのだろう。

「デレクとホワイトが奥のカードルームにいる」そう言うと、サミーがゆったりと片眉を吊り上げた。情報伝達の遅れを責めているのだろう。俺もついさっき知ったところだ。

間もなくして料理が運ばれてきて、二人はとにかく胃を満たすことにした。エリックは実際腹が減っていたが、サミーは偵察に来たとはいえ、嫌いなデレクと顔を合わせるのを遅らせるためにそうしたのだろう。だが、文句も言わずローストビーフを食べているところを見れば、満足はしているようだ。

いったいデレクの間に何があってそこまで毛嫌いしているのか、今ここで問い詰めてもよかったが、また険悪になりそうなのでやめておいた。

帰ってからじっくりと聞き出すことにしよう。酔わせればべらべら喋るだろうし、何より扱いやすくなる。

つづく


前へ<< >>次へ


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


web拍手 by FC2

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。